相続土地国庫帰属制度の負担金について

今年の台風2号は、各地に大きな被害を与えたようです。

私の勤務地である名古屋ではそれほどの深刻な被害があったとは聞いていませんが、愛知県内では死者が出てしまうなどの被害があったようです。

被害に遭われた方に対しては、お見舞い申し上げます。

 

今回は、相続土地国庫帰属法の負担金について採りあげたいと思います。

 

弁護士として相続の案件を取り扱っていると、「相続財産に不要な不動産があるが、どうすればいいか」というご相談をしばしば受けます。

相続放棄をしてしまえば、そのような不動産を引き継ぐこともないのですが、そうすると、他の価値のある財産についても相続をすることができなくなってしまいます。

このように、やむを得ず相続することになってしまった不動産について、「費用を払ってでも引き取ってほしい」というニーズが相当程度あるのが実情です。

 

このような状況にあって、国は、国土の有効な利用等を目的として、相続で取得した不要な土地を国が引き取る制度を内容とする相続財産国庫帰属法を制定しました。

ただし、国も、管理が必要な土地を無償で引き取ってくれるわけではなく、引取りを申し出た者が管理費の一部として負担金を納付しなければならないとされていました。

この負担金は、「国有地の種目ごとにその管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して算定した額」とされていましたが、この内容が明らかになりました。

法務省のページは、こちらです。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00471.html

 

これによれば、宅地や田・畑などは、原則として、面積によらず20万円とされています。

ただし、宅地でも都市計画法での市街化区域などに指定されている土地は、その面積に算定式がありますし、田や畑でも、同様の取扱いがあります。

森林には、面積に応じた算定式が定められています。

 

弁護士としての私の個人的な感覚では、想定していたよりも負担金は低くなったなという印象です。

そのため、不要な土地を相続することになってしまった相続人の方には、この制度の利用も検討してみられることもおすすめします。

ただし、この制度の対象とできる土地には厳しい要件がありますし、土地に建物が建っていると利用することもできません。

そもそも利用が可能なのかというところから確かめる必要があるでしょう。