民法改正~債権者代位権⑤~

雨の日が続きますね…

雨の影響で電車の遅延が発生している地域もあるようですが、豊田市行きの電車は雨で遅れることはほとんどないのが救いです。

さて、今回も債権者代位権に関する改正内容の続きを見ていきたいと思います。

前回は新法423条の3について解説しましたので、今回は新法423条の4ですね。

今回の解説の前提として、まず、次のような事案を検討してみましょう。

「Bさんは、Cさんとの間で、Bさんが所有する絵画を100万円でCさんに売却するという売買契約を締結した。ただし、代金についてはまだCさんから支払ってもらっていない。」(Aさんは書き忘れたわけではなく、後程出てきます。)

では、この事案で、BさんがまだCさんに絵画を引き渡していなかったとしたらどうなるでしょう?

この場合、BさんがCさんに対し「100万円を支払え」と言ってきたとしても、Cさんは、Bさんに対し、「Bさんが絵画を渡してくれるまで、100万円は支払わない。」ということのできる権利があります(これを「同時履行の抗弁権」と言います)。

それでは、上記の事案において、「Bさんに100万円を貸したがBさんに返済のための資力がないために困っているAさん」を追加して考えてみましょう。

この場合、Aさんは、債権者代位権の制度を利用し、BさんがCさんに対して有している100万円の売買代金請求権を行使できるようにも思えます。

しかし、問答無用でAさんがCさんから100万円を回収できるとすると、CさんはBさんに対しては、「絵画を渡してくれるまで、100万円は支払わない。」ということができたのに、Aさんに対してはこのような主張をすることができず、絵画を得ることもできない上に100万円まで取られてしまうという踏んだり蹴ったりな状況になってしまいかねません。

そこで、新法423条の4は、Cさんは、Bさんに対して主張することが出来る抗弁(今回の場合、「絵画を渡してくれるまで、100万円は支払わない。」という主張)をもって、Bさんに対する債権者であるAさんに対抗できるとしています。

これによって、Cさんは、たとえAさんが債権者代位権を行使したとしても、Bさんから絵画を受け取るまではAさんに対して100万円を支払うことを拒否できるのです。