不動産取引における心理的瑕疵について③

朝晩もめっきり寒くなり、すっかり秋という感じになりましたね。

私の弁護士事務所が入っている松坂屋名古屋店の本館7階のフロアでは、大北海道展が開催されています。

連日、多くのお客様が来店されていますが、商売をする側にも熱気を感じますし、非常ににぎわっています。

 

前回から引き続き、国土交通省が令和3年10月に策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」について取り上げたいと思います。

 

心理的な瑕疵の内容に該当する事実の有無や内容は、売主から買主に伝える必要があります。

不動産取引に関わる宅建業者は、販売活動・媒介活動に伴う通常の情報収集を行うべき業務上の一般的な義務を負っているとされていますが、心理的な瑕疵についてはどこまでの調査をしなければならないのかが問題となります。

 

ガイドラインにおいては、宅建業者は、原則として、自ら周辺住民に対する聞き込みやインターネットを使用した調査を行う義務まではなく、売主や貸主から過去の事案についての記載を求めることによって、通常の調査義務を果たしたものとするとされました。

宅建業者には原則として調査義務までは負わないとされているものの、仮に調査をする場合においては、亡くなった方やその遺族の名誉や生活の平穏に十分に配慮して進めることが必要とされています。

 

売主や貸主から上記の確認を取る際には、宅建業者としては、記載が適切になされるように助言をすることや、事案が存在することを故意に告知しなかった場合等には民事上の責任を問われる可能性がある旨をあらかじめ伝えることが望ましいとされています。

そして、宅建業者が、事案の存在を疑うに足りる事情があると考える場合には、売主や貸主に確認することが必要であるとされました。

 

業界で使用されている告知書(物件状況等報告書)においては、すでに事案に関する記載欄がありますし、宅建業者としては、後日、トラブルとなってしまったときに備えて、しっかりとこの書類を保存しておくことが必要だといえます。