債権者による破産申立て

8月18日に脱毛サロンのミュゼプラチナムを経営していたMPH株式会社について、東京地方裁判所が破産手続きの開始決定をした、との報道がありました。

NHKニュースによると、給与が未払いであった元従業員が、東京地方裁判所に対して、破産手続きの開始を求めて申し立てをしたようです。

破産手続きをする際、債務超過に陥り、借金の支払いができなくなった方が自ら裁判所に破産の申し立てをするのが通常ですが、破産法は「債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。」と規定しており、「債権者」も破産の申し立てをすることができることとなっています。今回は、MPH株式会社の債権者に当たる元従業員が破産の申し立てをしたことになります。

なお、債権者が破産の申し立てをする場合、債務者(=破産者)による協力が得られないこともあり、その状態で債務者の負債の状況や財産状況等を把握するのはかなりハードルが高いといえます。また、裁判所へ納付する予納金も債権者が負担しなければならない一方で、債務者に財産がなければ、破産手続きにおいて債権者が十分な配当が得られない可能性も高いため、債権者としても費用対効果が合うかどうかも微妙なところです。

もっとも、破産手続きの開始決定が出されれば、未払賃金立替払制度という制度を利用することができ、未払賃金の約8割の支払いを受けることができるようになります。今回は、給与が未払いであった元従業員が多数いたため、未払賃金立替払制度を利用するため、債権者破産に踏み切ったものと考えられます。