民法改正~詐欺~

台風10号が近づいているとのことで,豊田市も雨風が強くなってきております。

皆様,外出の際は十分にお気を付けください。

さて,今回のテーマは「詐欺」です。

 

まず,条文を見てみましょう。太字の部分が改正箇所です。

現行民法96条

1 詐欺又は強迫による意思表示は,取り消すことができる。

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては,相手方がその事実を知っていたときに限り,その意思表示を取り消すことができる。

3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは,善意の第三者に対抗することができない。

改正民法96条

1 詐欺又は強迫による意思表示は,取り消すことができる。

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては,相手方がその事実を知り,又は知ることができたときに限り,その意思表示を取り消すことができる。

3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは,善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

 

第2項については,第三者が表意者に対して詐欺を行ったことを取引の相手方が知らなかったとしても,取引の相手方において第三者が表意者に対して詐欺を行ったことを知ることができた場合は,取引の相手方よりも表意者を保護する必要性の方が高いという考えから,「知ることができたときに限りという文言が追加されました。

 

第3項については,詐欺に遭って意思表示をした者は,自ら積極的に虚偽の意思表示をした場合に比べ,責められるべき事情が小さいという考えから,詐欺による意思表示を前提として取引に入った第三者においては,善意(詐欺による意思表示であることを知らなかった場合)であるだけではなく,無過失(詐欺による意思表示であることを知らなかったことについて過失がない場合)でないと,保護を受けることができないように改正されました。