個人再生委員が選任される場合①

個人再生を裁判所に申し立てた場合、個人再生委員という弁護士が選任されることがあります。

個人再生委員は、①再生計画の履行可能性に疑義がある場合、②清算価値を正確に把握する必要がある場合に選任されることがあります。

①再生計画とは、個人再生の手続きにおいて法律誌にたがって減額された後の金額の分割払いの計画のことをいいます。個人再生の手続きにおいて、裁判所は、「減額された後の借金を分割で支払う能力があるか」という点を重視します。収入、支出のバランスから見て、分割で支払う能力がないのではないか?と疑義を持たれた場合には、個人再生委員が選任され、収支バランスの改善を指示されたりします。

②清算価値とは、個人再生をする方の全財産に相当する金額のことをいいます。個人再生によって減額される金額につき、清算価値の基準が採用される場合、清算価値の金額がどこまで借金の減額がなされるかという結論に直結します。したがって、清算価値基準が採用される場合には、その金額を正確に把握する必要性が高いことから、個人再生委員が選任されることがあります。

もっとも、名古屋地方裁判所では、個人再生委員が選任される事案はさほど多くありませんし、個人再生を依頼した弁護士の方で十分に返済能力や清算価値についての調査・報告が尽くされていれば、個人再生委員が選任されないこともあります。

次回は、個人再生委員が選任された場合の手続きの流れについてご説明します。