昨今,新型コロナウイルスの感染が拡大しております。
弁護士の仕事への影響も少なくなく,例えば,裁判が延期になったり,電話会議になったりしております。
皆様が新型コロナウイルス感染症に罹患しないことを心よりお祈り申し上げます。
唐突に話題は変わりますが,4月1日をもって,ついに改正民法が施行されました。
そこで,今までの記事では,改正前の民法を「現行民法」,改正後の民法を「改正民法」と呼称していましたが,今後は,改正前の民法を「旧法」,改正後の民法を「新法」と呼ぶようにしたいと思います。
今回は,「条件」について,お話いたします。
例えば,AとBさんが,「Aさんが大学に合格をしたら,BさんがAさんに100万円を贈与する。」という約束をした場合ですと,「Aさんが大学に合格をしたら」という部分が,「条件」となります。
ちなみに,民法には「条件」と似た概念として,「期限」というものがあります。
両者の違いは,「条件」が実現するかどうか不確実な事実であるのに対し,「期限」は将来必ず実現する事実であるという点にあります。
ですので,例えば,CさんとDさんが,本日(2020年4月14日)に「2020年12月31日になったら,DさんがCさんに100万円を贈与する。」という約束をした場合,「2020年12月31日」という部分は,「条件」ではなく,「期限」となります。
では,最初のAさんとBさんの例で,Aさんがカンニングをして大学に合格をしたという場合でも,BさんはAさんに100万円を贈与しなくてはならないのでしょうか。
この点について,旧法には特段の規定はありませんでしたが,新法では以下のような規定が設けられました。
新法130条2項
条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
この規定により,先ほどの例では,Bさんは,カンニングをして大学に合格をした(不正に条件を成就させた)Aさんに100万円を支払う必要はないということになります。