AIと弁護士業・税理士業

名古屋の税理士・弁護士の小島です。
最近、テレビやインターネットのニュースなどで「生成AI」という言葉を見ない日はないほど、AI技術の話題が世間を賑わせています。
これまでのAIは、あらかじめ決められたプログラムに従って定型的な処理を行うものが中心でしたが、現在のAIは、私たちが日常的に使う言葉を理解し、自然な文章を作成したり、膨大なデータから必要な情報を要約したりと、その能力を飛躍的に向上させています。
様々な業界でAIの活用が模索されていますが、私が従事している弁護士業務や税理士業務も決して例外ではありません。
法律や税務の世界は、過去の判例や複雑な法令、通達などの膨大な情報で成り立っています。
「特定のキーワードに関連する過去の裁判例を抽出する」「一般的な契約書の雛形を作成する」「税務の基本的なルールを検索する」といった、情報の検索や整理に関わる分野においては、AIはすでに人間をはるかに凌ぐスピードと処理能力を持ちつつあります。
こうした状況を背景に、「近い将来、弁護士や税理士の仕事はAIに奪われてしまうのではないか」という意見も聞かれるようになりました。
私もAIをずっと触りながら業務に使わせていただいていますが、過去の裁判例を調べる、法律や通達を調べるといった単純作業的な部分は、置き換わりますね。
ただ、たとえば、弁護士として携わる示談交渉や裁判では、法的な理屈の正当性だけでなく、当事者同士の複雑な感情の対立や、これまでの人間関係、経済的な事情などを総合的に考慮して、最終的な解決の糸口を探っていく必要があります。
また、税理士として企業や個人のご相談に乗る際にも、目先の節税効果だけを追求するのではなく、経営者の方の将来のビジョンや、ご家族に対する事業承継への思いなど、データには表れない「その人ならではの背景」を深く理解した上でのアドバイスが求められます。
人の感情の機微を読み取り、相手の痛みに共感し、本当に望んでいる解決の形を一緒に模索していくこと。

こういった、コミュニケーション能力が求められる部分は、過去のデータの蓄積から確率的に正しい答えを導き出すAIには、どうしても代替できない領域です。

話がちょっと違いますが、教育的な観点ではAIの使い方は悩ましいですね。

経験豊富な弁護士・税理士が、ある課題があり、調査をしなければならない場合に、自らAIを使いながら調べるパターンと、後輩弁護士・税理士に指示して調べさせるパターンでは、どうやっても自らAIを使いながら調べる方が精度も速度も速くなります。
ただ、そうすると、後輩はずっと成長しないことになってしまいます。
それでいいのか、という問題です。

事務所全体の永続的なクオリティアップのためには、教育的な要素が欠かせませんので、その点はどうすべきか悩ましいところですね。