生命保険契約の見直しで思ったこと

こんにちは。

4月は,いろいろな意味で区切りとなる月だと感じます。
弁護士の江口潤です。

最近,私が契約している生命保険を見直す機会があり,その際に思ったことがありましたので,今回はそのことを綴らせてもらおうと思います。

私の身内が生命保険の代理店業務をしており,今回も彼から従前の契約内容を見直さないかとの提案を受けました。
従前の契約では,保険料の支払いは死亡時まで続くという内容でした。
ただ,近年は高齢社会となっており,一般に80歳を超えて生きることが多くなってきていることから,稼得能力のあるうちに保険料を支払い終わる契約に変えるケースが多いようです。
弁護士には,会社員のように定年というのはないので,自分も何歳まで働き続けられるかはわからないところもありましたが,ともかく私も契約内容を見直すこととしました。

考えてみると,生命保険契約というのは,「早く死んだ方がその後の保険料を支払う必要がないので,得」という内容の契約であるわけです。
もちろん,だからといって早く死にたいとは通常思わないでしょうが,契約内容が「より長く健康に生きたい」と思えるような内容である方が望ましいとは考えられそうです。
そういう意味でいえば,稼得能力がなくなった後も保険料を支払い続けるものよりも,稼得能力のある間に保険料を支払い終わっているものの方が,「どうせ保険料を支払い終わっているんだから,より長く健康に生きたい」と思える契約内容だといえそうです。

実は,依頼者様から事件をご依頼いただく際の弁護士報酬についても,私は同じようなことを考えています。
というのは,私は普段から,弁護士と依頼者の利益ができる限り同一となって,同じ方向に向かえるようになるように契約内容自体を工夫しています。

ここで,「手間がかかった分だけ報酬をいただく」というのは,それ自体合理的な報酬の決め方のような気はしますが,私が普段から受けている案件では,そのような内容の契約は避けた方がよいのではないかと考えています。
なぜなら,依頼者は紛争を早期に解決してほしいと願っているのが通常であるのに対し,弁護士の報酬について事件処理が長引くほど上がるというのでは,依頼者と弁護士の利益が同じ方向に向いているとはいえないように思えるからです。
であれば,初めから一定の報酬基準や額を決めておき,事件が長引いたかどうかによって報酬は変動しないこととした方が,弁護士にとっても早期の解決に向かって努力ができるのではないでしょうか。

私は,名古屋で相続の案件を受けることが多いので,遺産分割協議を例にとって,普段から考えていることを述べたいと思います。

まず,上記のように,遺産分割が話合いだけでは解決できず,調停や審判となった場合には,弁護士の手間としては多くなってしまいますが,これで報酬が上がるとしたのでは依頼者の早期解決の利益と矛盾することとなってしまします。
ですので,調停や審判などの裁判手続きになるかどうかに関わらず,一定の報酬基準によるとした方が望ましいと考えられます。

次に,依頼者にとっては,遺産分割によってより多くの財産を取得することが利益につながるはずですから,弁護士の報酬も依頼者が実際に取得できた財産を基準に計算した方が,弁護士にとってもより多くの財産を取得しようとの活動につながりやすいと考えられます。

また,着手金についてもいただかないとさせていただいた場合には,依頼者にとって依頼をしやすいでしょうし,弁護士の方も依頼者から解任されないように一生懸命努力をするという行動につながりやすいといえそうです。

もちろん,これらの報酬の決め方は,報酬についての考え方の一つに過ぎないですし,個々の案件や依頼者のご意向に応じた決め方が必要でしょう。
また,弁護士であれば上記のような報酬の決め方をしなくとも,依頼者の利益に沿うように行動するのが当然でしょう。

いずれにしろ,自分が弁護士報酬について提案させていただく際には,このようなことを考えながら,より望ましい報酬基準となるように工夫をしています。

相続について名古屋で弁護士をお探しの方はこちら