選挙ニュースを見るとき知っておくと便利な法律2

昨日は、参議院選挙の投票日でした。

テレビを見ていてもニュースで、選挙の報道がたくさんされていました。

選挙関連の報道のなかで、どこどこの政党は議席数が●人以上だから議会に法案をだせるとかそういう話がされていました。

国会法について詳しく知る前は、国会議員になれば、一人でも自由に議会の中で法案を提出したりして立法府の一員としての活動ができるものと思っていたのですが、現行の国会法ではそのような仕組みにはなっておりません。

国会法56条1項では、「議員が議案を発議するには、衆議院においては議員二十人以上、参議院においては議員十人以上の賛成を要する。但し、予算を伴う法律案を発議するには、衆議院においては議員五十人以上、参議院においては議員二十人以上の賛成を要する。」と定められています。

勿論、国会法はあくまで●人以上の賛成を要すると書いてあるだけですので、政党に属していない個人の議員が、事前に複数の国会議員と事前協議をして、その賛同を得て法案を提出するということはできる仕組みになっています。

ただ、現実的な問題として、そのような事前協議を整えるのは容易なことではないのだと思われます。

その結果、政党単位でこの国会法56条1項の要件をみたす議席数を確保できたかどうかが重要な意味を持つことになるのだと思われます。

ちなみに、普通地方公共団体の議会における条例を含めた議案の提出については地方自治法112条1項で「普通地方公共団体の議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができる。但し、予算については、この限りでない。」、同条2項で「前項の規定により議案を提出するに当たつては、議員の定数の十二分の一以上の者の賛成がなければならない。」とされています。

昨日行われたのは、参議院の選挙ですが、参議院の議員の人数は合計で248人と公職選挙法4条2項で定められているところ、予算をともなわない議案提出は10人以上の賛成が要件(国会法56条1項)とされているので、概算で議会の1/25を占める賛同が必要という計算です。

これに比べると、地方公共団体の議会における議案提出のハードルは1/12なので一段と高くなっているようです。

この点については、そもそも、国会の立法と、地方自治における条例とでは、制定のプロセスが異なっており、国会と地方議会では果たす役割も異なるため、単純に数字を比較することにあまり意味はないかもしれません。

いずれにしても、ニュースを見ていていろんな話がでてきましたが、弁護士として法律を扱う仕事していても、普段の業務に直接使わない国会法や公職選挙法などに関しては、ニュースでみた話が何法のどこに根拠がある話なのかということを、あまり知らなかったなと思うことが多く、何事も日々勉強せねばならないなと思わされました。