民法改正~債権者代位権①~

令和3年もあっという間に1か月が過ぎました。

私の所属する弁護士法人心豊田法律事務所では、1月下旬よりスタッフが1名増えるという大きな変化がありました。

より一層皆様にとって頼りになる事務所となるよう努めて参りますので、今後もご愛顧いただけますと幸いです。

さて、今回のテーマは「債権者代位権」です。

とはいえ「債権者代位権」という用語は日常生活ではなかなか聞く機会もないかと思いますので、改正の内容に入る前に、そもそも債権者代位権とはどのような権利なのかを簡単にご説明いたします。

債権者代位権とは、債権者が自分の債権を保全する必要がある場合に、債務者が有している権利を行使することが出来る権利のことを言います。
言葉だけではイメージしにくいので、具体例を用いて見てみましょう。

【具体例】
Aさん(債権者)がBさん(債務者)に対して100万円の金銭債権(100万円を請求する権利)を持っています。
ただ、Bさんは現金や預貯金を一切有しておらず、すぐにお金に代えられるような動産や不動産もありません。
しかし、Bさんは、Cさんに貸した100万円の返還請求権を有していました。
Aさんとしては、BさんがCさんから100万円を返してもらって、そのお金を自分に支払って欲しいと考えていますが、Bさんは一向にCさんに100万円の返還を求めようとしません。

このようなケースにおいては、Aさんが自分の債権(Bさんに対する100万円の金銭債権)を保全する必要がありますので、Aさんが債権者代位権を行使すると、BさんがCさんに対して有している100万円の返還請求権をAさんが行使できるようになります。
このようにして債権者代位権を行使することによって、Aさんは自分の債権の回収を図ることができるのです。

債権者代位権に関する条文は、旧法では423条の1つだけでしたが、新法では423条~423条の7までの7つの条文が設けられています。
次回以降、債権者代位権の条文に関する主だった改正点をご説明したいと思います。