10月からプロバイダ責任制限法の改正法が施行

10月1日から、改正されたプロバイダ責任制限法が施行されます。

改正のポイントは何点かありますが、そのうちの大きな1点が、発信者の特定までの手続きの短縮化です。

これまでは、

①SNS等に権利侵害文が投稿される

②弁護士に相談

③弁護士がSNS事業者等に対し発信者の通信記録の開示請求(裁判手続)

④開示されたIPアドレスを元にWhoisでプロバイダ・携帯会社等を特定

⑤プロバイダ・携帯会社等に対し発信者の住所・氏名等の開示請求(裁判手続)

との流れを踏まえる必要がありました。

ここでネックになっていましたのが、プロバイダや携帯会社が、発信者が特定できるような通信情報を保存している期間に限りがあるにも関わらず、③・⑤と2回の裁判手続きを経なければならないという点でした。

特に、SNS事業者等が海外企業の場合は、③の手続きに約3か月ほどかかることもありました。

プロバイダや携帯会社等のなかには、早ければ3か月ほどで通信情報を削除しているところもあるようですので、開示請求をしたものの、通信情報が無いため開示ができないということがありえました。

今回の改正法では、③の開示請求の際に、プロバイダ・携帯会社等が、どこの会社なのか教えて欲しい、との提供命令申立ができるようになりました。

これにより、③を終えてから④を行うということをせずとも、⑤ができるようになり、手続きが一体化されたと言われています。

③の申立てから、提供命令の発令までは、約2週間ほどといわれていますので、これまで③の手続きに約3か月かかってからでなければ、④ができなかった頃と比べると、時間の短縮になったといえます。

 

成人年齢の引き下げ

令和4年4月1日から、18歳以上が「成人」となりました。

4月1日の時点で18歳・19歳の方は法律上「成人」となります。

18歳・19歳の方は、親の同意がなくても携帯電話を購入したり、アパートを借りたり、クレジットカードを作ったりすることができるようになります。

実際には、携帯電話を分割で購入する場合やクレジットカードを作成する際には、携帯会社やカード会社の審査が入りますので、そこで審査に通らないこともあるでしょうし、アパートも大家さんが親の保証人付きでなければ許可しないことも十分にあり得ます。

ただ、法律上は、18歳・19歳は一人で契約をすることができるようになりました。

これに伴い、Twitterなどを見ていると弁護士等の専門家のなかでは、18歳・19歳を狙った消費者被害の拡大が懸念されています。

これまでは、20歳を過ぎるまでは、親の同意を得ずに子が契約した場合には、原則として未成年者取消権が使えましたので、それによって18歳

・19歳は守られていましたが、今後はそれも使えなくなります。

その一方で、お酒やたばこに関する年齢制限は20歳のまま維持されています。

また、競馬・競輪・オートレース・モーターボートなどの公営ギャンブルと呼ばれるものも年齢制限は20歳のまま維持されています。

これらは、健康被害やギャンブル依存症対策のことを考慮して、従前の年齢制限が維持されているようです。

成人式は、20歳に行う自治体が多いようです。

20歳、というのは一つの区切りとして分かりやすかったですが、今後は高校卒業したら成人みたいなイメージ(実際は在学中だと思いますが)になっていくのでしょうか。

一人で契約できるからといって、慢心せず、大きな買い物はご両親と相談のうえで行い、消費者被害には十分お気をつけください。