民法改正~消滅時効について①~

ご存知の方も多いかもしれませんが,2020年4月1日より,改正民法が施行されます。

この度の改正では,新設された条文も含め,民法全体にわたって,実に342か条もの条文が改正されています。

弁護士業務においても多大な影響があるかと思われますので,このブログでも,改正民法について少しずつお話をしていきたいと思います。

第1回は消滅時効についてです。

消滅時効とは,簡単に言うと,一定の期間権利が行使されなかった場合に,当該権利を消滅させる制度です。

現行の民法では,債権は権利を行使することができる時から10年間を経過することで消滅時効が完成することを原則としつつ,例外として,一定の種類の債権(タクシーの運賃の債権や,飲食店の飲食代の債権などが挙げられます。)については短期の消滅時効を定めています。

対して,改正民法では,上記の短期の消滅時効は廃止され,原則として,債権は,①債権者が権利を行使することができることを知った時(これを,「主観的起算点」と言います。)から5年間行使しないとき,または,②債権を行使することができる時(これを,「客観的起算点」と言います。)から10年間行使しないときに,消滅時効が完成することとなりました(改正民法166条)。

次回の記事では,人身損害による損害賠償請求権の消滅時効についてお話をしたいと思います。