相続分譲渡の税務について

今年も残り1か月になりました。

今年を振り返ると、あっという間の1年でしたし、目標としたことが達成できた面も、達成できなかった面もあります。

名古屋でも寒い日が多くなったように思います。

体調を崩さずに、今年の残りの日々を充実したものにしていけるように努めたいと思います。

 

今回は、「相続分譲渡の税務」について、取り上げたいと思います。

 

相続分の譲渡とは、相続人が自己の相続分を譲渡することです。

税務の観点からすると、共同相続人か第三者のいずれに譲渡するのか、有償か無償のいずれで譲渡するのかによって扱いが異なります。

 

まず、共同相続人に対する譲渡を考えます。

無償で譲渡された場合、贈与税がかかるわけではなく、最終的に取得した財産額に応じて、相続税が課税されることになります。

有償で譲渡された場合、譲渡した者には譲渡対価の額に対して相続税が課税されることとなり、譲渡所得が生じることにはなりません。

この場合には、遺産分割における代償分割と類似のものとなりますので、譲渡を受けた者は、譲渡対価を差し引いた財産額に対して、相続税が課税されることになります。

 

次に、第三者に対する譲渡を考えます。

相続分の譲渡を受けた第三者は相続税の納税義務者にはなりませんので、引き続き、譲り渡した者が相続税の納税義務を負うことに注意しなければなりません。

無償で譲渡を受けた場合、譲り受けた者には、財産の贈与を受けたものとして、贈与税がかかります。

有償で譲渡を受けた場合、譲り受けた者は、適正な対価で譲り受けている場合には、税金はかかりません。

譲り渡した者は、上記の相続税のほか、譲渡所得税がかかります。

このときに注意しなければならないのは、個々の財産の譲渡ではなく、包括的な権利の譲渡となるため、分離課税ではなく、総合課税となると考えられていることです。

 

相続分の譲渡においても、税金のことを考えながら進める必要がありますので、注意してください。