住宅資金特別条項とマンション管理費

1 個人再生と住宅資金特別条項

弁護士の松山です。

個人再生では,原則としてすべての債権者を平等に扱う必要があります。

しかしながら,住宅ローンの返済を滞ると住宅についている抵当権が実行され,債務者は自宅を手放さざるを得なくなります。

それでは,生活の本拠を失った債務者の経済的な再生が困難になってしまいます。

そこで民事再生法は,一定の条件を満たす場合に,特別に住宅ローンを今まで通り返済して住宅を残して個人再生をすることを認めています。

このように,住宅を残すために再生計画案に付す条項を住宅資金特別条項といいます。

 

2 マンション管理費を滞納しているとき

住宅資金特別条項は一定の条件が満たされていないと再生計画案に付けることができません。

たとえば,自宅のマンションをローンで購入している方が個人再生を考えているとき,そのマンションの管理費を滞納している場合には,住宅資金特別条項は認められません。

すなわち,住宅の上に住宅ローン以外の担保権がある場合は住宅資金特別条項を定めることができないところ(民事再生法198条1項但書),区分所有者は,マンション管理費請求権について債務者の区分所有権の上に先取特権が認められており(建物の区分所有等に関する法律7条1項),住宅の上に住宅ローン以外の担保権があることになります。

否認対象行為と個人再生における清算価値

1 個人再生手続きでの清算価値

個人再生手続きでは,再生計画の不認可事由の一つとして「再生計画(の決議)が再生債権者の一般の利益に反するとき」が定められています(民事再生法民再231条1項、174条2項4号、241条2項2号)。

つまり,個人再生では,破産によって債権者が得られる経済的利益よりも,再生計画によって得られる経済的利益が大きくなければならないのです。

このことを清算価値保障原則といいます。

 

2 否認対象行為の扱い

⑴ 否認対象行為とは,たとえば,全社に対して今後支払うことができない状態になってから行った財産の贈与や債務者がそのような状態に陥っていることを知っている一部の債権者のみに返済すること等を指します。

⑵ ある行為が否認対象行為に該当するとき,破産手続きにおいてはその行為が破産管財人という弁護士から否認されることで,その分破産者の財産が回復します。

そのため,個人再生では,破産によって債権者が得られる経済的利益よりも,再生計画によって得られる経済的利益が大きくなければならないという清算価値保障原則からは,現在ある財産の額に,否認権の行使によって回復するであろうと想定される財産の額を上乗せした額を上回る返済をする必要があり,これに反する再生計画案は不認可となります。