民法改正~時効に関する経過措置について~

台風が過ぎ去り,豊田にも秋の気配がやってきました。

季節の変わり目ですので,皆様体調を崩さないようお気をつけてお過ごしください。

さて,今回は,改正民法の時効制度に関するお話の最後として,改正民法施行までの経過措置についてお話したいと思います(なお,改正民法は西暦2020年4月1日に施行されることになっています。)

まず,改正民法施行日前に債権が生じた場合(施行日以後に債権が生じた場合であって,その原因である法律行為が施行日前に行われた場合を含みます。以下においても同様です。)の時効期間は改正民法施行後も旧法が適用され,改正民法の施行日以降に生じた債権の時効期間は改正民法が適用されることになります(附則10条4項)。

また,不法行為による人身損害による損害賠償請求権の時効期間は,旧法では損害及び加害を知った時から3年,改正民法では損害及び加害者を知った時から5年となっているところ,改正民法の施行日前に不法行為が発生し,改正民法施行日時点で損害及び加害を知った時から3年が経過していなければ,時効期間は5年となります(附則35条2項)。

施行日前に生じた時効中断事由・時効停止事由の効力については,旧法によることとなります(附則10条2項)。

また,改正民法で新たに設けられた「権利に関する協議を行う旨の合意が書面によってなされた場合の時効完成猶予」(改正民法151条)については,書面による合意がなされた日が改正民法の施行日前である場合は適用されません(附則10条3項)

細かいことですがいずれも重要な部分ですので,十分に気を付けて業務を行っていきたいと思います。