先日、名古屋でも台風の影響があり、大雨が降りました。
被害が大きかった地域もあったようで、被害に遭われた方にはお見舞いを申し上げます。
災害の被害に遭うことは誰の身にも生じえますし、しっかりと日頃から注意していきたいと思います。
今回は、「遺言制度の見直し」について、取り上げたいと思います。
現在、遺言制度の見直しが検討されており、パブリックコメントが募集されています。
高齢化の進展や単身の高齢者が増加したことに加えて、所有者不明土地という社会問題を解決する必要があることが見直しのきっかけとなっています。
デジタル技術の進展や普及もされていることから、これに応じた方式を検討する必要があるとされています。
自筆証書遺言や公正証書遺言など、遺言書は、一定の要件にしたがって作成することが要求されていましたが、これは、遺言者の真意であることを確保するために、決められていた制度でした。
新たな遺言の方針の検討にあたっても、遺言者の真意であることを確保することを維持しつつ、より簡便に作成できる方式を検討することとされています。
デジタル技術を利用した新たな方式として、以下の案が検討されているようです。
【甲案】遺言の本文を電磁的記録により作成し、遺言者による全文等の朗読を録音・録画等により記録して遺言する方式
【乙案】遺言の本文を電磁的記録により作成し、公的機関で保管して遺言する方式
【丙案】遺言の本文をプリントアウト等した書面により作成し、公的機関で保管して遺言する方式
これらの方式で作成する場合、遺言の本文をパソコンやスマートフォン等によって作成した電磁的記録またはプリントアウト等した書面を作成することになります。
それぞれの方法で、遺言者の真意が確保できるのかどうかを検討しないといけないですし、悪用のおそれがないかも検討しなければなりません。
甲案については、証人の立会いを要件とする案と、証人を要せず、これに相当する措置を要件とする案が提示されています。
ここでは、「本人が朗読したものかどうか」という点と、「本人の意思によるものかどうか」という2点での検討をする必要があると思います。
証人の立会いという点についても、ウェブの方法によるものを認めるのかどうかなど、検討の点はあります。
本人確認の方法についても、専用のアプリを利用するなど、デジタル技術を用いた方法が考えられているようですが、他方で、この方法を厳格に定めてしまうと、高齢者が容易に利用できない制度ともなってしまうように思われます。
加えて、これらの方式で作成された遺言書を用いて相続手続きをするときに、これらの方法で作成された場合に、手続き先の法務局や金融機関が、どのようにして要件を満たしているのかを確認するのかを検討する必要もあるでしょう。
現時点では、これらの案に対しての意見が募集されています。