給与が減少していないと逸失利益はもらえないのか①

弁護士の岡原です。

先日、お店の入り口で体温を測ったところ、まさかの32度と出たにもかかわらず、店員さんに爽やかな笑顔で「はい大丈夫です!」と言われました。
私はこういうときに、果たしてこれが天然なのか、ツッコミ待ちのボケなのか未だに判断できません…。

話は全く変わりますが、交通事故で後遺障害が認定されるような大きな怪我をされた方でも、幸いにして事故前と事故後を比較して収入が下がっていないケースがあります。
そのような場合に、よく相手方保険会社は「判例によれば、収入の減少がない場合には後遺障害逸失利益は出せません。」と言ってくることがあり、こんなに毎日つらい思いをしているのに納得できない!と当法人にご相談いただく被害者の方はとても多くいらっしゃいます。

 

相手方保険会社が指摘する「判例」とは、昭和56年12月22日判決のことを指しているかと思います。
この判例では、「かりに交通事故の被害者が事故に起因する後遺症のために身体的機能の一部を喪失したこと自体を損害と観念することができるとしても、その後遺症の程度が比較的軽微であって、しかも被害者が従事する職業の性質からみて現在又は将来における収入の減少も認められないという場合においては、特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はないというべきである。」としています。
つまり、単純に収入が減っていない=逸失利益なし、というわけではなく、①後遺障害による支障が軽微、②職業の性質上、現時点で収入が減少していない、または将来も減少しないと考えられ、③特段の事情もない、といった場合には、逸失利益が認められない場合があるということです。

では、具体的にどのような場合には収入減少がなくても逸失利益が認められる可能性があるのかについては、次回のブログで解説したいと思います。

国選とお歳暮

弁護士の岡原です。

先日、弁護士会の倫理研修がありました。
これは、一定の年次の弁護士に受講が義務付けられているもので、本来は弁護士会館で直接講義を受ける形式のものなのですが、昨今の情勢からオンラインで講義を受講し、その後試験を受けて合格しなければならないという形式のものに変わりました。

この試験の中に、国選事件の依頼者から物品や金銭を渡されたという設定の設問があり、以前お受けした国選事件での出来事を思い出してしまいました。

前提として、国選事件の場合、依頼人である被疑者、被告人やその他の関係者から、名目のいかんを問わず一切の報酬や対価を受け取ってはいけないこととなっています(弁護士職務基本規程49条1項)。
(国選弁護人の報酬は国から出ます。)
そして、この対価にはお金だけでなく物品やサービスの受領も含まれ、大変厳格に解されることとなっています。

私が以前お受けした国選事件で、受任直後に被疑者のお母様が事務所にいらっしゃったことがありました。
相談室にお通しした際に、お召し物に似合わない大きな袋をお持ちだったのでどうしたのだろうと不思議に思っていたところ、これを受け取ってほしいと果物の詰め合わせを手渡されてしまいました。

もちろん受け取ることはできないのでお断りすると、「国選弁護人の報酬はとても少ないと聞きました。先生には何としても息子の無罪を勝ち取っていただきたいので、受け取ってください。」とその方はおっしゃったのです。

私はこれを聞いて、「一般の方は、弁護士のことを報酬が少ないと手を抜き、報酬が多いと頑張ってくれると思っているのか。」と、悲しいような情けないような気持ちになりました。
実際に、インターネットで国選弁護人について検索してみると、国選弁護人はやる気がないから私選弁護人に変えたほうがいいなどと言った書き込みが多く見られます。

個人的な意見ではありますが、国選弁護人一般が(報酬が少ないから)やる気がないのではなく、報酬の多寡にかかわらず単にその弁護士にやる気がないのだと思います。
通常の弁護士は、綺麗事などではなく、国選だろうが私選だろうが被疑者の身柄開放や被告人の無罪獲得などに向けて全力で活動しています。
(もし本当に報酬にこだわるのであれば、そもそも国選事件を受けないと思います。)
ですので、一部のやる気のない弁護人の活動で、国選弁護人全体がこのような思われ方をするのは、とても悲しいことだと思います。

結局、その方には上記のことをご説明し、心苦しくはありましたが果物はお持ち帰りいただきました。

折しも、そろそろお歳暮のシーズンになってきました。
もし、このブログをご覧の方で、国選弁護人にお歳暮を贈ろうと思っている方がいらっしゃいましたら、申し訳ないですが止めていただくようお願いします。
お手紙を一枚いただくほうが、弁護士にとってはよほどうれしいと思います。

自転車運転について②(自転車保険の徹底)

近年,各都道府県が自転車保険への加入を義務付ける条例を設けるケースが増えており,東京都でも2020年に同内容の条例が設けられました。

ところが,まだまだ加入率は高くないようで,調査によると2019年度の自転車保険加入率は条例で自転車保険の加入を義務づけている自治体で65.6パーセント,非義務化地域で49.6パーセント,全国平均では57.3パーセントとなっているようです。
ちなみに,東京都は50.6パーセントで全国26位となっています。

自転車と歩行者の事故の場合,歩行者が大けがとなって高額の賠償を命じられるケースもあります。
当時小学校5年生だった少年が乗った自転車と歩行者との衝突事故で,少年の母親に約9500万円もの賠償が命じられた事件(神戸地裁H25年7月4日判決)は,当時ニュースでも取り上げられたため記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
もし無保険の場合,このような多額の賠償金を支払える方は非常に少ないでしょうから,被害者は泣き寝入りに,加害者は全財産を失うという最悪の事態になりかねません。

そこで,前回の防犯登録の話に戻りますが,各個人の任意保険加入に頼るのではなく,防犯登録時に強制的に保険に加入させるシステムにしてはどうでしょうか。
(前回のブログはこちら)

講習時に自転車保険が有効期限内であることが分かる書類を提出させることで,知らない間に切れていたということを防ぎます。
また,講習を受けた回数に応じて保険料が安くなるようにし,講習にいったほうがお得になるようにします。
さらに,できれば自動車のように,自賠責未加入の場合は罰則を定めるというところまですべきかと思います。

自転車運転について①(ルールの徹底についての私見)

弁護士の岡原です。

先日,信号のある横断歩道を渡ろうとしたところ,車道を右から信号無視で走ってきた自転車に轢かれそうになってしまいました。
かなりのスピードで突っ込んできたので,もしぶつかっていたら双方無傷では済まなかったのではないかと思います。

実は,このようなシチュエーションで轢かれそうになったことは初めてではなく,多いときは月に2~3回出くわすことすらあります。

さらに,これ以外にも自転車の危険な運転を目にすることは非常に多く,ひやっとした経験は数多くあります。
実際,私は普段の業務で交通事故の案件を多く取り扱っていますが,なかでも自転車事故は多く,中にはルール違反の走行方法によって引き起こされたものも少なくありません。

 

自転車での走行にルール違反が多い理由としては,乗り方さえ習得できれば誰でも何歳でも乗れること,自動車やバイクなどと異なりルールをきちんと教わる機会が少ないことがあると思います。

そこで,自転車の防犯登録の有効期限を2年などに短く設定し,初回登録時と更新時に自宅にハガキが届くようにして更新時に講習を受けるようにしたらどうでしょうか。

特に,初回登録の初めて自転車に乗る子どもには近隣の小学校などで正しい走り方などの実地講習を行うとよいのではないかと思います。
自転車を買い替えた場合は,前の登録情報を引き継げるようにすれば買い替えるたびに実地講習が必要といった手間を省けます。

自動車の免許のように,警察署や免許センターで毎日講習を実施するというのは現実的ではないので,シルバー人材センターなどと提携して「自動車ルール指導員」を養成し,公民館や学校,ショッピングセンターなどで定期的に講習を実施するのです。

 

ネックとなるのは,いかに講習を受けない人を減らすかという点ですが,

①講習を受けた回数を自転車保険の保険料と連動させる
②自動車免許等を持っている人で自転車の講習を受けていない人は,自動車免許の更新をするまでに自転車の講習を受けていないと免許の講習を受けられない
などを考えました。
もちろんこれだけでは不十分なので,ほかにも「自転車の講習を受けないとデメリットがある」といった制度にしなければならないと思います。

としまえん

今月末,遊園地の「としまえん」が閉園します。

私は家からとしまえんが近く,年間パスポートまで持っていたほどなので,閉園してしまうのがとても残念でなりません。
弁護士といえど,遊園地は大好きなんです。

チャレンジトレイン(西武線の電車を模した小さな乗り物を操作してレール上を走るアトラクションです。子ども向けに見えますが,適切な位置で警笛を鳴らしたり停止したりする必要があるほか,乗る車両によってマスコンがワンハンドルのものとツーハンドルのものがあるなど,大人でも夢中になってしまうアトラクションなのです!)などごく一部のアトラクションは,西武園ゆうえんちなど別の遊園地に移設され,機械遺産にもなっているカルーセルエルドラド(メリーゴーランド)は一旦解体されて倉庫で保管する予定のようです。

としまえん閉園の要因は,新型コロナウイルスによる経営不振などではなく(バブル期ほどではありませんが,近年のとしまえんの経営はむしろ絶好調だったようです。),東京都がこの場所に都市計画公園を整備するためです。

都市計画公園とは,都市計画法に基づいて計画された公園をいい,都市計画決定権者である都道府県知事又は市町村長が都市計画決定した公園や緑地などを指します(都市計画法11条1項2号)。

東京都では,2006年に特別区(23区のこと)・市・町が共同で「都市計画公園・緑地の整備方針」を策定し,さらに2020年にこれを改定して,東京都内で164もの公園・緑地に約530ヘクタールの優先整備区域を設定するなどしています。

としまえんの閉園は本当に残念ですが,新たにできる公園が地域の防災等に役立ってほしいと思います。

シニアカーとシルバーカー

お恥ずかしい話ですが,先日までシニアカーとシルバーカーの名前を逆にして覚えていました。

シニアカーとは高齢者向けの三輪又は四輪の一人乗り電動車両をいい,一方でシルバーカーとは高齢者が買い物などに使う手押し車のことをいいます。

どちらも高齢者が使用し,かつ「シ」から始まるので,ごちゃごちゃになっていたようです。

 

ところで,シニアカーは道路交通法上どのような扱いかご存じでしょうか。

シニアカーはハンドルが付いていたり,電動だったりといった点から,電動自転車と同じようなカテゴリーに入りそうですが,実は歩行者と同じなのです。

道路交通法上,シニアカーは「身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するための車椅子(原動機を用いるものにあつては,内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)」(2条1項11号の3)であり,道交法施行規則第1条の4によって,以下のような基準が定められています。

1 車体の大きさは、次に掲げる長さ、幅及び高さを超えないこと。

⑴ 長さ 120cm

⑵ 幅 70cm

⑶ 高さ 109cm

2 車体の構造は、次に掲げるものであること。

⑴ 原動機として電動機を用いること

⑵ 6km毎時を超える速度を出すことができないこと

⑶ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと

⑷ 自動車又は原動機付自転車と外観を通じて明確に識別することができること

 

さて,弁護士法人心に新しい事務所である,「弁護士法人心千葉法律事務所」ができました!

千葉県内では2つ目の事務所となり,千葉駅北口から徒歩1分という便利な場所にあります。

千葉県にお住まいの方で交通事故にお困りの方は,弁護士法人心千葉法律事務所までお気軽にご相談ください。

司法試験日程

前回のブログでは司法試験の日程が延期になったことを書きましたが,ブログをアップした後に,延期後の実施日程が法務省から発表されました。

試験期間は,令和2年8月12日(水),13日(木),15日(土),16日(日)となるようです。

 

実施日程が決まったということでとりあえず一安心ですが,今後また感染が拡大する事態が起きれば変更となる可能性もありますので,受験生の皆さんは法務省からの情報を適宜確認していただきたいと思います。

〈法務省HP〉
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00014.html

 

試験延期による今後の流れですが,試験日が後ろ倒しになれば,就職活動や合格発表,さらにはや修習開始時期も後ろ倒しにせざるを得ないのではないかと思います。

また,東京の大手弁護士事務所は,合格発表前から事務所説明会やサマークラーク(インターンのようなもの)などが始まりますが,今年はウィンタークラークになるのかもしれません。

そして,来年の試験を従来どおり5月に実施し,12月から導入修習が開始される場合,今年合格した期の修習生の集合修習と被ってしまい司法研修所のスペースが足らないといったことも起きるのではないでしょうか。

そうなると,来年も司法試験の日程を8月にするのか,または修習の日程を組み変えるのかなど,今後もいろいろ検討しなければならないことが多そうです。

 

個人的には,日本で一番暑い時期と言っても過言ではない8月中旬に,この長丁場の試験を受けるのはなかなか過酷ではないかと思うので,今年限りにしてあげてほしいと思います。

司法試験の思い出

弁護士の岡原です。

今年の司法試験と予備試験は,新型コロナウイルスの影響で延期されることが法務省から発表されました。

受験予定だった方は,予定が変わってしまったことで不安に思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

そこで,受験生の方に向けてはその不安な気持ちが少しでも紛れるよう,私が司法試験を受験したときの思い出話でもしてみようかと思います。

受験生以外の方も,「司法試験の受験ってこんな感じなのか。」と思って見ていただければ幸いです。

 

司法試験なんて人生の一大イベントだから,そのときのことはよく覚えているだろうと思われるかもしれませんが,実は試験内容についてはほとんど覚えていません。

大学受験のときの数学の試験内容のほうが,まだ覚えているくらいです。

唯一よく覚えているのは,「申告しないと毎回なぜか試験監督の人がクッションの確認をしてくれないこと」です。

 

司法試験は,論文式試験8科目を3日間,短答式試験3科目を1日間の計4日間(間に1日間のお休みがあるので,期間のトータルは5日間)かけて行われます。

特に論文式試験は,選択科目は3時間,それ以外は2時間の試験時間なのですが,連日座りっぱなしであることや,集中していると変な体勢になることから,腰の負担を軽減するクッションを各自持って行って椅子に敷く人が多いです。

私は,薄いけれどもお尻にかかる体重を分散してくれるという高性能クッションを使っていました。

(お値段は高かったですが,今も愛用しているので元は取れたと思っています!)

その際,クッションの下にカンニングペーパーなどを入れないよう,試験監督の方が試験前に巡回してクッションを確認するのですが,なぜか私のクッションを確認しません。

後から疑われては嫌なので,毎回「あの~,私クッション敷いているんですけど…」と言って確認してもらったのですが,ほかの人は申告しなくても確認してるのになんで私は毎回スルーされるのかと,試験中は少しイライラしてしまいました。

 

なんの役にも立たなさそうな話になってしまいましたが,受験予定の方が安心して受験できるよう,早く通常どおりの世の中に戻ってほしいですね。

 

新しいパスポートと本人確認書類

2020年2月4日申請分から,パスポートが新しく変わったことをご存じでしたでしょうか。
ICチップ内の個人情報の不正読取り等を防ぐ機能を強化しているほか,偽造防止能力を高めるため,出入国のスタンプを押す査証のページが,今までページを表す数字のデザインから、「冨嶽三十六景」のデザインに変わったそうです。
また,所持人記入欄から,住所を記載する欄がなくなったそうです。
普通に生活する際に,これらの変更が何か影響することはまずありませんが,弁護士業務を行う際には,ほんの少しだけ影響がありそうです。

弁護士の活動については,法令や日本弁護士連合会が定める規則によって,様々な規制がされています。
契約時の「依頼者の本人確認」も,その一つです。

日本弁護士連合会は,弁護士が犯罪収益の移転行為(マネーロンダリング)に関与しないことを確保するため,「依頼者の本人特定事項の確認及び記録保存等に関する規程及び規則」を定めています。
それによって, 弁護士が一定の法律事務の依頼などをお受けする際に,本人特定事項の確認をさせていただくことがあります。
上記規則では,弁護士と委任契約を結ぶすべてのケースでこの本人確認が必要と定めているわけではありませんが,当法人では念のため,すべての契約においてこの本人確認を行っています。

本人確認のために必要な書類が何かについては,非常に複雑なためここではご説明を省略しますが,通常は本人写真付きかつ住所の記載がある身分証明書で本人確認を行うことが多く,依頼者様にご説明する際も,「運転免許証やパスポート等をお持ちください。」とお伝えしていました。

ところが,上記の新パスポートの場合,住所を記載する欄がないため,「本人写真付きで,住所の記載がある身分証明書」にはあたらなくなってしまったのです。

「本人写真付きで,住所の記載がある身分証明書」であれば,対面の場合,これ一つで本人確認ができますが,そうでないと複数の本人確認書類をいただいたりしなければならないため,上記のニュースを見たときは思わず,「パスポートで本人確認する際は,所持人記載欄に住所記載欄があるものかどうか確認しなければいけないから,手間が増えたなあ。」と思ってしまいました。

自転車損害賠償保険

弁護士の岡原です。
2019年9月に「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が改正され、2020年4月より施行されるのに伴い,来月から東京都において自転車損害賠償保険の加入が義務化されます。
豊島区では,これに先立って2018年10月1日から加入が義務化されていましたが,東京都としてもこれに続く形となりました。

自転車は,免許がなくても乗れること,車体が比較的安価に購入できることなどから,子どもからお年寄りまで多くの方が日常的に使用する乗り物です。
一方で,かなりの速度が出ること,歩道を走ることも多く歩行者や他の自転車との接触,衝突の恐れが高いことから,大けがにつながる事故も多く起きています。
例えば,平成20年に神戸で発生した,小学5年生の児童が運転する自転車が歩行中の60代女性に衝突し,女性が現在も意識不明となっている事件について,神戸地裁は児童の保護者に9500万円もの損害賠償を命じる判決が出されました。

ところが,自転車は,自動車と異なり自賠責保険のような強制加入保険がない上に,任意で損害賠償保険に加入している方も少ないため,事故が発生した際の被害者への高額な損害賠償金をすべて自己負担しなければならないケースが多く存在していました。
そのような場合に,加害者が損害賠償金を支払えず,被害者がほとんど賠償金を受け取れず泣き寝入りとなってしまうといった事態を増やさないため,今回自転車も損害賠償保険に入ることを義務づけることが条例で規定されました。

現在,自転車保険として販売されている商品の多くは,個人賠償責任保険単体か,個人賠償責任保険が特約として付けられている傷害保険となっています。
また,自動車保険にプラスして加入できる個人賠償責任保険もたくさんあるようです。
自転車に損害賠償保険なんて付いていないと思われる方も,実はお持ちの自家用車の自動車保険にすでに付帯している可能性もありますので,まずはご自身で加入されている保険の内容と,その補償の範囲を確認していただくことをお勧めします。

煽り運転に遭わないためには

弁護士法人心 池袋駅法律事務所の岡原です。

前回は,なぜ煽り運転をする人がいるのかという話をさせていただきましたが,反対に煽り運転をされないためにはどうしたらよいのでしょうか。

煽り運転をする人の多くは,その人なりのきっかけがあり,それに対する過剰反応又は仕返しとして煽り運転を行っていると考えられます。
(中には,煽り運転そのものが楽しくて仕方ないという異常な人がいるかもしれませんが,そういった方には対処のしようがないので除きます。)
つまり,相手を不快にさせない運転を心がけることで,煽り運転をされるきっかけを減らすことができる可能性があります。

例えば,車線変更をする際は,進路変更の3秒前から進路変更終了時までウインカーを点灯させることが定められていますが(道路交通法施行令21条),進路変更しながらウインカーを点灯させる方や,そもそもウインカーを出さない方なども多くいらっしゃいます。
車線変更する側からすれば,後方との車間距離も十分空いているから問題ないと考えているかもしれませんが,後方の車両からすれば,何の前触れもなくいきなり車線変更してきてびっくりしたと思うかもしれません。
そして,このことを自分に対する嫌がらせと捉えてしまい,「自分は何もしていないのにいきなり嫌がらせをされたから,こちらも仕返しをしよう。」と考えて煽り運転をしてくる可能性も十分にあります。

ウインカーを出すタイミングは,上記で述べたように法令上の定めですので,それを遵守していただくことは当然ですが,そもそも「いきなり入ってきたら後続車両がびっくりするかもしれない。」といった他の車両へ配慮ができれば,仮に道交法の規定を知らなくても(自動車学校で必ず教わるので,できれば覚えておいていただきたいですが,)適切にウインカーを出すことができるはずです。
また,相手を不快にさせないという観点でいえば,
・追越車線をいつまでも走る
・急発進,急停止
・車間距離が狭い
などの行為は,急いでいる相手をイライラさせたり,不安にさせたりする可能性が高い行為のため,控えるようにしましょう。

そして,これらに注意していても煽り運転に遭ってしまった場合は,安全な場所に移動して車から出ず,警察へ通報しましょう。

煽り運転

弁護士の岡原です。
先日,免許更新時の講習で,①ながら運転について,②煽り運転についての話がありました。
今月は,②煽り運転についてお話ししたいと思います。

煽り運転とは,一般的には,車間距離を詰める,幅寄せ,蛇行運転,クラクションでの威嚇,必要のないハイビームなど,故意に特定の車両の運転を妨害するような運転をいいます。
また,最近では,わざと制限速度を大幅に下回る速度でノロノロ走行する,逆煽り運転といったものも取り上げられています。

私は,事務所のある池袋周辺で煽り運転に遭ったことはありませんが,郊外を走っているときなどに後方の車両から車間距離をかなり詰められたことがあり,急いでコンビニの駐車場に逃げたことがあります。

取り締まりについては,2017年に起きた東名高速道路でのあおり運転による死亡事故をきっかけに摘発が強化されていますが,今後は,道路交通法に新たな規定を設け,その罰則も現状より厳しいものにする方針が示されています。

ところで,そもそもどうして煽り運転が起きてしまうのでしょうか。
その原因の一つとして,自分が思うような運転ができない状況を,他者からの攻撃ととらえ,それに対して報復や制裁を行うことは正当な行動だと考えてしまうといった思考があるそうです。
例えば,前の車両がゆっくり走っているという状況を見ると,「自分は急いでいるのに,前の車に邪魔されている。」,「こういった走り方をする車には,自分が痛い目に遭わせないといけない。」などと考えてしまい,煽り運転を正当化してしまうそうです。
また,「こういう種類の自動車を運転している人は運転が下手だ。」といった偏見から,実際はなにも起きていないにもかかわらず,特定の車種を見ると自分が懲らしめないといけないといった思考に陥り,煽り運転をしてしまうといったケースもあるそうです。
さらに,車内は運転者が誰か一見しては分からないという匿名性が高い空間であり、ドライバーの感情が攻撃的になりやすいというのも,上記思考を強めてしまう要因の一つだそうです。

誰しも,イライラしてストレスが溜まっているときは,ほんの些細な出来事にも怒りを覚えてしまうことがあります。
ですが,その怒りのままに煽り運転を行ってしまうと,煽り運転として罰則の対象になるのはもちろんのこと,大事故を引き起こしてしまう可能性も十分にあります。
怒りの発散のせいで一生を棒に振ってもよいのか,ひと呼吸おいて考えることが大事です。

ながら運転の罰則強化

先日、普通自動車免許の更新に行ってきました。
ゴールド免許なので、事務所の近くの指定警察署で更新しようかと思ったのですが、池袋警察署は残念ながら指定警察署ではなく、電車に乗って都庁の更新センターで更新してきました。

ところで、更新時には、ビデオや冊子を見て運転時の注意点などについて講習を受けますが、今回特に時間が割かれていた点が、①今月から施行される携帯電話を使用しながらの運転に対する罰則強化についてと、②煽り運転をしないための心がけについてでした。
②の煽り運転については次回のブログで取り上げ、今回は①のながら運転についてお話ししたいと思います。

ながら運転の罰則強化については、以前の私のブログでも触れましたが、運転しながらのスマートフォン等の注視・通話やカーナビゲーション装置等の注視といった「携帯電話使用等(保持)」の違反点数は、1点から3点に引き上げられ、これらによって交通事故を生じさせた「携帯電話使用等(交通の危険)」の違反点数は、2点から6点に引き上げられました。

これについて、カーナビとスマートフォンをBluetoothで繋いで通話すれば、通話そのものについては上記の罰則にあたらない可能性があります
しかし、電話を受ける際に画面の操作をする必要がある場合は、「携帯電話使用等(保持)」となる可能性はありますし、前方から少しでも目を離せば事故につながる危険が飛躍的に高まります。

また、ハンズフリーのイヤホンマイクを耳に装着しての通話は、一部の都道府県においては、上記の罰則とは別に、道路交通規則によって「安全運転義務違反」として検挙される場合もあります。

自動車は、よく運転する方だと、「自分は運転に慣れているから通話くらいしていても問題なく運転できる。」とつい思ってしまいがちですが、どんなに乗り慣れていても絶対に事故をしない人などいません。
事故を起こしてしまうと、被害者と加害者の今後の人生に大きく影響してしまうということを心に留めて、安全運転を心がけましょう。

ポケモンと動物愛護

弁護士の岡原です。

もうすぐ,ニンテンドースイッチのゲーム「ポケットモンスターソード・シールド」が発売されます。
私は,幼稚園のころにクリスマスプレゼントで「ポケットモンスター緑」が欲しいとサンタさんにお願いをしていた世代なので,買おうかどうか非常に気になっています。

ところで,ポケモンといえば,トレーナー同士で自分のポケモンをバトルさせることができますが,その過程で手持ちのポケモンが毒に侵されたり,瀕死になってしまうこともあります。
なんと,これらのことをポケモンに対する虐待として,抗議活動を行っている動物愛護団体もあるそうです。

個人的には,ポケモンバトルはお互いのポケモンを傷つけるためのものではなく,強い信頼関係で結ばれたトレーナーとポケモンがバトルを通じて経験を積み,成長するためのものと考えているので,人間がポケモンをバトルで一方的に傷つけているという指摘は,ポケモンを表面的にしか見ていない,非常に的外れなものと感じています。

ところで,残念ながら,私たちが住むこの世界には,まだポケモンは確認されていないようです。
そして,ポケモンの場合と同じように,例えば野生の猫を捕まえて他人の猫とバトルさせるといった行為は,日本では動物愛護法で禁止されています。

動物愛護法は,同法で指定する「愛護動物」につき,
・みだりに殺傷すること,
・給餌・給水をしないこと,
・みだりにえさや水を与えずに衰弱させるなど虐待を行うこと,
・遺棄すること,といった行為を禁止し,これに違反した場合には罰則を定めています。
そして,愛護動物とは,
・牛,馬,豚,めん羊,山羊,犬,猫,いえうさぎ,鶏,いえばと,あひる(飼育されているか,野生かは問わない)と,
・人が占有している動物で哺乳類,鳥類又は爬虫類に属するもの,
を指します。

したがって,上記のように,例えば猫同士を戦わせる行為は,その猫が野生か飼い猫かを問わず禁止されますが,浦島太郎の冒頭の話のように亀をいじめる子供たちの行為は,亀が上記愛護動物にあたらないため禁止されていないということになります。

もっとも,禁止されていないことと,倫理的にやってよいことは全くの別です。
ポケモンとは異なり,動物と人とでは十分な意思疎通ができず,信頼関係を築くことにも限界があります。
食用などのやむを得ない場合を除き,不必要に動物を苦しめる行為は,それが愛護動物であるかないかにかかわらず,人間として許されない行為であると考えます。

弁護士の選び方

先日,司法修習のクラス会があり,久しぶりに教官や同期と会って話をしました。
東京で開催したため,遠くにいる人は残念ながら不参加の人もいたのですが,弁護士だけでなく,検事や裁判官も参加し,短い時間でしたが近況報告などで盛り上がりました。

もちろん,法曹は個別の事件について守秘義務がありますので,「この間こんな事件があったよ~!」などといった話はしませんが,最近取り扱っている事件の種類についてや,気になっている裁判例などといった固い話から,それぞれのプライベートな話まで,いろいろな話ができ,とても有意義な時間を過ごせました。

特に,弁護士の同期とは,「主にどんな種類の事件を取り扱っているか。」という話を多くしていたのですが,事件の種類を問わずになんでもやる,いわゆる昔ながらのマチ弁タイプと,特定の種類の事件を集中的に取り扱うタイプの2種類に分かれていて,それぞれどちらのタイプがいいのか,意見が分かれていました。

これは,弁護士の側だけでなく,どの弁護士を選ぶかという依頼者さん側からしても,重要な話かと思います。
前者のタイプは,いろいろな種類の事件を取り扱うので,これまでに経験してきた分野が広いというのは大きなメリットです。
一方で後者のタイプは,特定の事件を多く取り扱うので,その分野については経験やノウハウの蓄積が非常に多いというメリットがあります。

当法人は,各弁護士が特定の事件を集中的に取り扱うというケースが多いため,後者のタイプになるかと思います。

弁護士を選ぶ際には,もちろん弁護士の経歴や人となりも大事ですが,弁護士事務所のホームページを見たり,弁護士に直接聞いたりなどして,その弁護士が上記のどちらのタイプか確認し,ご自身の依頼内容や希望,意向などとマッチしているか検討するのもお勧めです。

ドラクエウォークと道路交通法改正

弁護士の岡原です。

先日,スマホアプリのドラゴンクエストウォークがリリースされました。
かくいう私も,リリース当日にインストールして毎日楽しんでいます。

ところで,ドラクエウォークのような位置情報を使ったゲームで問題となるのが,いわゆる「ながらスマホ」です。

ドラクエウォークでは,「ウォークモード」と呼ばれる,歩行中自動的に付近のモンスターと戦ってくれるモードがあり,歩きスマホ対策のためのシステムがあります。
また,移動速度が速いと感知された場合はプレイを制限するシステムもあり,自転車や自動車での移動中にプレイすることのないような対策が取られています。
もっとも,移動速度によるプレイの制限は時速20kmを基準としているようであり,例えば渋滞中に自動車を運転しながらプレイする場合は,このシステムによってプレイを制限されない場合もありそうです。

当然ですが,前を見ずプレイに熱中しながら自転車,自動車を走行することは,事故発生の可能性が高く非常に危険です。
「ちょっとだけなら大丈夫。」,「運転は慣れているから。」といったことは全く理由になりませんので,運転中はスマホやカーナビの操作をしないことを徹底していただきたいと思います。

また,今年の12月から改正道路交通法が施行され,自動車や原付を運転中にスマートフォンやカーナビなどを操作しながら走行した場合,違反点数は3点で罰則が6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金,さらに操作により交通の危険を生じさせた場合は違反点数6点で罰則が1年以下の懲役または30万円以下の罰金と,これまでと比べて大幅に引き上げられることになりました。
さらに,スマホ等の操作で交通の危険を生じさせた場合,反則金制度の対象外となるため,直ちに刑事罰の対象となります。

せっかくの楽しいゲームですので,事故が起きないよう皆で心掛けたいものです。

訴状の送達

弁護士の岡原です。

訴訟を提起する際は,相手方に直接訴状を送付のではなく,一旦訴状を裁判所に送り,それを裁判所が相手方に送達するという手順を取ります。
そして,原則として,訴状は相手方本人へ手渡しで行われます。
では,相手方が居留守を使うなどして,裁判所からの訴状を受け取らなかった場合はどうなるのでしょうか。

もちろん,受け取らなければ裁判から逃れられるというわけではありません。
通常は,以下のような手続きを取ります。

まず,訴訟を起こした人へ,裁判所から「相手方が訴状を受け取らなかった。」という連絡があります。
その際に,裁判所から,送達先の住所へ相手方が本当に所在しているかどうか調査して報告書を出すよう求められます。

どのようにして調査するかというと,一般的には表札の有無や電気ガスメーターの動きの有無,郵便受けに郵便物が溜まっていないかといった事項の確認や,近隣住民への聴き取りなどを行います。
これらの調査の結果,送達先の住所に居住していると分かれば,裁判所に報告書を出し,「付郵便送達」の方法により送達してもらうよう申し出を行います。

付郵便送達とは、書留郵便で訴状を発送し、発送したときに送達が完了したとみなす方法です。
この方法の場合、名宛人が実際に受け取らなくても、送達が完了することになります。

もし,調査の結果,所在が確認できず不明である場合は,その旨裁判所に報告書を提出し,「公示送達」の方法により送達してもらうよう申し出を行います。

公示送達となった場合、裁判所に設置されている掲示板に,裁判所書記官が送達物を保管し、相手方が出頭すれば書類を交付する旨の書面が掲示されます。
この掲示がされてから2週間が経過すると,実際に相手方がその掲示を見たかどうか等にかかわらず,送達の効力が生じます。

送達の効力が生じた後,裁判期日を無視して何も反論等をしなかった場合,原則として原告の主張がそのまま認められた判決が出ることになります。
「訴状が届いたけれど面倒だから放っておこう。」などとは考えず,弁護士に相談するなど早めに対応することをお勧めします。

 

★メンバーが増えたことに伴い,当法人の集合写真が新しくなりました★

以下のリンクよりご覧ください。
http://www.bengoshi-ikebukuro.com/

腰痛とバランスボール

弁護士は,裁判や出張などで事務所外にいることもありますが,事務所内で書面を起案していることのほうが多い職業だと思います。

私も,パソコンの前で座りっぱなしの時間が長いため,腰が痛くなってしまうことがよくあり,どうしたらいいか考えていたところ,「グーグルは社内の椅子としてバランスボール(フィットネスなどで使われる大きなゴムボールのようなもの)を導入している。」というインターネットの記事を目にしました。

バランスボールは,猫背の姿勢で乗るとバランスがとりづらいため,自然と姿勢がよくなり,その結果首や肩のコリが改善されたり,腰回りに筋肉が鍛えられることで腰痛改善と予防につながったりするという話もあるそうです。

いいことずくめのような気もしますが,事務所内でバランスボールに乗り,ぽよんぽよんと跳ねている弁護士というのは想像すると相当にシュールですし,跳ねることに気を取られて仕事に集中できなさそうな気もします。

仕事でバランスボールを使っている人,使ったけどやめた人のブログを読むと,ふとした時にバランスを崩して転んでしまった人や,集中できなくてすぐにやめてしまった人,同僚がバランスボールに乗って常にゆらゆらするのでイライラしてしまった人の話などたくさんもあり,賛否両論のようです。

池袋の東急ハンズに売っていたのでかなり心惹かれてはいましたが,残念ながら,バランスボール導入は見送りたいと思います。

ココが変だよ『ゼロの執行人』パート3

弁護士目線で語る『ゼロの執行人』,ようやく最終章です。

 

○修習生を罷免された羽場二三一

橘弁護士の事務所も元事務員だった羽場二三一は,司法修習生のときに裁判官を志望していたがなれず,終了式で教官とみられる人に詰め寄ろうとして司法修習生を罷免されたとあります。

これと似た事件として,昭和46年4月5日に行われた修習終了式において,裁判官志望者7人に対する任官拒否(不採用)に抗議するため,一人の司法修習生が司法研修所長のマイクを取って発言を始めたため,「品位を辱める行状」があったとして司法修習生を罷免されたという事件があったそうです。

もしかしたらこの出来事を意識して描かれたのかなとも思いますが,羽場は大きな声を出して詰め寄ろうとしただけなので,正直罷免までされるというのはやりすぎかなと思います。

ちなみに,「品位を辱める行状」を理由に司法修習生が罷免されたのは,上記事件があった昭和46年以降,4人しかいません。

また,司法修習生を罷免されても,司法試験の合格が取り消されるわけではないので,改めて翌年司法修習生への再採用を希望して弁護士を目指すことは可能です。

 

○司法修習の終了式が春

映画での描写を見る限り,司法修習の終了式のとき,司法研修所と見られる建物には桜のような花が咲いており,春のように見えます。

ところが,新60期以降は,終了式は12月に行われており,春ではありません。

実際に私が終了式に出たときも冬だったので,花は一輪も咲いていませんでした。

旧52期(平成10年)までは,どうやら終了式が4月に行われていたようなので,羽場は旧52期以前の司法修習生であれば辻褄が合いますが,映画では羽場が罷免されたのは今から4年前とあり,辻褄が合いません。

(この映画が平成16年以前を舞台にしていたのであれば話は別ですが,コナンがスマートフォンを使っていることから,その可能性は低いと考えました。)

 

全体として,弁護士や検事,司法修習生などが出てきたり,専門用語が多めだったりと,大人向けを意識しているような内容でしたが,大人向けであるならもう少し細かいところを詰めてほしかったというのが感想です。

クレジットを見る限り,弁護士の監修はなかったようですので,次にこういった内容にするときはそこを改善していただけると,よりリアリティが増して面白くなるかなと思いました。

ココが変だよ『ゼロの執行人』パート2

前回に引き続き,弁護士目線で気になった『名探偵コナン ゼロの執行人』について書いていきます。

 

○公判前整理手続?

映画の中で,起訴前に橘弁護士と日下部検事が裁判官室で立って「公判前(まえ)整理手続」を行うというシーンがありました。

実際は,「公判前(ぜん)整理手続」といいますが,映画では「公判前(まえ)」と連呼されており,とても気になりました。

マスメディア等ではこのように読まれることもありますが,本職の弁護士が間違えるのは結構恥ずかしいです。

 

また,公判前整理手続は起訴後に行われるものであり,起訴前に裁判官が事件の内容を把握できてしまうというのは,予断排除の原則(刑事裁判において,公判が始まるまで裁判官はあらかじめ起訴事実の内容に触れず,一定の心証を抱くことがないようにして予断を排除すべきというものです。)に反していて大問題です。

 

さらに,公判前整理手続は法廷で行うものであり(通常座って行います。),裁判官室で立って行うというのはかなり不可思議です。

おまけに,本件事件は死傷者も多数出ていて,動機も不明,被疑者の毛利小五郎は否認しているという内容なのに,立って行える程度の時間で,しかも一回で終了というのはあり得ません。

世界有数の犯罪都市である米花町は,事件が多すぎて法廷の数も人手も足りていないのでしょうか。