相続人申告登記について

安倍元総理大臣が凶弾に倒れました。

一報を聞いたときは非常に驚きましたし、命を落とされたと聞いたときはショックでした。

その業績に対する評価はさまざまでしょうが、日本という国のことを考えて非常に尽力された方であろうと思います。

このような形で最期を迎えられたことは、関係者にとっては非常に悔しいでしょうし、何よりご本人が無念であったろうと思います。

心からご冥福をお祈りいたします。

 

今回は、相続人申告登記について取り上げたいと思います。

 

法律が改正され、相続登記が義務化されることは過去のブログでも採りあげました。

 

弁護士業務をしている中でも、「期限内に相続登記をすることが義務化される」=「期限内に遺産分割協議を成立させなければならない」と考えられている方も多いように思いますが、実は、正確には異なります。

遺産分割協議の成立による相続登記以外にも、法定相続登記による登記をすることができますし、これにより法律上の義務は果たしたことになります。

 

今回の相続登記の義務化によって、新たに「相続人申告登記」という制度が設けられることになりました。

相続人申告登記とは、相続人が、所有権の登記名義人について相続が開始した旨と自らが登記名義人の相続人である旨を申し出ることによる登記のことです。

上記の法定相続登記との違いは、登記の際に提出が必要となる書類が少なくなるということです。

法定相続登記においては、すべての相続人関係を明らかにする必要がありますから、被相続人の出生から死亡、各相続人の現在の戸籍等を提出する必要があります。

他方で、相続人申告登記では、自らが相続人であることのみを示せばよく、被相続人の死亡の記載のある戸籍と自らの戸籍(これに加えて、名古屋市等の住所を証する住所証明情報も)の提出だけで済む場合があります。

このように、相続登記が義務化されたことによって、相続人に過度の負担が生じないように簡易な制度が設けられることになったのです。

 

この登記は、「申出」とされており、「申請」とはされていません。

これは、この登記があくまで申出人からの申出によって、登記官が職権で登記をすることができるという形式が採られているためです。

登記の内容としても、権利登記への付記登記として扱われます。

 

登録免許税などの登記に必要な費用の面でも配慮がされるかもしれません。

相続登記の義務化は政策的な観点から定められたものですので、なるべく負担がないような制度としてほしいと思います。