2025年の振り返り

今年も年末が近くなってまいりまして、何かと忙しい時期になってきました。

今年も多くの債務整理案件を担当させていただきました。今年の初めにパラリーガルの人数が減ってしまった関係で受任をセーブしていたり、新たに債務整理を担当する弁護士が増えて任意整理を任せたりした関係で、昨年より件数は減りましたが、今年1年で約300件の債務整理を受任させていただきました。

今年特に印象的だったのは、ある破産管財事件で管財人から免責不許可とすべきという意見が出されたことです。返済に窮した破産者がクレジットカードで換金目的で商品を購入していたことが、破産法252条1項2号に当たる、という理由でした。

確かに、換金行為は同号の免責不許可事由に該当する行為ですが、返済に窮した債務者が何とか月々の返済をしようと換金行為に及ぶことはよくある話で、これまでの破産管財事件でも免責不許可事由に該当するとの判断がなされたことはありましたが、いずれも裁量免責(裁判所の裁量で免責を許可すること)が相当である、と判断されてきました。今回のケースでの破産者は、様々な財産を手放さなければならなくなり経済的な制裁を受けたといえましたし、当職の助言に対しても誠実に対応していただき、しっかりとした反省の態度を見せることができていたので、裁量免責にすらならないという判断は不当なものと感じました(しかも、管財人が提出した免責調査報告書には、裁量免責が相当ではないことの理由付けがほとんど論述されておらず、その点にも疑問を持ちました。)。そこで、裁判所に対して意見書を提出するとともに、債権者集会の場でも上記のような裁量免責に値する事情を述べ、「債務者の経済生活の再生の機会の確保を図る」という破産法1条の目的に沿った適切な判断をしていただきたい旨を述べたところ、無事に免責許可が得られました。

免責許可が得られるかどうかは、破産者の今後の人生を大きく左右します。最後まであきらめず、やりぬいた結果が実ってよかったと思います。