不動産取引における心理的瑕疵について①

連日、暑い日が続いていますね。

肌の弱い私にとっては、暑さもさることながら、日差しの強さが天敵でして、なるべく日差しを避けるように行動しています。

とはいえ、普段から名古屋市内を自転車で移動していますので、この対策をしていても相当な被害を被っています。

最近は、突然の雨にも悩まされていますし、いつも天気予報を気にしながら行動しています。

「酷暑や突然の雨も、まったく気にならない」という方はごく少数でしょうから、程度の差こそあれ、みなさまも同じようなご状況でしょうか。

 

今回からしばらく、不動産取引における心理的瑕疵について取り上げたいと思います。

 

不動産取引における「心理的瑕疵」とは、その不動産で人の死に関して発生したできごとが対象の不動産の取引においてマイナスに影響するもののことです。

たとえば、その住居で過去に殺人事件があったということであれば、そのような住居には住みたくないと考えるのが一般的ですので、そのできごとが不動産の価値を損なう方向で影響するといえます。

このような不動産の価値に関する重要な情報は、取引において、相手に予め伝えておく必要があるのです。

 

ここで問題になるのは、「どのような事項であれば、予め相手に伝えておく必要があるのだろうか」ということです。

心理的瑕疵とは、あくまで主観的なものであって、人の感じ方はさまざまであることからすると、予め伝えないといけない事項であるかどうかは判断が難しい面があります。

不動産業者(宅地建物取引業者)が仲介に入っている場合には、業者には、取引にあたって、心理的瑕疵にあたりうるものを「重要事項」として予め伝える義務があるとされていますので、業務をするうえで悩ましい面が出てくるのです。

加えて、業者としても、どのような方法で心理的瑕疵にあたりうるできごとがあったかどうかを調査しなければならないのかという問題もあります。

 

これらの問題について、国土交通省で検討会が開かれ、ガイドラインが作成されました。

これまでの実務や裁判例を踏まえて作成されたものですので、参照するに値するものだと思います。

 

ガイドラインで対象となっているのは居住用の不動産だけであったり、主には業者向けの内容であったりするのですが、相続に関わる弁護士業務をするうえでもしばしば問題になりますし、興味深い点も多くありますので、これから数回に渡ってその内容を紹介していきたいと思います。