自己破産はどのような方に適しているか

こんにちは。すっかり夏の天気になり,私の住んでいる名古屋でも連日30度を超える厳しい暑さとなっています。皆様も熱中症にはくれぐれもご注意ください。

さて,今回は,自己破産についてどのような方に適しているのかをご説明したいと思います。もっとも,任意整理及び個人再生のところでは,それぞれの手続きのメリットをご紹介し,どのような方に適しているのかをご説明いたしましたが,自己破産の場合には逆にこういう方は自己破産すべきでない,というご紹介の仕方になります。

そもそも自己破産とは,裁判所を通じた手続きによって,借金の金額をゼロにしてもらうこと(「免責」といいます。)をいいます。

その最大のメリットは,やはり借金がゼロになるため,任意整理や個人再生とは違って手続き終了後に返済をする必要がなくなるということです(もっとも,滞納した税金や養育費,不法行為による損害賠償義務など,破産によっても免責されないものもあります。)。

ただし,このような大きなメリットをもたらす手続きですから,破産をする場合には様々なデメリットやリスクがあります。

①免責不許可事由があると破産が認められない可能性がある。

免責不許可事由とは,破産の申し立てをした方にそのような事情があった場合に,裁判所が免責を許可しないことができる事由のことをいい,例えばギャンブルや投資によって借金を増やした場合や,クレジットカードで購入した商品を決済が済まないうちに売却して現金化した場合などが挙げられます。

もっとも,免責不許可事由があっても,裁判所の裁量で免責許可が得られることもありますので,免責不許可事由があっても破産できる可能性はあります。

②財産が取られてしまう。

破産の申し立てをした方が,不動産や自動車などの価値の高い財産を持っている場合,それらの財産が処分されてしまい,債権者への配当に充てられてしまう可能性があります。

もっとも,すべての財産が取られるわけではなく,99万円以下の金銭や生活に不可欠な家財道具は,自由財産として手元に残すことも可能です。

自己破産をしても残すことのできる財産についてはこちらをご覧ください。

③破産をするとできない職業がある。

警備員や保険の募集人などは,破産をするとその職業に就くことができなくなってしまいます。

したがって,それらの職業で生計を立てている方は,破産をすることで職業を失ってしまうことになりますから,破産を避けるか,別の職種へ転職する必要があります。

自己破産をすると影響のある資格・職業についてはこちらをご覧ください。

以上より,破産をすると就くことができない職種に就いておらず,特に処分されて困るようなめぼしい財産もなく,かつ免責不許可事由にもあたらない方は,自己破産が適しているといえます。

また,免責不許可事由に該当していても,裁判官の裁量で免責許可が得られる場合もありますから,任意整理や個人再生では返済のめどが立たない場合には,自己破産を選択するのもよいかと思います。

ただし,ここでお話しした内容は簡単な一般論にとどまり,どの方針をとるべきかは個別具体的な判断が必要となります。

債務整理でお悩みの方は,弁護士法人心までご相談ください。

個人再生はどのような方に適しているか

先月は,任意整理はどのような方に適しているかというタイトルで,任意整理のメリットについてお話しさせていただきました。今月は個人再生についてお話したいと思います。

まず,そもそも個人再生とは,裁判所を通じた手続きによって借金の金額を減らしてもらい,分割によって完済を目指す手続きです。

メリット① 借金の金額を減らすことができる

任意整理の場合には,利息をカットできる可能性はありますが,借金の元本は減りません。

他方で,個人再生の場合には,借金の金額が,100万円か,5分の1か,清算価値(自分の財産をすべて処分した場合に得られる金額)のいずれか高い金額まで減額されます。例えば,借金の金額が1000万円あり,財産がほとんどない方は200万円まで減額され,借金は1000万円あるが,300万円の財産がある方は300万円まで減額されます。

また,分割弁済の期間は原則として3年間で,特別の事情が認められれば最大5年間まで延長することも可能です。

メリット② 家を残すことができる

個人再生の大きな特徴の一つとして,住宅ローンが残っている状態で個人再生をしても家を残すことができるという点です。したがって,借金の金額が多く任意整理では払いきることができないが,家を残したいという方は,個人再生が適しているといえます。

メリット③ 免責不許可事由があっても個人再生できる

自己破産の場合,投資やギャンブル,浪費等によって借金を増やした場合など,免責不許可事由に該当する事情がある場合には破産が認められないことがあります。もっとも,個人再生の場合には,免責不許可事由があっても認められますので,免責不許可事由に該当する方でも借金を整理することができます。

したがって,借金の金額を減らさないと完済はできないが,ローンを組んだ家は残したいという方,投資やギャンブル,浪費によって借金を増やしてしまったが,整理をしたいという方は個人再生が適していると考えられます。

個人再生をお考えの方は,弁護士にご相談ください。

個人再生に関する名古屋駅法律事務所のサイトはこちら

任意整理はどのような方に適しているか

今年のゴールデンウィークは,史上最大の10連でした。いかがお過ごしでしたでしょうか。

さて,先月のブログで借金の整理の方法は大きく分けて3つあるとのお話をさせていただきました。借金の整理をお考えの方にとって,自分はどの方針をとったらよいかわからないという方のために,それぞれの方針についてのメリットをご紹介したいと思います。

今回は任意整理についてお話します。

メリット① 家族に内緒で借金の整理ができる

借金問題は,家族や近しい友人などにも打ち明けにくいものだと思いますから,借金の整理についても誰にも知られずに終わらせたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。任意整理は,裁判所を通じた手続きではなく,弁護士と各貸金業者や銀行等(以下,「債権者」とします。)が個別に交渉し分割返済の約束をする手続きですから,家族にも知られずに行うことが可能です(もっとも,債権者が訴訟提起するなどした場合には,自宅に裁判所からの書面が届いてしまう場合があります。)。

メリット② 月々の返済金額や利息を減らすことができる

借金問題でお困りの場合,返済金額が多くて生活が回らない,毎月返済をしているがそのほとんどが利息に充てられてしまい元本がなかなか減らないというケースが多く見受けられます。任意整理では,借金の利息を免除(減額)してもらい,元本を長期間(目安としては3年~5年)で分割返済する合意を目指すことになります。したがって,任意整理によって月々の返済金額が減り,また利息が免除(減額)されることで完済までの見通しを立てることができます。

メリット③ 費用を安く抑えられる

個人再生や自己破産の場合,着手金だけで数十万円ほどかかりますが,任意整理では比較的費用を安く抑えることができます。なお,弁護士法人心の場合,着手金は1社当たり3万9800円+税,成功報酬金は0円です。

メリット④ 資料集めや書類作成の手間がない

個人再生や自己破産の場合,裁判所に提出しなければならない資料がたくさんあります。弁護士に依頼した場合でも,資料集めや家計の状況などについてはご自身で作成しなければならないものもあって手間がかかりますが,任意整理の場合にはそれらの負担がありません。

任意整理に要する期間についてはこちらをご覧ください。

来月は,個人再生のメリットについてご紹介したいと思います。

借金の整理の方法

こんにちは。新元号「令和」が発表され,裁判所からの次回期日に関する書面も「令和元年○月○日」という記載がされるようになりました。いよいよ改元が間近に迫ってきたな,という印象です。

さて,元号も変わるタイミングで借金の整理をお考えの方もいらっしゃるかもしれません。そこで,借金の整理の方法についての大枠をお話したいと思います。

借金の整理の方法は,大きく分けて3つあります。①任意整理,②個人再生,③自己破産です。

①任意整理とは,貸金業者との間で任意の話し合いによって,借金の利息をカットしてもらったり長期間での分割弁済の合意をすることをいいます。借金の金額が多い場合には,月々の返済金額の大半が利息に充てられてしまい元本がほとんど減らない…といった事態に陥ってしまうことがあります。任意整理により,利息をカットしてもらうことができれば,完済までの道筋が見えてきますし月々の支払金額を減額できる場合もあります。

②個人再生とは,裁判所を通じた手続きによって,借金の金額を減らし,3年(場合によっては5年)で分割返済をすることをいいます。個人再生のメリットとしては,住宅資金特別条項を利用することで,住宅ローンの残っている住宅を残したまま手続きをすることができる可能性がある点です。破産の場合には,住宅ローンの残っている住宅は競売にかけられるなどしてしまいますので,住宅を残して借金の整理をしたい方は,個人再生を検討すべきでしょう。

③自己破産とは,裁判所を通じた手続きによって,借金をなくすことをいいます。借金がなくなる点でメリットも大きいのですが,破産が認められなくなってしまう事情(免責不許可事由)もありますので注意が必要です。この点については,いずれ詳しく取り上げたいと思います。

それぞれの手続きにおいて,メリット・デメリット,利用できる条件等が異なります。借金の整理をお考えの方は,弁護士にご相談ください。

債務整理の種類についてはこちらもご覧ください。