忙中閑あり

新年度が始まりました。

といってもすでに4月20日ですので、少しは新たな生活に慣れてきた頃でしょうか?

私はと言えば、仕事の内容や環境については特段大きな変化はなかったのですが、例年通り、年度替わりの事務作業等でややバタバタしておりました。今はそんな雰囲気も段々と落ち着いてきて、通常営業に戻ってきております。

さて、いつもながら突然ですが、私は、仕事が忙しいときに、良く思い出す言葉があります。

それが、タイトルに挙げさせていただいた「忙中閑あり」です。

これは「忙しくて全く暇の無いように見える時でも、ふとした折にちょっとした暇はできるものだ。」という意味の慣用句です(三省堂辞書より引用)。

この言葉は、私が司法試験受験生時代に、一番お世話になった恩師の弁護士先生から伺ったエピソードに登場したもので、今でも非常に印象に残っていますので、簡単にご紹介させていただきます(なお、特定を避けるため、若干フェイクを入れさせていただきます。)。

恩師の先生が、寝る時間も削って仕事をしないといけない程に忙しかった時期、とある依頼者さんより、早めの面談希望が入りました。

ですが、忙しすぎて、依頼者さんが希望した時間帯に面談することが叶わず、面談できたタイミングが少しだけ遅くなってしまったそうです。

そして、その面談の際に、恩師の先生が依頼者さんから貰った言葉が「忙中閑あり」でした。

依頼者さんとしては、「どれだけ忙しくても、ふとした折にちょっとした暇はできるものだから、その時間に面談くらいできるだろう。」ということが言いたかったようです。

恩師の先生は、当時は本当に忙しくて面談の時間を設けることができなかったので、さすがにカチンときたと仰っていましたが、この言葉をバネに、忙しい中でも時間を作ってその依頼者さんにとって完璧な弁護活動を行い、最終的には、依頼者さんから非常に感謝される程の結果を勝ち取ったそうです。

私は、この話を聞いて、「『忙中閑』の『閑』の時間に仕事をしているから結局『忙中忙』やんけ。」と捻くれた感想を抱きつつも、そんなに忙しい中でも依頼者さんにとって最良の結果を獲得した恩師の先生はとてもかっこいいと思いました。

忙しさで倒れそうな時は、このエピソードを思い出して、自分を奮い立たせています。

ですので、このエピソード込みで、「忙中閑あり」が、弁護士になってからの私の座右の銘です。

私も、恩師の先生のようなかっこいい弁護士になれるように頑張ります。