所有者不明土地問題の関連法の成立について

私の住んでいる愛知県でも、再度の緊急事態宣言が発出されました。

5月12日から5月31までの20日間が対象であるとのことです。

自分自身だけでなく、身近な大切な方をまもるためにも、個々人が自覚をもって行動していくべきだと思います。

 

以前のブログで触れてきた、所有者不明土地の問題に関する不動産関係の民法や不動産登記法の法改正、相続土地国家帰属法が、令和3年4月21日の参院本会議で可決され、成立しました。

法の公布日は4月28日であり、原則として、2年以内の政令で定める日に施行される予定です。

(法務省のリンクはこちら

 

今回は、世間でもっとも注目を集めている「不動産登記の義務化」について触れたいと思います。

 

不動産の登記については、登記権利者の権利であって義務ではないと考えられてきました。

つまり、自らが不動産を所有しているのであれば、その不動産が自らのものであることの証明として登記をしておくのは、原則として、その者の権利ではあるけれども義務ではないと考えられてきたのです。

 

しかし、所有者が不明な土地が社会問題として深刻化してきた昨今、これが見直されることになりました。

今回の法改正では、相続登記と住所・氏名変更登記については、法的な義務とされることになったのです。

 

具体的には、相続登記については、不動産を取得した相続人に対して、その取得を知った日(「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日」)から3年以内に相続登記をすることが義務付けられました(改正不動産登記法76条の2第1項)。

そして、この登記義務を怠った場合には、正当な理由がない限り、10万円の過料の制裁を受けることになりました。

 

住所・氏名変更登記については、氏名や住所について変更があったときは、変更があった日から2年以内に変更の登記を申請することが義務付けられました(改正不動産登記法76条の5)。

そして、この場合においても、登記義務を怠ったときには、正当な理由がない限り、5万円の過料の制裁を受けることになりました。

 

これらの施行については、他の規定と異なって、相続登記については公布後3年以内の施行、住所氏名変更登記については公布後5年以内の施行と、より長期の猶予が与えられています。

この間に社会的な周知を広めて、適正な対応をしていくことが求められます。

 

私も、弁護士としての職務を通じて、みなさまが適正に上記の義務を果たしていかれるように気を付けていきたいと思います。