民法改正~債務不履行による損害賠償請求~

先日,豊田市でもコロナウイルス感染のクラスターが発生したとの報道がありました。

万が一,自分が感染してしまうと,多方面に迷惑がかかってしまうので,より一層注意をして行動をしていきたいと思います。

さて,今回のテーマは「債務不履行による損害賠償請求」です。

まず,新旧の条文を見てみましょう。

旧法第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは,債権者は,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも,同様とする。

新法第415条1項
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは,債権者は,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし,その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは,この限りでない。

旧法では「履行をすることができなくなったとき」すなわち「履行不能」については,債務者に帰責事由がないと損害賠償義務を負わないと言うことが明らかでしたが,履行不能以外の債務不履行の類型であるとされる「履行遅滞」や「不完全履行」については,帰責事由がない場合に債務者が賠償義務を負うのか否か,条文上は明確ではありませんでした。

もっとも,一般的には,履行不能以外の債務不履行の類型についても,帰責事由がない場合には損害賠償義務を負わないと解されてきましたので,新法ではこの点が明らかになるよう「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは,債権者は,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。」と規定されました。

また,新法では,帰責事由の有無の判断は「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」行われることが明らかになっています。