弁護士法人心では障害年金の申請サポートを行っています。
年金というと、一般的には65歳になってから受給するものという印象が強いかもしれませんが、これは老齢年金といって、年金のなかの一つの種類にすぎません。
日本の年金制度は、公務員の共済制度など一部の例外制度はありますが、国民年金法に基づく国民年金と厚生年金保険法に基づく厚生年金の2段階があり、国民年金には①老齢基礎年金、②障害基礎年金、③遺族基礎年金、厚生年金には①老齢厚生年金、②障害厚生年金、③遺族厚生年金というように、老齢、障害、遺族の3種類の年金メニューが用意されています。
このように、2段階の年金制度に、それぞれ3種類ずつ年金制度が用意されていますが、そこでしばしば寄せられる質問が、障害年金を受給できたあとに、65歳になって老齢年金をもらうようになるとどうなるのかという質問です。
この点については、一人一年金の原則というものがあって、障害年金と老齢年金を二重に受け取ることはできないため、年金受給選択申出書という書類を年金事務所に提出することで、自分により有利な方の年金を選択して受給できる仕組みになっています。
例えば、障害基礎年金を2か月に1回、14万円程受け取っていた方が65歳になって、老齢基礎年金を受け取る権利を手にしたけれども老齢基礎年金の場合には2か月に1回の受給額は10万円だったというようなケースでは、14万+10万円で24万円を受け取れることになるわけではなく、障害基礎年金14万円の受給だけが継続することになります。
ただし、障害を理由とする年金と、老齢を理由とする年金が同時に支払われることがまったくないのかというと、そういうわけではありません。
これは、日本の年金制度が、国民年金と厚生年金の2階建てになっているためです。
例えば、1階部分の国民年金は、障害基礎年金を受給し、2階部分の厚生年金は老齢厚生年金を受給するというような組み合わせは認められています。
他方で、1階部分の国民年金は、老齢基礎年金を受給し、2階部分の厚生年金は障害厚生年金を受給するという組み合わせは認められていません。
このあたりの関係性は、複雑ですので、弁護士、社労士や年金事務所に相談しながら、年金受給にどのような選択肢があるのか整理するとよいと思います。