黙秘権と取り調べ拒否

先日、名古屋市西区で主婦が殺害された事件の被疑者が、事件から約26年後に逮捕されたというニュースがありました。報道によれば、被害者の夫は事件現場であるアパートを事件後も借り続け、事件当時の現場の状況を保存し続けていたとのことで、現場に残っていた被害者ではない者の血痕のDNA型と逮捕された被疑者のDNA型が一致している、とのことです。

なお、この被疑者について、逮捕当初は「家族に迷惑をかけるため捕まるのが嫌だった。26年間毎日不安だった。」などの供述をしていると報道されていましたが、最近になって黙秘権を行使し、取り調べを拒否している、との報道がなされています。

黙秘権とは、被疑者が取り調べに対して、話したくない事柄については話さなくてもよい権利を意味します。取り調べで話した内容については、その後の裁判において自分に不利な証拠として利用される可能性があるため、その証言を拒否することが権利として認められています。また、最近では、取り調べの場において黙秘するだけではなく、そもそも取り調べ自体を拒否できなければ完全な黙秘を貫くことは難しいという観点から、刑事裁判で有名な高野隆弁護士が代表となって、取り調べ拒否権を実現しようとする会(RAIS)も発足しており、今回の事件ももしかしたらこの会に参加している弁護士が担当しているのかもしれません。

担当弁護士の弁護方針も含めて、今後も注目していきたいと思います。