保険法における介入権

1 介入権

破産すると,事情によっては破産管財人という弁護士が裁判所から選任されます。

破産管財人の職務内容を定めるのは破産法ですが,破産法以外にも「破産管財人」が登場する法律が存在します。

保険法60条は,契約当事者以外の者が死亡保険契約を解除した場合,保険受取人が,解約返戻金相当額を解除した契約当事者以外の者に支払うことで,解除の効力を発生させないことを定めています。

 

2 条文

(契約当事者以外の者による解除の効力等)

保険法60条① 差押債権者,破産管財人その他の死亡保険契約(第六十三条に規定する保険料積立金があるものに限る。次項及び次条第一項において同じ。)の当事者以外の者で当該死亡保険契約の解除をすることができるもの(次項及び第六十二条において「解除権者」という。)がする当該解除は,保険者がその通知を受けた時から一箇月を経過した日に,その効力を生ずる。

② 保険受取人(前項に規定する通知の時において,保険契約者である者を除き,保険契約者若しくは被保険者の親族又は被保険者である者に限る。次項及び次条において「介入権者」という。)が,保険契約者の同意を得て,前項の期間が経過するまでの間に,当該通知の日に当該死亡保険契約の解除の効力が生じたとすれば保険者が解除権者に対して支払うべき金額を解除権者に対して支払い,かつ,保険者に対してその旨の通知をしたときは,同項に規定する解除は,その効力を生じない。

③ 第一項に規定する解除の意思表示が差押えの手続又は保険契約者の破産手続,再生手続若しくは更生手続においてされたものである場合において,介入権者が前項の規定による支払及びその旨の通知をしたときは,当該差押えの手続,破産手続,再生手続又は更生手続との関係おいては,保険者が当該解除により支払うべき金銭の支払をしたものとみなす。

 

3 制度趣旨

保険契約者が破産したときを例にしますと,解約返戻金を破産財団に組み入れるために,破産管財人は破産者が契約している生命保険を解約することがあります。

しかし,生命保険をいったん解約すると,保険契約者の年齢や健康状況等によっては再度生命保険を契約することが困難となることや死亡保険金の受取人の生活保障が全うされなくなることから,このような事態を避ける必要性があり,介入権制度が創設されました。

 

4 介入権行使の効果

解約返戻金額が高額であっても,任意に解約返戻金相当額を財団に組み入れることを認めてもらうことによって,破産しても生命保険を残すことは可能な場合があります。

介入権者が保険契約者の同意を得て,一定の期間内に解約返戻金相当額を破産管財人に支払い,保険者に対してその旨の通知をしたとき,契約解除の効力は生じないので,介入権を行使することで,上記内容を強制的に実現することができることとなります。

 

銀行のカードローンの債務整理

1 銀行のカードローンの債務整理の特徴

銀行のカードローンの債務整理には,その他の借金を債務整理する場合と比べて次のような特徴があります。

それは,口座が凍結される可能性が高いことと保証会社の存在です。

2 口座の凍結

銀行に預金口座を持っている状態でその銀行を対象とする債務整理をして弁護士が銀行に受任通知を送付すると,その口座は凍結される可能性が高いです。

支店が異なる場合であっても,債務整理する銀行と同じ銀行に預金口座を開設しているときは,口座が凍結される可能性があります。

口座が凍結されてしまうと,預金を引き出すことができなくなり,銀行から預金と貸付金を相殺されてしまいます。

したがって,債務整理を弁護士に依頼して受任通知が債権者に発送される前に,預金口座から預金を引き出しておくべきでしょう。

また,給料の振込口座を債務整理をする銀行で開設している場合には,口座の凍結によって振り込まれた給料が引き出せなくなるおそれがあるので,事前に振込口座を債権者とは関係のない銀行に変更する必要があります。

3 保証会社の存在

また,銀行が債権者の場合,通常,保証会社が存在します。

たとえば,三菱UFJ銀行の保証会社はアコム,三井住友銀行の保証会社はSMBCコンシューマーファイナンスとなっています。

銀行のカードローンを債務整理の対象とすると,保証会社が債務者に代わって当該銀行に対して債務を全額返済するため,その後は保証会社が債権者となります。

したがって,どの債務について債務整理をするかを自分で選択できる任意整理の場合であっても,銀行のカードローンを任意整理しようとすると,保証会社からの借入についても任意整理の対象とせざるを得ない場合があります。

保証会社からの借入について任意整理の対象としたくない場合には,その業者を保証会社とする銀行のカードローンについても任意整理しないという対応が必要となる場合があります。

生活保護法63条と免責

弁護士の松山です。

生活保護法63条と免責の関係を説明します。

 

1 非免責債権

自己破産した場合,基本的には全ての債務が免責されることとなり,破産者は債務を支払う責任を免れます。

 

もっとも,一部の債務については,破産しても免責されることはありません。

典型的には,税金や養育費,罰金等が挙げられます。

このような債権を非免責債権といい,破産法253条1項に規定されています。

 

2 生活保護法63条

次に示したのが生活保護法63条の規定です。

 

63条

被保護者が,急迫の場合等において資力があるにもかかわらず,保護を受けたときは,保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して,すみやかに,その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。

 

この規定に基づく返還債務は,免責の対象となり,破産すれば支払う責任がなくなります。

ところで,今月公布された「生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律」では,生活保護法の一部を改正する条項が盛り込まれています。

その内容の一つとして,63条に規定される返還債権も,国税徴収の例により徴収することができるというものがあります。

国税徴収の例により徴収することのできる債権は,非免責債権に該当するため(破産法253条1項1号,97条4号),63条に規定される返還債権が非免責債権となるとする内容の改正ということになります。

給料天引きの支払い

個人再生をお考えの方の中には,勤務先や勤務先の共済組合から借り入れをして,毎月給料から天引きされることで返済をしている方がいらっしゃることと思います。

このような方が個人再生をする際には注意が必要です。

個人再生においては,債務者が所有する財産よりも多くの額を債権者に返済しなければならないというルール(これを清算価値保障原則といいます。)が存在し,否認対象行為は債務者の財産に計上されることとなっております。

給料からの天引きは,再生債権に対する一部弁済と考えられ,遅くとも弁護士による受任通知送付後は偏頗行為(一部の債権者のみに対してした弁済)として,否認権行使の対象となりますので(破産法162条1項1号イ,同条3項,165条),個人再生においては,天引きされた給料の額が債務者の財産に計上されると考えられています。

すなわち,受任通知送付後に毎月5万円が天引きされており,それが10カ月続くと合計50万円が清算価値に計上されることとなるのです。

また,再生手続開始決定がなされた後は,原則として再生計画によらない弁済が禁止されています。

したがって,それ以上の天引きが行われないよう,給料天引きの停止を申し出る必要があります。

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相続した債務の整理

1 相続の対象

財産だけでなく債務についても相続の対象となります。

ですから,何もしなければ亡くなった人の借金はその相続人が相続します。

2 相続放棄

この場合,亡くなった人の債務をどう整理するかが問題になります。

一つの方法として,相続放棄をすることが考えられます。

相続放棄とは,「自己のために相続の開始があったことを知った時から」3カ月以内に家庭裁判所に申述する方法で,相続の対象となる財産や債務を一切放棄する手続です。

「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,借金していた人が亡くなったことを知った時をいうのが典型的です。

3 限定承認

亡くなった人の借金がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性がある場合には,相続人が相続によって得た財産の限度で借金の負担を受け継ぐ方法があり,これを限定承認といいます。

限定承認する場合も,自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

4 債務が残った場合

相続放棄や限定承認は,一定期間内に裁判所に申述する必要がありますし,遺産を処分してしまったら,それ以降は原則としてこれらの方法をとることができません。

また,限定承認の場合でも返済しきれない債務が残る可能性があります。

こうして相続した借金が残ってしまった場合の債務整理の方法としては, 任意整理,個人再生,自己破産があります。

どの方法が適切かは,弁護士にご相談ください。

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自己破産した場合の税金の取扱い

1 免責

自己破産をすることの最大のメリットは,自分が負っている債務をなくすことができる点だといえるでしょう。

自己破産をすることによって債務をなくすことを免責といいます。

しかし,どのような債務でも免責を受けられるわけではありません。

2 滞納している税金

自己破産をする方の中には,税金を滞納している方もいらっしゃいますが,滞納している税金は,免責の対象とはなりません。

このように免責の対象とならない債権のことを非免責債権といい,法律で定められています。

他の非免責債権としては,健康保険料,年金,養育費,罰金等があります。

滞納している税金が免責の対象とならないということは,自己破産をしてその他の債務については支払う義務がなくなったとしても,税金を支払う義務は残るということです。

したがって,自己破産をしたとしても,税金を支払わないままだと財産が差し押さえられる可能性があります。

3 分割払いの話し合い

もっとも,役所との話し合いによって滞納している税金を分割して支払うことができる場合もあります。

税金を支払う意思があること及びすぐに支払うだけのお金がないことを役所の担当者に伝えることで,長期の分割払いに応じてもらったり,一部を猶予してもらったりすることができるかもしれません。

4 法人の自己破産の場合

以上は個人が自己破産した場合ですが,法人の自己破産では扱いが異なります。

法人は,破産手続が終了した時点で完全に消滅します。

法人が税金を滞納している場合には,破産手続終了によって税金を支払う義務のある主体が消滅するので,税金の支払義務も消滅します。

したがって,法人が自己破産したときは,滞納している税金を支払う必要はありません。

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破産財団からの放棄

破産法78条2項12号は,破産管財人の権限として「権利の放棄」を定めています。

破産管財人の管理処分権のみを放棄することもできると解されています。

破産するのが法人であっても,一般論としては,破産管財人は管理処分権の放棄をすることができるとされています。

破産法人の破産管財人が,ある財産の管理処分権を放棄した場合,その管理処分権は破産法人に戻ることとなります。

そのような場合,財産価値がないとされる財産につき,誰が破産法人の代表権限をもつかには,学説上考えが分かれるようです。

旧商法のもとでは,裁判所が選任する清算人に権限があるとの最高裁の判断がありますが(最決平成16年10月1日),会社法下でどうなるかについては,代表取締役が代表権限を持つとの解釈も可能であり,決着がみられていないようです。

判例は,破産手続開始決定時の取締役らは,破産手続開始によりその地位を当然には失わず,会社組織にかかる行為等については取締役らとしての権限を行使しうると解するのが相当であるとしており(最判平成21年4月17日),このことからすれば,破産財団に関しないことは,従前の代表取締役がその地位で代表権限を有するとの解釈も可能です。

不動産を所有したままでの同時廃止申立て

1 所有する不動産に住宅ローンを被担保債権とする抵当権が設定されている等の場合,不動産に設定されている担保権の被担保債権額が不動産の価値を一定程度上回るときには,不動産を所有したままであっても,同時廃止の申立てが認められる場合があります。

2 被担保債権額がどの程度,不動産の価値を上回れば,不動産が無価値とみなされて,同時廃止が認められるかは,それぞれの地方裁判所ごとに運用が異なります。

3 名古屋地方裁判所の運用

固定資産評価証明書を提出し,建物の担保する被担保債権額が固定資産税評価額の1.5倍以上である場合の建物,及び土地の担保する被担保債権額が固定資産税評価額の2倍以上である場合の土地は,無価値とみなすことができます。

固定資産評価証明書を用いた上記基準では,不動産が無価値とみなされないときには,次の①~③のいずれかの条件を満たす場合に無価値とみなすことができます。

① 近隣不動産業者2名の査定書の提出

当該不動産が担保する債権額が当該不動産の時価(査定額の平均額)の1.5倍以上である場合。

② 不動産執行手続中の売却基準価額を証する書面の場合

当該不動産が担保する債権額が当該不動産の売却基準価額の2倍以上である場合。

③ 不動産鑑定士作成の鑑定評価書の提出

当該不動産が担保する債権額が当該不動産の時価の1.2倍以上である場合。

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離婚慰謝料の支払いと破産

離婚慰謝料を支払っている場合は,その慰謝料支払債務は,破産することによって免責がなされるのでしょうか。

 

自己破産したとしても免責がなされない債権を非免責債権といい,どのような債権が非免責債権であるかは法律で定められています(破産法253条1項)。

そして,「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求」や「破産者が故意又は重過失により人の生命や身体を害する不法行為」は,非免責債権であると定められています(同項2号,3号)。

 

それでは,慰謝料請求権は,「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求」や「破産者が故意又は重過失により人の生命や身体を害する不法行為」に該当するのでしょうか。

 

まず,「悪意で加えた不法行為」の「悪意」とは,一般に「積極的な害意」をいうと考えられています。

どのような場合が「積極的な害意」に当たるかは,事案に応じて異なると言うべきであり,最終的には訴訟しないと分からない場合があります。

一般的には,浮気を原因とする離婚の慰謝料という事情のみでは,「積極的な害意」とは判断されないことが多いようです。

 

次に,「破産者が故意又は重過失により人の生命や身体を害する不法行為」ですが,これは,たとえば暴行等によって身体を傷付けた場合が該当する可能性があります。

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自己破産する場合の郵便物の取り扱い

1 郵便物の取り扱い

自己破産をすると,郵便物が届かなくなるということを聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

自己破産する場合の郵便物については,同時廃止事件か破産管財事件かによって,異なった取り扱いがなされています。

同時廃止事件とは,破産手続開始決定と同時に手続の廃止が決定する手続きで,破産管財事件とは,破産管財人(申立代理人とは別の弁護士)が選任されて,破産者の財産や免責の可否についての調査がなされる手続きです。

2 破産管財事件の場合

⑴ 郵便物の転送嘱託

破産管財事件となった場合,裁判所は,破産管財人の職務の遂行に必要があると認めるときは,信書の送達の事業を行う者に対し,郵便物を破産管財人へと転送する旨の嘱託をすることができます(破産法81条1項)。

破産管財人は,破産者にあてた郵便物を受け取ったときは,これを開いて見ることができます(破産法82条1項)。

これらの定めは,破産者の憲法上の権利である通信の秘密(憲法21条2項)を制約するものですが,破産財団に属すべき財産の発見,破産者による財産の隠匿や散逸の監視のために必要かつ有益であることから認められています。

原則として全件の郵便物について,破産管財人への転送嘱託をするというケースが多いです。

破産管財人へと転送されるのは破産者の郵便物のみで,同居している家族宛ての郵便物は転送されません。

⑵ 破産者への返還

破産者は,破産管財人に対し,破産管財人が受け取った郵便物の閲覧や当該郵便物で破産財団に関係しないものの交付を求めることができます(破産法82条2項)。

破産財団に関係しないことが判明した郵便物は,通常,ただちに破産者に返還され,返還の方法としては,破産者本人が破産管財人の事務所に取りに行く,破産管財人から破産者に郵送で返還される,申立代理人を通じて返還されるなどがあります。

郵送で返還する場合,再度の転送防止のために破産管財人発送である旨を封筒に朱筆して発送するのが通常であり,これによって同居の家族に自己破産手続中であることを知られるおそれがあります。

破産手続開始直後の破産管財人との面談の際に,返還方法について打ち合わせ,ご自身の要望を伝えるのがよいかと思われます。

⑶ 転送嘱託の期限

裁判所が転送嘱託をできるのは破産手続中のみですが,裁判所は,破産手続が終了する前でも,転送嘱託について,1回目の財産状況報告集会まで等一定の期限を定めることができます。

3 同時廃止事件の場合

同時廃止事件の場合は,破産手続開始決定後においても,郵便物は今までどおり破産者のもとに郵送されます。

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個人再生で計画どおり支払えないとき

1 個人再生で計画どおり支払えないとき

個人再生手続きにおいて,再生計画の認可決定が確定した後に,再生計画どおりに支払うことができなくなってしまうことがありえます。

再生計画は,原則として3年という長期にわたる支払の計画ですので,支払を続けていく中では,給料が減少する,突然大きな出費が必要となる等といった事情のために,やむを得ず計画どおりの支払をすることができないということも考えられます。

そのような場合,どうすればよいのでしょうか。

民事再生法は,以下のような制度を定めています。

2 再生計画の変更

個人再生においては,再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは,再生計画で定められた債務の期限を延長することができ,この場合においては,変更後の債務の最終の期限は,再生計画で定められた債務の最終の期限から2年を超えない範囲で定める必要があります(民事再生法234条1項,244条)。

たとえば,3年かけて圧縮した債務額を支払うという再生計画の認可決定があり,それに従って支払を続けていたものの,病気で大きな支出が発生した等のやむを得ない事由によって,再生計画どおりの支払が到底出来なくなったときには,2年の期限の延長が可能となります。

3 ハードシップ免責

また,再生計画を遂行することが極めて困難である場合は,次の条件のもとで,裁判所は免責の決定をすることができ,これによって債務者は債務を支払う義務を免れます(民事再生法235条)。

⑴ 再生計画を遂行することが極めて困難となったのは,債務者の責めに帰することができない事由によること

⑵ 再生計画で定められた債務の4分の3以上の額の返済を終えていること

⑶ 再生計画の認可決定時に破産した場合の配当総額以上の返済をし終えていること

⑷ 再生計画の変更をすることが極めて困難であること

4 上述の制度を使えないとき

再生計画の変更もハードシップ免責も,一定の条件を充たさないと利用することができない制度です。

したがって,どちらの制度も利用することができないという事態が生じる可能性があります。

このような場合には,自己破産手続きへと移行するべきです。

もっとも,給与所得者等再生における再生計画が遂行されていた場合には,当該再生計画認可の決定が確定した日から7年以内の自己破産の申立ては,免責不許可事由に該当し(破産法252条1項10号ハ),当該期間内に破産申立てをすると免責が許可されない可能性が高いです。

 

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勾留に代わる観護措置

1 少年法の目的・理念

少年法1条では,「この法律は,少年の健全な育成を期し,非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに,少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」と定められています。

このように,少年法は,目的として「少年の健全な育成」を明確化し,非行少年に対して,再非行を防止するため,教育的・福祉的処遇を行うことを原則としており,このような少年法の理念は保護主義と呼ばれています。

 

2 勾留に代わる観護措置

少年の被疑事件における制度も,少年法の理念に沿うよう設計されています。

少年に配慮した形で,成人と異なる制度設計がなされている例の一つとして,勾留に代わる観護措置があります。

成人の場合,逮捕されると,その後は勾留へと手続が進みます。

しかし,少年の被疑事件においては,検察官は,勾留の請求に代えて観護措置を請求することができますし(少年法43条1項本文,17条1項),やむを得ない場合でなければ,勾留を請求することができないと定められています(少年法43条3項)。

名古屋でも少年鑑別所があり,観護措置が取られれば,原則として少年鑑別所へと収容されます。

このように法律のたてつけとしては,少年に対する勾留は例外的な措置とされていますが,実際には少年鑑別所の収容能力の関係から収容できない等の理由で「やむを得ない場合」に当たるとして,成人同様の勾留がなされる例が圧倒的に多いです。

勾留に代わる観護措置では,期間は10日間であり,更新は認められておりません。

 

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クレジットカードのショッピング機能と過払い金返還請求

1 クレジットカードのショッピングでは過払い金は発生しません

過払い金返還請求については,よくテレビコマーシャル等でご存知かと思います。

そして,自分も長らくクレジットカードを利用していることから,過払い金が発生して業者から払い過ぎた分を取り戻せるかもしれないと考えている方もいらっしゃるかと思います。

クレジットカードのキャッシング機能を利用している方であれば,利率や取引期間によって過払い金が発生している可能性はあります。

しかしながら,クレジットカードでもショッピングの場合には,過払い金は発生いたしません。

2 ショッピングでは過払い金が発生しない理由

⑴ まず,過払い金は,利息制限法で定めた範囲内を超える利率での貸金契約に基づいて返済を行った場合に発生します。

たとえば,120万円の借入をした際には,利息制限法の上限では利率は18%ですので,これを超える利率を前提として返済をしたときには,払い過ぎとなります。

⑵ ところで,クレジットカードのショッピング機能は,法的には借入にあたりません。

ショッピングにおいては,クレジットカード会社と金銭消費貸借契約を結んでいるわけではなく,クレジットカード会社が商品の代金を一時的に立て替えているものです。

ショッピングは,立替払いですので,ショッピングの際に支払っている手数料は,利息にはあたらないと解されています。

したがって,ショッピングは借入にはあたらず,利息制限法の適用がないため,過払い金は発生しないのです。

 

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滞納税金の支払いと偏頗弁済

1 偏頗弁済

自己破産をする際に気をつけなければいけない点として,偏頗弁済(,特定の債権者に対して債務を弁済すること)が挙げられます。

すなわち,少なくとも破産の直前期以降は,特定の債権者に対して債務を弁済してはいけないのが原則となります。

たとえば,他の借入れについては返済することを止める一方で,親族からの借入れについては優先的に返済することは許されません。

このようなことをすると,破産手続開始決定後に破産管財人から否認されたり,場合によっては免責が認められなくなったりする可能性があります。

2 税金を滞納している場合

滞納している税金がある場合は,「租税等の請求権」として非免責債権にあたり(破産法253条),自己破産をしても免責されませんので,税金を支払う必要があります。

それでは,税金についても,自己破産の直前に支払ってはいけないのでしょうか。

この点について,破産法163条3項は,「(偏頗弁済の否認を定めた162条1項の規定は,)破産者が租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)又は罰金等の請求権につき,その徴収の権限を有する者に対してした担保の供与又は債務の消滅に関する行為には,適用しない。」と規定しており,租税等の請求権における偏頗弁済の規定の例外が定められています。

したがって,滞納している税金を支払っても,偏頗行為にはあたりません。

なお,破産法でいう「租税等の請求権」とは,国税,地方税,国民健康保険,国民年金,厚生年金,保育料,下水道使用料などをいいます。

3 税金を立て替えてもらっていた場合

他人(勤務している会社を含みます。)が税金を立て替えている場合,立て替えてもらった他人に対しては,自己破産の直前に支払ってはいけません。

本人としては,実質的に税金分のお金という感覚かもしれませんが,あくまで債権者は立替をした他人であり,立替金は租税等の請求権には当たらず,偏頗弁済の例外規定が適用されないからです。

 

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国民健康保険税の納税義務者

国民健康保険税とは,国民健康保険を行う市町村が,国民健康保険に要する費用に充てることを目的とした税金です。

国民健康保険税を納税するのは,被保険者の属する世帯の世帯主です(国民健康保険法76条1項但書,地方税法703条の4第1項)。

したがって,世帯主が夫の場合,妻や子が国民健康保険税を納付していないときには,世帯主である夫が国民健康保険税を納付する必要があります。

妻や子に自分の分の国民健康保険税の納付を任せていたところ,実際は納付されておらず,納税義務者である世帯主が多額の滞納となっていたというケースもありますので,注意が必要です。

住宅ローン債権が譲渡されたとき

1 住宅資金貸付債権

個人再生では,再生計画に住宅資金特別条項を定めることによって,住宅ローン以外の債権を圧縮しつつ,住宅を残すことが可能です。

住宅ローンは,法律上は「住宅資金貸付債権」という言葉で示されています。

住宅資金貸付債権は,住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払いの定めのある再生債権であって,当該債権又は当該債権に係る債務の保証人(保証を業とする者に限る。)の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されているものと定められています(民事再生法196条3号)。

もっとも,住宅資金貸付債権であっても住宅資金特別条項を利用できない例外が存在します。

すなわち,住宅資金貸付債権が法定代位により取得されたときは,再生計画に住宅資金特別条項を定めることはできません(民事再生法198条1項本文括弧書)。

法定代位とは,弁済をするについて正当な利益を有する者が,弁済によって当然に債権者に代位することをいいます(民法500条)。

弁済をするについて正当な利益を有する者としては,連帯債務者や保証人が代表的です。

 

2 住宅ローン債権が譲渡された場合

個人再生を弁護士に依頼して受任通知が発送された後に,住宅ローン債権が別の会社に譲渡されて,住宅ローン債権者が変わることがあります。

この場合は,住宅資金特別条項を利用することができるのでしょうか。

債権譲渡は,代位弁済による債権の取得には当たらないと解されています。

そのため,住宅資金貸付債権が譲渡されても上記の例外規定に該当せず,債権譲渡の場合には住宅資金特別条項を利用できると解されており,したがって,住宅ローン債権が証券化されているような場合でも,住宅資金特別条項を定めることができると解されています。(『条解民事再生法(第2版)』928頁)。

 

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勾留に代わる観護措置

1 少年法の目的・理念

少年法1条では,「この法律は,少年の健全な育成を期し,非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに,少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」と定められています。

このように,少年法は,目的として「少年の健全な育成」を明確化し,非行少年に対して,再非行を防止するため,教育的・福祉的処遇を行うことを原則としており,このような少年法の理念は保護主義と呼ばれています。

 

2 勾留に代わる観護措置

少年の被疑事件における制度も,少年法の理念に沿うよう設計されています。

少年に配慮した形で,成人と異なる制度設計がなされている例の一つとして,勾留に代わる観護措置があります。

成人の場合,逮捕されると,その後は勾留へと手続が進みます。

しかし,少年の被疑事件においては,検察官は,勾留の請求に代えて観護措置を請求することができますし(少年法43条1項本文,17条1項),やむを得ない場合でなければ,勾留を請求することができないと定められています(少年法43条3項)。

このように法律のたてつけとしては,少年に対する勾留は例外的な措置とされていますが,実際には少年鑑別所の収容能力の関係から収容できない等の理由で「やむを得ない場合」に当たるとして,成人同様の勾留がなされる例が圧倒的に多いです。

勾留に代わる観護措置では,期間は10日間であり,更新は認められておりません。

 

3 家裁送致後

家裁送致とは,捜査書類が家庭裁判所に送られることをいいます。

勾留されている少年が家裁送致される場合は,家裁送致日に身柄ごと家庭裁判所に送致され,その後,場合により,少年鑑別所に収容されることになります。

一方で,勾留に代わる観護措置を受けている少年は,家裁送致前から少年鑑別所に収容されていますので,家裁送致日には記録のみが家庭裁判所に送致され,少年の身柄は少年鑑別所から離れることはありません。

 

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収入が不安定な人の個人再生の利用

1 個人再生の利用適格

小規模個人再生手続きを利用するには,申立人が「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」必要があります(民事再生法221条1項)。

「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」とはいえないことが明らかの場合には,個人再生手続開始申立ては棄却されてしまいます。

では,どのような人が「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」人であり,どのような人がそうでないのでしょうか。

ここでは,派遣社員,アルバイト,主婦,無職の人を例に説明いたします。

2 派遣社員

派遣社員の場合は,派遣先の雇用期間が短期間に限定されている場合は,将来において継続的に収入を得ることができるかについて不安がありますが,契約延長や新たな派遣先の紹介を得る見込みを説明することで,個人再生を利用できる可能性があります。

3 アルバイト

これまで短期間のアルバイトを繰り返しているのみの場合であっても,現在働いており,一定額以上を返済できる余裕があれば,将来の雇用継続が見込めないことが明らかでない限りは,利用適格がないことが明らかであるとはいえないと解されています。

4 主婦

主婦の場合は,現在アルバイトやパートで収入を得ているかどうかで判断は異なってきます。

無職の場合は,利用適格がないことが明らかですので,個人再生手続きを利用することはできません。

一方で,アルバイトやパートに出ることで,一定額以上の収入を得ることができるようになれば,将来において継続的に収入を得ることができないことが明らかとはいえないとされる可能性があります。

5 無職

無職の場合は,基本的には利用適格がないことが明らかですので,個人再生手続きを利用することはできません。

しかし,現在たまたま失業中であり,既に内定を得ているなどの事情のため,近いうちに再就職することが確実である場合には,継続的な収入を得る見込みがないことが明らかでないとして,個人再生手続きを利用できる可能性があるという考え方があります。

 

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個人再生手続きが認可されない場合その2

前回の記事の続きです。

 

5 計画弁済総額が一定の額を下回っているとき(民事再生法231条2項3号,同項4号,241条2項5号)

6 再生債務者が債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある旨の記載をした場合において,再生計画に住宅資金特別条項の定めがないとき(民事再生法231条2項5号)

7 再生計画が住宅資金特別条項を定めた場合で,債務者が住宅の所有権又は住宅の用に供されている土地を住宅の所有のために使用する権利を失うこととなると見込まれるとき(民事再生法231条1項,241条2項3号,202条1項3号)

第3 小規模個人再生特有の不認可事由

1 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき(民事再生法231条1項,174条2項3号)

2 再生債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがないとき(民事再生法231条2項1号)

第4 給与所得者等再生特有の不認可事由

1 給与所得者等再生における再生計画が遂行された場合に,再生計画の認可決定確定の日から7年以内に給与所得者等再生を求める申述がなされたこと(民事再生法241条2項6号,239条5項2号イ)

2 個人再生において再生計画を遂行することが極めて困難となった場合の免責決定が確定した場合に,当該免責決定に係る再生計画の認可決定確定の日から7年以内に給与所得者等再生を求める申述がなされたこと(民事再生法241条2項6号,239条5項2号ロ)

3 自己破産手続における場合に,再生計画の認可決定確定の日から7年以内に給与所得者等再生を求める申述がなされたこと(民事再生法241条2項6号,239条5項2号ハ)

第5 さいごに

前回の記事から,個人再生手続きが認可されない場合について説明してきました。

弁護士としては,このような不認可事由が判明し次第,個人再生手続きがとれないことを依頼者の方に説明しなければなりません。

その場合には,自己破産など方針変更を検討せざるを得ないでしょう。

 

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個人再生手続が認可されない場合その1

第1 個人再生計画の不認可

個人再生手続において裁判所から再生計画の認可決定を得れば,債務を圧縮したうえで,原則3年での分割返済をすることが可能です。

しかし,再生手続開始決定が下されたからといって必ずしも再生計画が認可されるとは限りません。

民事再生法では個人再生手続における再生計画の不認可事由を定めており,不認可事由に該当する場合には再生計画不認可の決定がなされます。

個人再生手続には,小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの手続があり,次のとおり2つの手続に共通する不認可事由と各手続に特有の不認可事由が存在します。

第2 個人再生に共通する不認可事由

1 再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し,かつ,その不備を補正することができないものであるとき(民事再生法231条1項,241条2項1号,174条2項1号)

この場合には再生計画不認可決定がなされますが,例外として,再生手 続が法律の規程に違反する場合において,当該違反の程度が軽微であるときは,不認可事由には該当しません。

2 再生計画が遂行される見込みがないとき(民事再生法231条1項,241条2項1号,174条2項2号)

再生計画が遂行される見込みがないときも不認可事由にあたります。

具体的には,債務者の毎月の収入からすれば返済できる見込みがない再生計画では,不認可の決定がされます。

3 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき(民事再生法231条1項,174条2項4号,241条2項2号)

再生債権者の一般の利益とは,破産手続がなされたならば得られたであろう利益のことをいいます。

破産手続では原則として債務者の全ての財産が換価されて配当に充てられるので,債務者の財産の合計額よりも低い額しか返済しないような再生計画については,不認可決定がなされます。

4 債権の総額が5000万を超えるとき(民事再生法231条2項2号, 241条2項5号)

再生債権の総額が5000万円を超えるときは,不認可事由となります。

ただし,ここでの再生債権の総額について,住宅資金貸付債権の額,別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額等が除かれています。

 

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