不動産についての法改正

私の住んでいる愛知県での緊急事態宣言は、先月28日に解除されました。

所属事務所のある名古屋市栄地区の人出は、これによってただちに変わったとの印象はありません。

ワクチンの接種が進むまでは、引き続き、感染対策と警戒が必要だと思います。

 

コロナの影響で、コロナ対策と関わりのない法律の整備もかなり遅れたところがあるようです。

私の業務分野に深く関わるところとして、不動産関係の民法や不動産登記法の法改正が、平成31年から法制審議会で取り扱われていたのですが、先月10日に、法制審議会から法務大臣への答申がなされるところまでやっと進みました。

 

今回の法整備は、社会問題となっている所有者不明土地の問題に対処するためになされるものです。

この問題の現状を少し紹介しますと、平成28年度地積調査で土地所有者に関して調査したところ、不動産登記簿のみでは所有者の所在が確認できなかった土地の割合が、全体の約20.1%にのぼったようです。

土地の所有者が分からなければ、土地を管理する場合や、さまざまな目的で土地を利活用しようとした場合に問題が生じかねません。

所有者が不明となってしまっている原因としては、相続登記がなされていないものが約66.7%、住所変更登記がなされていないものが約32.4%であるとのことです。

 

このような現状に対処するため、さまざまなアプローチで解決策が提案されており、その中には実務的に重要なものが多く含まれています。

 

報道では、相続登記が義務化され、その違反については行政罰が規定されることになる点が強調されています。

この施策は、相続登記を義務化することで、相続登記がされないまま所有者が不明となっている事態を予防するとの観点から、導入されようとしています。

今後、どのような場合に、この行政罰が適用されるのかについても、細かく検討していく必要があります。

 

そのほかにも、さまざまな制度が整備されることになっていますので、土地の管理や相続の手続きがより円滑に進められる手段が増えることにはなっています。

他方で、これらの制度を利用することにはさまざまな制限があり、制度利用の限界や、費用の問題、本来の権利者に対するリスクの問題もあります。

 

今後のブログでは、しばらく、これらの点についてとりあげていきたいと思います。

 

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