民法改正~時効完成の障害事由について①~

前回までは消滅時効の話をいたしましたので,今回は消滅時効に関連する「時効完成の障害事由」に関する改正についてお話をしようと思います。

現行民法では,時効完成の障害事由は,「時効の中断」と「時効の停止」の2種類となっています。

「時効の中断」とは,時効の進行中に時効の基礎となる事実状態の継続が破られたことを理由に,それまで進行してきた時効期間をリセットするというものです。

「時効の停止」とは,権利者による時効の中断を不可能または著しく困難にする事情が生じた場合に,その事情の消滅後一定期間が経過する時点まで,時効の完成を延期するというものです。

改正民法では,これらの「時効の中断」,「時効の停止」という用語が,それぞれ「時効の更新」,「時効の完成猶予」に改められ,更新事由,完成猶予事由についても整理がし直されることになりました(具体的にどのような整理がなされているかということに関しては,かなり細かな話になってしまいますので,ここでは割愛いたします)。

時効の完成猶予事由,更新事由を見過ごして消滅時効を完成させてしまったりすると,弁護過誤となってしまいますので,弁護士としては,時効の完成猶予事由,更新事由にも十分に注意をして業務を行っていく必要があるかと思います。