民法改正~消滅時効について②~

今回は,前回に引き続き,民法改正に関し,人身損害による損害賠償請求権の消滅時効について,お話をしたいと思います。

前回お話をしたとおり,民法改正によって,債権は,「主観的起算点から5年間行使しないとき」または,「客観的起算点から10年間行使しないとき」に,時効によって消滅することが原則となりました(改正民法166条1項)。

また,不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間については,主観的起算点から3年間,客観的起算点から20年間とされています(改正民法724条)。

では,人身損害による損害賠償請求権についても,上記のような原則どおりの時効期間となるのでしょうか?

この点,現行民法においては,人身侵害による損害賠償請求権とその他の債権で時効期間に差異は設けられておりません。

しかし,改正民法では,人の生命・身体の重要性に配慮し,人身侵害による損害賠償請求権の消滅時効の期間は,損害賠償請求権の発生原因が債務不履行によるものであっても不法行為によるものであっても,主観的起算点から5年,客観的起算点から20年とされることになりました(改正民法167条,同724条の2)。

このように,改正民法においては,人身侵害による損害賠償請求権とその他の債権で時効期間に差異が生じるようになりましたので,日頃の弁護士業務においてもしっかりと注意を払っていきたいと思います。