相続財産の分離について

台風6号が日本に大きな被害を与えましたが、その経路を予想することは専門家にとっても難しかったそうです。

気象に関する研究はかなり進んできたのでしょうが、まだまだ天候を正確に予知することは難しいのでしょう。

新たな台風も日本に迫っているようであり、名古屋の方もその他の地域の方も、最新の情報を確認しつつ、それぞれに対策をしておくことが重要でしょう。

 

今回は、相続における「財産分離」という制度について説明することにします。

 

相続が開始すると、相続人が相続放棄をしない限り、相続人が被相続人の財産と負債を引き継ぐことになります。

これにより、場合によっては、被相続人または相続人の債権者に影響があることがあります。

すなわち、被相続人の債権者としては、相続財産がプラスであっても、相続人の固有財産がマイナスである場合には、相続財産と相続人の固有財産が一緒になることで債権が回収できない可能性が生じます。

他方、相続人の債権者としては、相続人の固有財産がプラスであっても、相続財産がマイナスである場合には、同様に債権が回収できない可能性が生じます。

そのため、債権者としては、責任財産を保全するため、相続財産と相続人の固有財産を分離したいというニーズがあり、それを認めたのが財産分離の制度です。

 

相続債権者や受遺者は、相続人の固有財産が債務超過の状態にある等の場合には、家庭裁判所に相続人の財産から相続財産を分離することを申し立てることができます。

この手続きをとれば、相続人の債権者に優先して、相続財産から優先的に弁済を受けることができます。

他方で、相続人の債権者の側でも、自らの債権の確保のために相続人の固有財産と相続財産とを分離する必要がある場合にも、同様の手続きが認められています。

 

基本的には、債権者や受遺者から申し立てるものであって、相続をする側にはあまりなじみのない手続きでしょうが、債権回収との関係では重要な手続きとはいえます。