任意後見のメリット

成年後見のデメリットは、本人にかわって財産を管理する成年後見人が家庭裁判所によって勝手に選ばれてしまうという点にあります。

上申という方法で、家族の誰かや知り合いの信頼できる弁護士等に成年後見人になってもらう方法もありますが、最終決定権限は家庭裁判所にありますので、必ずしも指定した人物が成年後見人になることができるわけではありません。

また、毎月おおむね2万~5万円の成年後見報酬が本人の財産から支払われることになります(※各地域の家庭裁判所や本人の財産状況等によって額は変わります。)。

ご家族からすると、知らない人に本人の財産を管理されたうえに毎月目減りしていく感覚となってしまい、抵抗感があるのが実情です。

これに対し、任意後見人は、本人があらかじめ自由に選んでおくことができますし、報酬もあり・なし含め自由に決めることができます。

デメリットとしては、本人が元気で判断能力がある間でなければ、選ぶことができないこと。

任意後見人にも、それを監督する任意後見監督人が選ばれるということです。

ただ、任意後見監督人の報酬は、成年後見人の報酬よりも低いことが多いようですし。任意後見人にお願いする管理内容をあらかじめ自由に決めておくことができるという点は大きなメリットです。

 

相続対策を検討する際に見落としがちなこと

相続対策をお考えの方がよく見落としがちなポイントとして、「認知症対策」があげられます。

皆さん、亡くなった後のことはご心配されているのですが、意外に何も手立てが取れなくなってしまうのは、亡くなった場合よりも、認知症等で判断能力を失ってしまった場合です。

亡くなった場合は、相続手続に入ることができるので、紛争になるか、ならないかは別としても、いずれは決着がつきます。

ただ、判断能力を失ってはいるもののお元気、というパターンでは、相続手続は始まらないものの、金融機関が状況を把握すると、資産は凍結されて動かすことが出来なくなるという事態に直面します。

このような事態になってしまうと、家庭裁判所に成年後見人を選任するよう申し立てるしか方法がなくなってしまいます。

成年後見人は、弁護士や司法書士等の専門家が選ばれることも多いので、全く自らのあずかり知らない専門家に、家族の資産管理をお願いせざるを得なくなってしまうこともあります。

また、成年後見人はあくまでも本人の資産を守ることが目的ですので、家族の生活費を支出したりすることは基本的にはできません。

このような事態にならないようにするため、判断能力がしっかりしていてお元気なうちに、任意後見人を選んでおくことをお勧めします。

10月から相続教室が名古屋駅でスタート

10月から、栄・中日文化センターにて、「後悔しない相続税・遺言・贈与・信託対策」の講座を半年間開催させて頂きます。

新規で受講される方ももちろん大歓迎ですし、これまで受講された経験のある方の再受講も大歓迎です。

多くの方が、二回聞きたい、とのことでご参加されていますので、ご遠慮される必要はございません。

内容としましては、相続税対策を中心に、紛争防止や保険、不動産、将来の認知症対策までお話をさせていただきます。

税金に関する法改正はもちろん、相続に関連する法改正は頻繁に行われておりますので、その時々に応じた最新の話題も盛り込んだうえでお話をさせていただきます。

場所は、栄ではなく、名古屋駅すぐ近くの弁護士法人心のセミナールームで行わせていただきます。

土曜日の午前10時~12時で開講しておりますので、講座を聴講された後は、名古屋駅でお買物されてからお帰りになられることも可能です。

これから相続税対策をご検討される方も、親の相続対策が気になっている方も、ご遠慮なくご参加ください。

できる限り、親子や夫婦でご参加されることをオススメします。

以下のサイト又はお電話、栄の中日文化センターでお申し込みできます。

https://www.chunichi-culture.com/programs/program_196400.html

タワマン節税の終焉?

昨年の12月に発表されていた令和5年度税制改正大綱にて、マンションの評価基準の見直しが言及されていましたが、令和5年6月30日の有識者会議で、その計算方法案が公表されました。

https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023006-018.pdf

細かい内容は、こちらの案に記載されています。

大まかな基準としては、相続税評価額が市場価格の6割を下回っている場合には、6割まで価格を補正するというものになります。

これまでの評価方法では、タワーマンションの高層階のように、市場価格が高額なところほど、相続税評価額との乖離が大きくなって安く評価されるということになっており、富裕層の節税対策として利用されていました。

今回の改正では、この方法に一定程度の歯止めがかかるというものになるようです。

ただ、それでも市場価格の6割ほどになるのであれば、十分節税効果としては高いのではないか・・・?と思えます。

もともと、この改正のきっかけとなった判例は、決して金額だけを見て否認していたわけではないので、安易に6割に評価しておけば大丈夫といったものではないかと思われます。

相続税対策をお考えの方は、税理士・弁護士・不動産会社・保険会社がグループ内企業に所属している税理士法人心までお気軽にお問い合わせください。

 

 

相続した土地を国が引き取る制度がスタート

令和5年4月27日から、相続した土地を国が引き取る制度が開始されます。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html

土地を相続したものの、遠方で使用する予定がない、固定資産税の支払義務だけ負わされ毎年負担になるなど、相続した土地を手放したいというニーズは一定数あります。

これまでは、なかなかこのような土地は売却もできず、誰も引き取り手がいない土地の処分は悩ましい問題でした。

このような土地を専門的に引き取る不動産業者もいるのですが、土地の管理料・処分料などの理由で、何百万円もの費用の支払を要求されることもあったようで、相続人にとっては頭の痛い問題となっていました。

今回の制度でも、審査料や負担金など、一定の金額の費用はかかるようですが、審査料は1万4000円程度、負担金は20万円~40万円程度のようですので、民間事業者よりは良心的な費用となっているようです。

ただ、この制度も、そもそも利用対象となる土地は、売却できるような土地でなければ使えないのではないか、本当にこの制度を利用したい土地こそ利用することができない要件となっているなど、問題点も多いようです。

制度が開始すると、このような批判や問題点が現実化しますので、また制度が変わり、利用しやすくなっていくこともあるかと思いますので、制度について頭の片隅に入れておかれた方がよいかと思います。

弁護士法人心では、相続に関するご相談は何度でも無料で承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

https://www.souzoku.lawyers-kokoro.com/

相続登記の義務化まで後一年

令和6年4月1日から、不動産を相続によって取得した方は、3年以内に相続の登記をしなければならないことが義務化されます。

https://houmukyoku.moj.go.jp/utsunomiya/page000001_00232.html#:~:text=%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E3%82%92%E5%8F%96%E5%BE%97%E3%81%97%E3%81%9F%E7%9B%B8%E7%B6%9A,%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

令和6年4月1日より前に亡くなった方の相続財産については、令和6年4月1日から3年以内が期限になりますし、令和6年4月1日以降に亡くなった方の相続財産については、相続によって不動産の所有権を取得したと知った時から3年以内が期限となります。

これを怠った場合は、罰則もありますので、早めに登記手続を行いましょう。

また、相続登記を放置したまま、何代も相続を経てしまうと、不動産の登記名義を変更するために、何代も遡って遺産分割協議を行わなければならなくなることがあります。

時には数十人もの相続人ひとりひとりに連絡をとり、遺産分割協議書への署名や相続を放棄する同意をもらったりしなければならなくなるなど、子どもや孫の世代に多大な負担を負わせることになりかねません。

弁護士法人心では、相続登記、遺産分割協議等をはじめとした相続のご相談を無料で承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

https://www.souzoku.lawyers-kokoro.com/

春の相続教室開講

本日、4月15日から中日文化センターの栄教室として、弁護士・税理士の立場から相続教室を開講させていただいています。

https://www.chunichi-culture.com/programs/program_196400.html

現在、10名ほどのお申し込みをいただいておりますが、途中の回からでもご参加は大歓迎ですので、ご遠慮なくお申し込みいただければと思います。

講座のなかでは、相続対策全般についてお話をさせていただきますが、特に皆さんの関心の高い相続税に関するお話に多くの時間を割り当てさせていただいております。

例えば、皆さんから一番ご質問をお受けするテーマは、「名義預金」です。

ご両親や祖父母が、子どもや孫の名前で通帳を作っており、そこに毎年110万円ずつ入金しているようなケースです。

これは、みなさん、自分から子や孫に贈与した財産だから自分の財産ではない、相続財産にはならないから相続税はかからない、という前提で行われています。

ただ、実際には通帳を親や祖父母が管理しており、子や孫はその通帳の存在すら知らなかった、ということがあります。

これでは、生前に贈与が成立していたとはいえませんので、単なる子や孫名義の「親・祖父母」の財産だ、ということになり、相続税がかかる対象となります。

皆さんが、本当にご生前に贈与をされたいのであれば、守らなければならないルールがありますので、そのようなお話を講座内ではさせていただいております。

ご興味がある方は、中日文化センターの栄教室へぜひお問い合わせください。

 

相続税の計算方法(概算)

弁護士として相続のお仕事では、相続税がいくらになるのか考慮に入れておかなければ、適切な解決をすることはできません。

ですので、相続税の概算がすぐに計算できなければなりません。

まず、相続税は、遺産のうち、プラスの財産からマイナスの財産を差し引き、基礎控除額を差し引いた金額が0円よりも大きければ相続税がかかります。

プラスの財産とは、現金、預貯金、土地、建物、株式、投資信託等の他、相続税を計算するうえでは、生命保険金や死亡退職金、亡くなる前3年以内に贈与した財産等も相続財産とみなされます。

マイナズの財産とは、お葬式費用や借金です。

令和4年現在の基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の人数です。

例えば、現金300万円、預貯金2000万円、土地・建物4800万円、株式1000万円でプラスの財産が合計8100万円。

お葬式費用100万円でマイナスの財産が100万円。

4人家族で父親が亡くなり、相続人が妻・子2人の合計3人の場合の基礎控除額は、3000万円+600万円×3人=4800万円。

8100万円-100万円-4800万円=3200万円>0円で相続税がかかります。

この3200万円を法定相続分で分けたと仮定したうえで、速算表に基づき税率を乗じ、控除額を差し引きます。

※相続税率の速算表

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

先ほどの事例でいうと、

妻 :3200万円×1/2×15%-50万円=190万円

長男:3200万円×1/4×10%=80万円

長女:3200万円×1/4×10%=80万円

合計:190万円+80万円+80万円=350万円

が相続人全体での相続税になります。

これは、全く何も相続税を安くする特例を使っていない状態の金額ですが、特例等を使うことができないと、この金額を納めなければならなくなってしまいます。

次回は、更に細かい相続税の計算方法について記載します。

専門家が陥りやすい「限定承認」の罠

家族・親族が亡くなった・・・どうやら借金があったようだけれども、具体的な金額がわかない。

預貯金や不動産、株なんかもあるみたいだけど、借金もけっこうあるみたい。

相続してもプラスになるのか、マイナスになるのかよくわからない・・・

こんなとき、弁護士・司法書士・行政書士等の専門家であれば、「限定承認しましょう。」と勧めることがあります。

限定承認とは、亡くなった方のプラスの遺産の範囲内で、亡くなった方のマイナスの遺産を引き継いで返済すればいいですよ、という制度です。

例えば、財産調査をしてみた結果、プラスの財産が3000万円、マイナスの財産が5000万円であれば、プラスの財産3000万円部分で亡くなった方の債務を返済し、残り2000万円のマイナス部分は引き継がないということができます。

逆に、財産調査の結果、プラスの財産が5000万円、マイナスの財産が3000万円であれば、3000万円の債務を返済したうえで、残りの2000万円を引き継ぐということができます。

似たような仕組みとして、相続放棄がありますが、相続放棄の場合は、プラスの財産もマイナスの財産も一切合切全て引き継がないという制度ですので、プラスの財産とマイナスの財産とどちらが多いかわからない・・・という場合は、限定承認は良い制度のようにも思えます。

ただ、限定承認を行うと、税金面で注意しなければならないことがあります。

というのも、限定承認を行うと、亡くなった方が遺産を時価で譲渡したものとみなして、所得税が課税されることになっています。

この所得税は、相続によって取得した財産の限度で納税すればよいため、相続人自身の財産から納税する必要はありません。

ただ、遺産分割がまだ終わっていなければ、所得税を支払うために相続財産を売却することもできませんので、納税資金に困る自体に陥ることもあり得ます。

そのため、限定承認を選択する場合には、所得税額も計算した上で行うべきなのですが、弁護士・司法書士・行政書士等の専門家のなかには、限定承認をすると所得税がかかるということを知らない専門家もいますので、注意が必要です。

 

中日文化センター・栄教室として相続教室を開講

中日文化センター・栄教室が主催で、10月から、弁護士法人心の本部で相続教室を行わせていただくこととなりました。

講座名は、「親子・夫婦で実現する後悔しない相続税・遺言・贈与・信託対策」です。

日程は、

①10月16日(日)10~12時

②11月20日(日)10~12時

③12月18日(日)10~12時

④1月15日(日)10~12時

⑤2月19日(日)10~12時

⑥3月19日(日)10~12時

を予定しており、内容としましては、

① 相続対策の全体像

② 生前贈与対策でよくある失敗例

③ 不動産で相続対策を行う際にやってはならないポイント

④ 弁護士・税理士が教える生命保険の選び方

⑤ 遺言・家族信託・後見等を利用した争族対策

⑥ 相続で困った際の相談先の選び方・総まとめ

を行わせていただく予定です。

弁護士 兼 税理士ならではの教室を開催させていただきますので、皆様、ご参加いただけますと幸いです。

まだ、中日文化センターのサイトの方では申込ができないようですが、

https://www.chunichi-culture.com/index.html

直接、栄教室の方にお問い合わせいただければと思いますので、ご参加をご希望される方はぜひお願いいたします。

先進医療保険のお話し

弁護士・税理士として、相続教室を複数箇所で開催させていただいております。

そこで、生命保険を利用した相続対策のお話しをさせていただくことがあります。

そのなかで、保険の見直しなどもよくご相談をお受けするのですが、よくお話しさせていただくのが、医療保険の話です。

私は医療保険に関しては、大きく2点、大事だと考えていることがあります。

それは、①入院一時金タイプに入ること、②先進医療特約をつけること、です。

このうち、今日は②先進医療特約について、ここにざっと私がよくお話しさせていただいていることを記載します。

先進医療保険の対象となっているガン治療の先進医療は、陽子線治療と重粒子線治療です。

陽子線治療には、約270万円。重粒子線治療には、約315万円ほどの自己負担が発生すると言われています。

先進医療保険は、医療保険に付帯させる場合、月数百円程度の上乗せで1000万円~2000万円まで治療費がでますので、私は入っておいた方が安心だと考えています。

ただ、陽子線治療・重粒子線治療の公的保険の適用対象が広がっているから、先進医療保険は不要だとの意見もあります。

確かに、2022年4月から、公的保険の適用対象は広がりました。

しかし、例えば肺がんや食道がん、腎臓がん等はまだ公的保険の適用対象に入っていないなど、決して粒子線治療の適用対象部位のすべてが公的保険の対象となっているわけではありません。

ですので、私個人としては、先進医療保険は入っておいた方が安心かなと思っています。

ただ、注意が必要になりますのが、粒子線治療は日本全国すべての病院で受けられるわけではありません。

陽子線治療は日本全国でも20箇所弱、重粒子線治療は更に少なく日本全国で10箇所弱でしか受けられませんので、ご自身で治療病院を見つける必要があるという点には注意が必要です。

参考:厚生労働省「先進医療を実施している医療機関の一覧〇令和4年6月1日現在第2項先進医療技術【先進医療A】26種類、731件」

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html

 

デジタル遺産と相続

ネットバンク、ネット証券、仮想通貨、マイル、ポイント、電子書籍など、実際の「物」は存在しないものの、財産的な価値のあるいわゆる「デジタル遺産」はとても増えました。

この「デジタル遺産」の相続における取扱いが最近問題になりつつあり、今後も増えることが予想されます。

現時点での問題点は、大きく3つかと思われます。

1 そもそもデジタル遺産が見つからない

ネットバンク、ネット証券、仮想通貨などを家族がやっていたことは知っていても、最近では通帳や株券などの現物が手元に送られてくることが少なくなっているため、家族がその存在に気がつかないこともよくあります。

その際に手がかりとなるのが故人のスマホです。

しかし、そもそもスマホにログインできなかったり、スマホはログインできても、各サイトやアプリにログインすることができずに、故人の遺産がどこにどれだけあるのかわからないことがあります。

2 財産的な価値がわからない

デジタル遺産のなかには、サービスの利用規約によって、亡くなった場合、相続人には引き継がれない旨が規定されているものもあります。

ただ、サービスによって、利用規約にはそのように定めているものの、相続人から連絡があった場合には、個別に引継等の対応をしているサービスもあるようです。

ご不明な場合は、サービス提供者に連絡してみるか、相続に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

また、マイルやポイント等のなかには、額面の数字と金額が必ずしも一致しないものもあります(例えば、500ポイント=100円、500ポイント=1,000円の旅行券など)。

そのような場合、ポイント数によっては財産的な価値が認められ、相続税の課税対象となることがあります。

評価額がご不明な場合は、相続税に詳しい税理士に相談しましょう。

3 金銭的な価値はないが大切な思い出がある場合

例えば、Twitter、Facebook、Instagram、TikTokなど、家族の大切な写真や映像がSNS上に残されていたり、スマホのなかに写真や映像が残されているけれども、IDやパスワードがわからずに保存ができないということがあります。

最近では、SNS提供者が家族にアカウントや保存されているデータの引継サービスを行っているところもあります。

また、Apple社は2021年の12月頃のiOSのアップデートで亡くなった家族のAppleアカウントにアクセスできるようにする手続きを始めています。

ご生前の間に、「この人ならアクセスしても良い」という方をあらかじめ決めておくサービスもあるようですので、お元気なうちに調べておくことをお勧めします。

コロナ対策で高齢者施設や病院では面会できないと言われた・・・遺言書はどうすればいいの?

コロナ禍となってから2年近くが経過しますが、様々な高齢者施設や病院等では、クラスターの発生を絶対に避けなければならないため、面会のルールを厳しく設けているところも多いです。

例えば、一日の面会組数を5組まで、と制限していたり、面会時間を20分~30分と制限していたりします。

仕方が無いことではありますが、このような対応をとられているため、入居者や入院されている本人が遺言書を作るために家族や弁護士と会いたい旨を伝えても、施設側や病院に断れてしまうケースが発生しています。

このような場合、弁護士法人心では、弁護士が施設や病院に遺言書の必要性や施設や病院にできる限り負担にならないような面会方法をご提案させていただくことで、遺言書の作成を実現しています。

遺言書がないまま亡くなられてしまうと、遺産分割協議を行わなければならないため、紛争に発展してしまい解決までに1年以上かかってしまうこともよくあります。

当然、その間、被相続人の財産は使ってはいけませんので、納税や生活費等もご自身の預貯金から出さなければなりません。

実際に遺言書を作られた方のなかには、作ってから数日後に亡くなられたケースもあります。

クラスターの発生は、最大限気をつけなければなりませんが、遺言書がなければご家族が大変な思いをされますので、施設や病院等から面会を断られてしまい、遺言書の作成に困っている方は、弁護士法人心にお気軽にご相談ください。

相続チームの弁護士が誠心誠意対応させていただきます。

弁護士法人心の遺言サポートサイトはこちら

不動産の共有が税金対策になる場合がある

相続では、できる限り不動産の“共有”は避けるべきと言われます。

仮に、不動産を父1/2、母1/2で共有し、父親が亡くなった場合、父の1/2の持分を母以外の相続人が取得しても、売却できるわけでもないからです。

ただ、意図的に共有状態にした方が、結果として相続税の節税につながる場合があります。

それは、マイホームの売却を考えている場合です。

マイホームを売却すると、売却益に対して所得税が課税されますが、「居住用財産を譲渡した場合の特例」の適用を受けることができれば、最高で3000万円まで譲渡所得から控除することができます。

この3000万円の控除は、共有者1人につき3000万円です。

ですので、例えば、夫が100%の所有権を有するマイホームであれば、まず夫1/2・妻1/2の共有名義にします。

この際、夫から妻に対する1/2の持分の贈与になりますから、贈与税が課税されますが、「おしどり夫婦の贈与税控除の特例」を利用することで、2000万円まで非課税になります。

次に、夫と妻がそれぞれこの1/2の持分を第三者に売却し、「居住用財産を譲渡した場合の特例」の適用を受けます。

そうすると、3000万円×2人=6000万円まで譲渡所得から控除することができます。

夫1人で100%の持分を有しているときに売却した場合は、3000万円までしか控除を受けることができませんが、夫と妻の共有名義にすると、更に3000万円の控除を受けることができるのです。

このように、あえて共有にすることが税金を安くする場合もありますので、不動産に関する税金に詳しい税理士に相談されることをお勧めします。

政治家の相続対策

前回、相続税の法改正で生前贈与が難しくなる、課税が強化されるかもしれないというお話しを紹介させていただきました。

今回の改正の理由について、当時の甘利大臣は暦年贈与を行っていた人と行っていなかった人で相続税額が変わるのは不公平だから、という理由を説明していたようです。

ただ、「不公平」という観点で考えると、実は非常に不公平に思える相続対策を行うことができる方がいます。

それは、政治家です。

実は、日本の政治家は政治団体・資金管理団体を活用して、合法的に無税で財産を親から子へ承継させることができます。

政治団体は、法的には「権利能力なき社団」と解釈されています。

実は、この政治団体を利用し、親の政治団体から子の政治団体へ「寄付」という方法で資産を移動させた場合、法人税・贈与税・相続税のいずれも課税されることがないのです。

ただ、政治団体間の寄付は、政治資金規正法によって年間5000万円までとされています。

・・・が、実はこれは「政治団体1つにつき」ですので、政治団体が多ければ多いほど、無税で財産を移動させることのできる金額は増えるんですね。

親子の2世議員が多い理由もこれを読むとわかっていただけるかと思います。

ですので、私なんかは、政治家が「相続税を課税される人と課税されない人で不公平だ。」なんて理由付けをしているところを見ると、「なんだかなぁ・・・」という気持ちになります。

なお、これらの方法は、いずれも合法ですので、国会答弁で質問をされたとしても、「法律の範囲内で適法にやらせていただいております。」との答弁が可能です。

暦年贈与ができなくなる?

最近、週刊誌等の相続特集で「2022年4月以降は暦年贈与ができなくなる」、「110万円贈与ができなくなる」との記事をよく見かけます。

そもそも、相続税は亡くなったときの遺産の額が多ければ多いほど高額になりますので、皆さん、「生きている間に家族に財産をあげて遺産を少なくしよう」と思われます。

税務署は皆さんがそのように考えることをわかっていますので、日本の法律では相続税よりも贈与税の税率の方が高く設定されています。

そうすることで、皆さんが安易に贈与しないようにしているわけです。

ただ、贈与税には「基礎控除」といって、一定の金額までは贈与しても税金がかからない額が設定されています。

それが、110万円です。

そのため、皆さん、110万円まで贈与しようという発想になり、毎年=暦年贈与を保険会社や銀行等の金融機関でもお勧めされます。

この暦年贈与が2020年12月に発表された税制改正大綱に「相続税と贈与税の一体化」という文言が記載されていたため、これまでと同じように行うことはできなくなるのではないか、と言われています。

具体的な改正内容としては、現行法では亡くなる前3年以内に生前贈与した財産は相続財産として取り扱われていますが、こちらの期間を例えば10年にするなどの案が考えられます。

まだ明確に法改正の内容が定まったわけではありませんが、相続に詳しい税理士や弁護士等の専門家は何らかの方法で記載される可能性は高いと考えているようです。

確かに、最近の法改正の動向を見ていると、相続財産に対する課税を強化する動きであろうとは思います。

しかし、この話をきっかけに、「早めに生前贈与をしなければ損をしますよ。」、「生前贈与に有効な商品がありますよ。」という保険会社や信託銀行の売り込みが予想されます。

私の相続教室でもよくお話しをさせていただいていますが、本当にこれらの商品が相続対策になっているかどうかは慎重に判断する必要がありますので、相続に詳しい税理士・弁護士にご相談されることをお勧めします。

相続のご相談はお早めに

弁護士・税理士の小島です。

最近、色んなところからお声がけをいただき、一日ものや連続ものの相続教室を開催させていただくこともよくあります。

その際に、「一度、家に帰ってから整理してご相談したい」とおっしゃっていただくこともありますが、相続は、法律・税金・不動産・保険などのあらゆる知識・経験が求められる特に専門性の高い分野ですので、ご自身で現状の整理を行うことは非常に困難です。

最初のご相談では、関係する書類をすべて持ってくる必要もありませんので、とりあえずはご自身やご家族の状況を整理し、把握するくらいの軽い気持ちでまずはご相談されることをお勧めします。

相続の対策は、対策が遅れれば遅れるほど、効果的な対策を採ることが困難になるという性質を持っています。

例えば、生前贈与を利用した相続税対策も、法改正によってこれまでとは同じことができなくなる可能性は十分にあります。

他にも、遺言書を活用した「争族」対策も、たとえ公正証書遺言で作成していたとしても、遺言書を作成した年齢が高齢になればなるほど、あとから遺言書の無効確認訴訟を起こされる可能性があります。

また、いまの日本の法律では、万が一、重度の認知症になってしまった場合、それから相続対策を行おうと思っても効果的な対策を行うことはできません。

ですので、まずは、一度、無料相談をご利用されることをお勧めします。

相続税の申告は税理士法人心にお任せください

相続税の申告は、亡くなってから10か月以内に行わなければなりません。

相続税申告を行うためには、以下の手続きをすべて終わらせる必要があります。

1 遺言書の有無の調査

2 相続人の調査

3 相続財産の調査

4 遺産分割協議または調停もしくは審判

5 相続税申告書の作成

ご家族が亡くなってからすぐに相談に来られる、という方はあまりいらっしゃいません。

ご葬儀や初七日法要でバタバタしており、税理士のところにご相談に来られるのは、亡くなってから3か月~6か月ほど経過してからになることも少なくありません。

ただ、上記1~3も約1か月ほどかかることも少なくありませんし、4の遺産分割協議はご家族の間で特にもめてなければさほど時間はかかりませんが、お話し合いで決着がつかなければ、解決までに半年~1年以上かかることもあります。

そのような場合は、一旦、相続税を安くする特例は使えない状態で、一番高い相続税を納め、遺産分割が終わった後に税務署に対して、払いすぎた税金を返してくれ、という手続きを行うことになります。

ただ、この方法は手続きを行うための要件がかなり厳しく定められていますので、必ず、相続税に詳しい税理士に相談してください。

税理士法人心では、グループ法人である弁護士法人心の弁護士と一緒に、解決方法をご提案させていただきます。

相続に関するご相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。

税理士法人心のホームページはこちら

 

所有者不明土地の解消に向けた相続関連法律の改正

これまで、相続した土地の登記は義務ではありませんでしたが、相続登記が義務化されます。

これは、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し、というテーマですでに法務省や国土交通省で具体的な検討がすすんでおり、5年以内には関連するすべての法令が施行される予定です。

具体的には、

①所有者が不明の土地・建物を管理するための制度を創設、

②共有不動産の利用を円滑化する仕組みの整備、

③相続開始から10年以上経過した遺産分割制度の見直し、

④隣地所有者がわからない場合のライフライン設備の設置に関する制度の整備、

⑤管理不全土地・建物の管理制度の創設、

などの制度が整備されます。

なかでも、①所有者が不明の土地・建物を管理するための制度は、不動産を相続するすべての人に関係します。

これまでは、不動産を相続した場合でも、相続登記をする義務そのものはありませんでした。

不動産を相続した後、登記の手続き費用がかかるとの理由で相続登記をしていない方もたくさんいましたし、現在もいます。

そのため、登記名義人は既に亡くなっているけれども、登記に記載された氏名や住所がなくなった方のままになっており、その相続人に連絡を取ることもできないなど、登記名義人と実際の所有者が異なる場合に土地の売買ができなくなってしまう、ということがありました。

このような場合、単に不経済というだけでなく、隣の建物が荒廃していて非常に危ないけれども、連絡をとることすらできない、といったことがありました。

今回の法整備では、相続登記を義務化することで、このような自体の発生を防ぐことが目的になっているようです。

相続人に相続登記を行わせるだけでなく、登記官の職権による手続きも一部認めるようです。

5年以内には、関連する法令が施行されるようですので、今後の動きを注視したいと思います。

登記のご相談は、司法書士だけでなく弁護士にご相談いただくことも可能ですので、相続に詳しい弁護士にご相談ください。