入管施設のハンスト

弁護士の岡原です。

退去強制が出された外国人を収容している東日本入国管理センターで,収容されている外国人の方達がハンガーストライキを実施しているとのニュースがありました.

在留資格がなく,退去強制令書が出された外国人の方は,収容令書によってに収容され,地歩入国管理局の収容施設等に収容され,その後退去強制令書が発付されると,すみやかに国外へ送還されることになっています。
こうした収容施設での収容は,退去のための飛行機を待つなど一時的なものであるはずです。
ところが,収容令書による収容期間は30日(やむを得ない事情があるときは最大60日)
と定められていますが,退去強制令書による収容は送還可能のときまでとされており,事実上法的な制限はないため,長期にわたり収容施設で拘束されるケースが多くなっているのが実情です。

東日本入国管理センターでのハンガーストライキは,収容されていたインド人男性が,仮放免(被収容者の健康上の理由や,出国準備等のために身柄の拘束をいったん解く必要が生じたときに,一時的に収容を停止し,身柄の拘束を仮に解く措置)の申請が不許可となったことで絶望し自殺したことを発端に発生したとされており,これ以前からも長期収容が常態化していたことがうかがわれます。

現在国会で入国管理法の改正が議論されている影響で,入管法についてのニュースがよくテレビで取り上げられていますが,これらの点がテレビ等で取り扱われることはほとんどないのは残念です。

奨学金と法教育

弁護士の岡原です。

皆さんの中にも,大学在学時に日本学生支援機構から奨学金を借りた方は多いのではないでしょうか。
その日本学生支援機構が,奨学金返還請求に際し,保証人に「分別の利益」を伝えず,全額の支払いを請求していたことが分かり,問題ではないかとのニュースがありました。

現在,日本学生支援機構は,奨学金を貸与する際に、借りた本人が返せない場合に備えて連帯保証人と保証人の計2名を付けるか,保証機関を利用するかのどちらかが必要とされています。

連帯保証人と保証人は,主債務者(奨学金を借りた方)が債務を返済できなくなったとき,代わりに返済する義務を負うという点では同じですが,その義務の範囲は異なります。
その一つが,上で述べた「分別の利益」です。

保証人は,複数人いる場合,その頭数で割った額のみ,債権者に対して返済する義務を負います。
一方で,連帯保証人は,自分のほかに連帯保証人や保証人は何人いても,債務全額を返済しなければならない義務があり,保証人と違ってより重い義務が課せられています。
日本学生支援機構から借りる奨学金の場合のように,連帯保証人と保証人が二人いる場合は,保証人は債務額の2分の1のみ返済する義務を負うということになります。

ところが,日本学生支援機構は,保証人に支払いを請求する際に,債務額の2分の1しか返済する義務がないにもかかわらず,それを伝えていませんでした。
確かに,法的に言えば,保証人に「分別の利益」があることは,保証人側が主張すべき事由(これを抗弁と言います。)なので,わざわざ日本学生支援機構が教えてあげなくてもよいという考え方はあります。
ところが,双方が十分な法的知識を持っているのであればともかく,保証人側がそのようなことを知らず,全額支払わなければならないのだと勘違いをするような方法での回収は,法的には問題がなくても,社会的にみて妥当なのかという考え方もあります。

今後,日本学生支援機構の方針がどうなるか検討の余地はありますが,保証人となる側,奨学金を借りる側も,自衛として最低限の法的知識を身につけておく必要があるのかもしれません。
保証人や連帯保証人は,自分がお金を借りていないにもかかわらず,債権者に返済をしなければならない義務を負うという,自分自身にメリットはないがデメリットは非常に大きいというものです。
学校教育においても,奨学金制度が利用できることの説明だけでなく,それがどういうことなのか,借りることでどのような責任が発生するかといった法教育を行っていくことが重要になっていくのではないでしょうか。

警察署での接見

弁護士の岡原です。

先日,警察署から逃走した被疑者が約1か月半ぶりに発見され,逮捕されたというニュースがありました。
この被疑者は,弁護士が接見後,弁護士が接見後に警察官に終了した旨を告げず,そのまま帰ってしまったために接見室に被疑者が一人となり,その間に接見室の仕切りのアクリル板を押してできたすき間から逃走したとの報道もありました。
そこで,今回は接見についてお話ししたいと思います。

まず,弁護士との接見は,被疑者が希望すればいつでも可能です。
また,被疑者からの希望がなくても,弁護士から警察署に連絡して接見することもあります。

警察署に勾留されている場合,警察署内の接見室で接見することになります。
弁護士が接見する際は,接見室の内部は弁護士と被疑者のみとなり,立会人は付かないため,ここで話した内容が警察官に漏れることは原則としてありません。
(あまりに大きい声で話していると,外にいる警察官に聞こえてしまうので,漏れてしまうかもしれません。)

大抵は,接見室の入口から少し離れた所に警察官が控えているので,接見終了後はドアを開けて終了した旨を告げ,被疑者を迎えに来てもらってから帰ります。

ところが,私が以前警察署で被疑者と接見した後,接見室を出ると警察官がどこにもおらず,いくら呼んでも誰も来ないということがありました。
呼び鈴を連打しても,大声で「すみませーん!」と呼んでも何の反応もなく,このまま帰ろうかなとも思いましたが,5分ほど呼び鈴を押し続けていたところ担当の方が来てくれたので,ようやく帰ることができました。

そのため,今回のニュースを聞いた時,もしかしたらいくら呼んでも誰も来なかったのかなとも思いましたが,接見室を出てから警察署を出るまで誰にも会わなかったということはないはずですので,すれ違った警察官に一言告げればよかったのではとも思います。

何はともあれ,逮捕・勾留されてしまったときは,逃げるよりも弁護士に接見を依頼し,今後の方針を立てることをお勧めします。

ウインカーを出すタイミングと過失割合

弁護士の岡原です。

先日,インターネットニュースに,ウインカーを出さない自動車の多い都道府県別ランキングというものが掲載されていました。

結果は,皆さまご自身で検索してご覧いただければと思いますが,ウインカーを出さずに自動車を運転されている方は,マナー違反ではなく,道路交通法違反であり,罰則も定められている行為であることを認識して,絶対にやめていただきたいものです。

私が勤務している東京は,思ったより順位が低く,安心しましたが,日本全体でウインカーを出さない件数は減って欲しいと思います。

ところで,「ウインカーを出さないなんて信じられないなあ。」と思いながらこれを読んでくださっているそこのあなたも,ウインカーをどのタイミングで出さなければならないかご存知でしょうか。
「教習所で習ったけど,大昔のことだから忘れた。」という方は,適切なタイミングでウインカーを出さずに交通事故となった場合,それによって過失割合が不利となる可能性がありますので,注意が必要です。

まず,車線変更時は,車線変更を行う3秒前に,右左折時は右左折する地点から30メートル手前の地点に達した時に,ウインカーを出すことと定められています(道路交通法53条1項,道路交通法施行令21条)。
車線変更車と後続車と衝突した場合,基本的過失割合は車線変更車:後続車=30:70となり,車線変更時に合図なしの場合は車線変更車に+10の修正がなされます。
ところが,車線変更を開始した段階でウインカーを出した場合や,車線変更の直前にウインカーを出しただけの場合など,道交法及び道交法施行令で定められた出し方から大きく外れている場合は,ウインカーを出していても合図なしとみなされて上記修正をされる可能性があります。

仮に交通事故に至らなくても,このようなウインカーの出し方は後続車に危険ですので,適切なタイミングでウインカーを出すよう普段から心がけましょう。

退職代行サービスと非弁行為

弁護士の岡原です。

先日,インターネットのニュースサイトで,退職代行サービスというものが流行っているというニュースを見ました。

退職代行サービスとは,「会社を辞めたいけれど,直接上司に辞めますというのは気が引ける。」,「辞めたいと言っているけれど,会社が聞き入れてくれない。」といった場合に,代わりに退職の手続を行ってくれるというサービスのようです。
実際に利用したという声らしき投稿もあり,メールやLINEで代行サービスを依頼してから翌日には退職できたとの記載もありました。

自分からは退職したいと言いづらいので,代わって退職の意思を伝えてもらいたいというだけであれば,どの退職代行サービスを利用しても問題ないかもしれません。
ただ,残業代の未払いや退職金の請求など,退職時に会社との金銭的なゴタゴタを解消したいと思っている方が,退職代行サービスを利用したいと考えているのであれば,少し注意が必要です。

依頼者から報酬をもらって会社と金銭的な交渉を行うことができるのは,原則として弁護士のみであり(認定司法書士であれば,例外的に140万円以下の民事事件の示談交渉や訴訟代理行為を行うことができます。),それ以外の人が示談交渉を行うことは,非弁行為として禁止されています。
(非弁行為を行うと,2年以下の懲役,又は300万円以下の罰金に科せられる可能性があります。)
そのため,退職の代行とともに残業代請求もしたいとお考えの場合は,依頼しようとしている退職代行サービスを行っている人が,どのような資格に基づいてそれを行っているかをご確認いただくことをお勧めいたします。

自動運転

今年は,梅雨入りしても東京ではあまり雨が降っていない印象があります。
雨は正直なところ好きではありませんが,農作物に影響が出たり,水不足になったりするのは心配ですので,もう少し降ってくれると安心なのですが。

話は変わりますが,私は現在主に交通事故の事案を担当しているにもかかわらず,普段全く運転はしないペーパードライバーです。
自動車学校での卒業検定では,指導員の先生曰く100点だったとのことですが,今ではどちらの足でブレーキを踏めばよいのかさえ忘れかけているほどです。

そんな私からすれば,早く自動車の自動運転が一般的になってくれればいいのにと願っていますが,もし自動運転で事故を起こしてしまったときは,その責任は誰が取るのでしょうか。

平成30年3月30日,政府が国の成長戦略について話し合う未来投資会議において,「自動運転にかかわる制度整備大綱」が示されました。
そこでは,自動運転中の事故の賠償責任は,自賠責保険上では原則として車両の所有者にあるとし,自動運転中でない一般の自動車と同じ扱いにすることが確認されました。
そして,事故原因の解明のため,運転記録装置の設置を義務づけ,位置情報やハンドル操作,自動運転システムの稼働状況などを記録させることが検討されているとのことです。

やはり,自動運転が普及したとしても,最終的には運転者が安全を確認して走行しなければならないことには変わりがないのかもしれませんね。

動物が交通事故で亡くなった場合の損害賠償(その2)

先月に引き続き,ペットが交通事故に巻き込まれた場合に,相手方にどのような請求ができるかについてお話します。

3 治療費
ペットが交通事故により怪我をした場合,かかった治療費について相手方に請求することができますし,相手方が任意保険に加入していた場合は対物賠償保険から治療費が支払われます。
もっとも,(その1)でお話したように,ペットは法律上「物」として扱われてしまいますので,掛かった治療費をすべて請求できるわけではなく,そのペットの時価が支払われる治療費の上限となります。
4 慰謝料
交通事故によって物が損傷した場合,原則として,慰謝料は認められていませんので,交通事故によってペットが被害を受けた場合であっても,慰謝料が認められないというのが基本的な考え方となります。
ところが,ペットを家族同然として大事にしており,亡くなったことで強い精神的苦痛を受けたと認められた場合は,例外的に慰謝料を認めた裁判例もあります。
例えば,東京高裁平成16年2月26日判決は,散歩をしていた原告の妻と飼い犬が,被告車両に追突され妻と飼い犬が死亡したという事案でしたが,飼い犬は原告が長年家族同然に飼っていたものであり,その飼い犬の死亡による精神的苦痛につき,慰謝料5万円が認められています。
5 その他
上記裁判例では,慰謝料以外に,飼い犬の火葬費用2万7000円も損害として認められていますが,裁判例においても常に認められているわけではないようです。

動物が交通事故で亡くなった場合の損害賠償(その1)

1 ペット大国日本

弁護士の岡原です。

平成29年度の調査によれば,日本でペットとして飼われている犬と猫の総数は1844万6000頭(犬:892万頭,猫:952万6000頭)だそうです。

犬と猫に限った場合で上記頭数ですので,ウサギやフェレット,インコ,ウーパールーパーなどその他のペットも入れれば,日本全国で飼われているペットの総数はかなりの数になることが予想されます。

2 ペットの法律上の扱い
それだけ,我々にとって身近な存在であるペットですが,その大事なペットが交通事故でけがをしたり,残念ながら亡くなってしまったりといった場合,加害者である相手方にどのような請求ができるのでしょうか。

ペットは,飼い主にとっては家族の一員ですが,法律上は民事上も刑事上も,自動車や着衣と同じ「物」として扱われています。
例えば,路上を歩いていた人が,わき見をしていた自動車に轢かれてけがをした場合は,過失運転致傷罪にあたる可能性がありますが,散歩で連れていたペットが同じように轢かれてけがをしても,過失運転致傷罪にあたらないどころか,器物損壊罪にも該当しません。
(器物損壊罪は,故意で物を損壊した場合のみ規定しているためです。)

そのため,ペットが交通事故でけがをしたり,亡くなったりといった場合は,物損として,相手方に損害を請求することになり,相手方が任意保険に加入している場合は対物賠償保険から保険金が支払われることになります。

来月は,ペットに関する損害として,どのような範囲で相手方加害者に請求できるかについて見ていきたいと思います。(続く)

市の名前の由来

市の名前は,旧国名などの古い地名をそのまま使用しているものや,地形に由来するもの,隣接市が合併してその地名を二つ並べたものなどさまざまですが,全国で二つだけ,市内に存在する私的団体が由来となっている市もあります。

その一つが,愛知県豊田市です。
(あとのもう一つは,お時間のあるときに調べてみてください。)

ご存知の方も多いかと思いますが,豊田市はかつて挙母(ころも)市という名称で,その後トヨタ自動車の創始者である豊田喜一郎が会社を同市に創業し全国有数の自動車の町として発展したことをきっかけに,1959年に豊田市へ名称が変更されました。
ちなみに,トヨタ自動車創業者一族は,豊田(とよだ)氏ですが,市の名前は豊田(とよた)市で,その点は異なっています。

ところで,なぜ今回唐突に豊田市についてお話ししたかというと,弁護士法人心の豊田市駅法律事務所が,本日3月26日にオープンしたからです。
場所はヴィッツ豊田タウンの4Fとなりますので,豊田市駅から徒歩3分,新豊田市駅から徒歩5分と大変便利です。
また,車で来られた方には駐車料金3時間無料サービスもございます。
豊田市及びその周辺にお住まいの方は,ぜひお気軽に豊田市駅法律事務所へご相談ください。

弁護士法人心豊田市駅法律事務所のサイトはこちら

オリンピックのスピードスケートを見て

2月4日から平昌オリンピックが開幕しました。
2月に入ってもまだ名古屋では寒い日が続いていますが,現在オリンピックが開催されている韓国の平昌は,最高気温がマイナスになることもあるほど寒いそうです。
そんな厳しい寒さの中でも,素晴らしいパフォーマンスを私たちに見せてくださる選手の方々はすごいと改めて思います。
その点,弁護士は裁判に行く際や,現地調査に行く時以外は室内での執務が多いので,寒さが苦手な私としてはありがたい限りです。

ところで,先日小平奈緒選手が,スピードスケートの500mで金メダルを獲得しましたね。
その際のタイムは37秒を切っていたとのことですので,時速48km近いスピードが出ていたことになります。
生身で時速48kmもの速度で走ると考えると信じられない数字ですが,おそらく自動車やバイクに普段から乗る方の中には,時速48kmはそこまで速いという感覚はなく,むしろもっとスピードを出して走行しているという方も多いのではないでしょうか。

ところが,もし時速48kmで走行していて交通事故に遭った場合,思った以上に深刻な結果になる可能性があります。
例えば,時速48kmの場合,前方に人影を発見してただちにブレーキを踏んでも,完全に停止するまで23mも要します。
また,普通乗用車が時速50kmで歩行者と衝突した場合,歩行者の致死率は80%にも上るとの調査もあるそうです。
交通事故の相手方が残念ながら亡くなってしまった場合は,刑事罰が科されてしまうだけでなく,民事上の責任として死亡慰謝料や逸失利益など,数千万円近くの多額の損害賠償義務を負う可能性もあります。

特に,私が勤務する名古屋は,個人の感覚ですがかなりのスピードで走行される自動車が多いという実感があり,交通事故件数も全国的に見て高いという統計もあるようですので,自動車の速度にはぜひ注意していただき,安全運転を心掛けていただければと思います。

夫婦別「姓」

弁護士の岡原です。
最近は,名古屋でも雪が積もるほど寒い日が続いていますね。
私は,あんなに注意深く歩いていたにもかかわらず,事務所の入り口付近の凍った路面で滑ってしりもちをついてしまい,何事も最後まで気を抜いてはいけないということを改めて痛感しました。

ところで,最近,夫婦別姓を日本でも導入すべきかといった議論が盛んになされていますが,現時点ではまだ夫婦は同じ名字を名乗ることになっています。
(民法750条:「夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称する。」)
ここで,どうでもいいことが気になってしまう私は,せっかく夫婦別姓の是非についてブログで書こうと思っていたにも関わらず,「姓と名字と氏,いわゆるラストネームを指す言葉として使われている気がするけど,一体何が違うのだろう…?」と気になってしまいました。
そこで,今回は,「姓」と「名字」,「氏」の違いについて,調べてみたいと思います。

まず,「氏」(うじ)とは,もともと同じ血筋であることを表すための名称を言い,例えば,蘇我馬子の「蘇我」は氏にあたります。
なお,「そがのうまこ」,「たいらのきよもり」のように,氏の後ろには「の」を入れますが,これは「蘇我家の馬子さん」,「平家の清盛さん」のようにそれぞれの帰属を表すためです。

そして,「姓」(かばね)とは,朝廷での役職や地位を表すものであり,蘇我馬子の姓は「臣」(おみ),平清盛の姓は「朝臣」(あそん)と言います。
姓は,公的な呼称として,公文書における表記などに用いられました。

最後に「名字」とは,氏が分家したときなどの場合に,家の区別のために用いられたもので,邸宅のある地名などを名字として付けました。
徳川家康の「徳川」は名字であり,氏は「源」,姓は「朝臣」です。
なお,平清盛には名字がないそうです。

明治以前は,このように氏と姓と名字が区別して用いられてきましたが,明治4年に姓尸不称令が出され,公文書に氏や姓を記載せず,名字と実名のみ記載することとなり,氏と姓と名字は一本化されることになりました。
そして,名字を指す法律用語は「氏」となり,同じ血族であることを示す「うじ」としての意味はなくなりました。
そのため,前述した民法750条は,名字の意味で「氏」を使用しています。

結論として,現代において「姓」と「氏」,「名字」はどれもいわゆるラストネームを指し,意味に違いはないようです。
また,法律用語としての「氏」以外は,どのような場面でどう使い分けるかという区別も特にないようです。

実況見分調書と人身届

愛知県は,残念ながら交通事故の件数がかなり多い県と言われています。
私自身も,名古屋市で弁護士をしていて,タクシーに乗っているときなどに,他の車がウインカーを出さずに車線変更をしてきたり,一時停止をせずに脇道から入ってきたり,信号が青に変わる前に発車したりするのをよく目にします。そして,交通事故のご相談をお受けするときも,そのような走行により事故にあわれてしまったというお話をよく聞きます。

ところで,交通事故で,事故態様に争いがなければあまり問題とならないのですが,相手方が事故態様について争ってきたとき,例えば減速の有無や一時停止の有無などについて,こちらの認識とは異なる主張をしてきた際に,それを明らかにするために役に立つのが,警察が作成した実況見分調書です。

実況見分調書とは、当事者立会いのもと、警察が事故状況をまとめた書類です。
実況見分調書には、実況見分の日時や場所,立会人の説明,現場付近の状況(道路幅,路面状況,信号機の有無など)といった事項等が記載され、事故現場見取り図が添付されます。
また、警察が撮影した事故現場や,事故車両の写真が添付されることもあります。
最初に相手を発見した地点や,ブレーキを掛けた地点などが明らかになる場合も多いですので,事故態様や過失割合を明らかにするのに役立つことが多いです。

ところが,この実況見分調書は,事故があれば必ず作成されるわけではなく,交通事故により当事者が怪我をし,警察に人身届を提出した場合のみ,実況見分調書が作成されます。
当事者が怪我をしていても,人身届を出しておらず,物損事故扱いのままになっている場合、実況見分調書は作成されず,物件事故報告書というA41枚の簡単な書類のみが作成されます。

では,人身届はどのように出せばよいかですが,事故発生からなるべく早くに,病院で診断書を作成してもらい,管轄の警察署に届け出をします。

事故から時間が経ってしまうと,警察が届けを受け付けてくれないこともありますので,なるべく事故から一週間か10日くらいで手続きを行ってください。

実況見分調書は,捜査中は非公開のため取り寄せることはできませんが,処分が決定すれば,被害者本人もしくは弁護士であれば取り寄せることができます。
保険会社の担当者自身では取り寄せることができませんので,事故態様について明らかにしたいという場合は,被害者の方ご自身で手続を行うか,交通事故に精通した弁護士に依頼し,取り付けとあわせて示談交渉を行ってもらうことをおすすめします。

交通事故について弁護士を名古屋でお探しの方はこちら

改元

明日の皇室会議で,今上天皇の譲位の日程が決定されるとのニュースを見ました。
平成31年4月30日が濃厚とのことですが,もしそうだとすると翌5月1日から新たな元号が使用されることになりそうです。
ところで,元号について,法律ではどのように規定されているのか,気になって調べてみました。

そもそも,日本において一番初めに用いられた元号は,日本書紀によれば,「大化の改新」で有名な「大化」であるとされています。
もっとも,
元号について法律により制定されたのは明治時代になってからで,明治時代から第二次世界大戦終結までの間は,旧皇室典範の12条に基づき,天皇陛下の践祚(せんそ,皇位の象徴である三種の神器を先帝から受け継ぐこと)があったときのみ新たな元号を制定すると定められました。
ちなみに,「明治」の由来は,中国の古代の書物であり,儒教の基本書物である五経の一つである『易経』の,「聖人南面して天下を聴き、明に嚮(むか)いて治む」という言葉の「明」と「治」を取って名付けられました。
なお,「大正」の由来は『易経』の「大亨は以って正天の道なり」で,「昭和」の由来は『書経』の「百姓昭明、協和万邦」,「平成」の由来は『史記』の「内平かに外成る」と,『書経』の「地平かに天成る」だそうです。

第二次世界大戦後に旧皇室典範が廃止され,昭和という元号は根拠条文のないまま事実上使用されてきましたが,1979年(昭和54年)に元号法が制定され,昭和という元号に再び法的な根拠が与えられることになりました。

ちなみに,元号法は,わずか2条からなる,日本の法律で一番条文が短い法律です。

元号法
1 元号は,政令で定める。
2 元号は,皇位の継承があった場合に限り改める。

二回試験

今日から,二回試験が始まりました。
二回試験とは、正式名称を「司法修習生考試」といい,司法試験に合格して司法修習生となった者が受ける卒業試験のようなものです。

例年、11月の中旬から下旬に、民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の各科目について一日一科目,10時20分から17時50分まで7時間30分の試験が計5日間にわたって行われます。
私も,今のように名古屋で弁護士をする前に,司法研修所のある和光でこの二回試験を受けましたが,もう試験中の記憶があまりありません。
もし落ちてしまうと,一年後に再び試験を受けるしかないので,「もし落ちて一年間棒に振ってしまったらどうしよう。」や,「内定先になんて説明しよう。」などと,精神的にかなり追い込まれますので,もしお金をもらって頼まれても二度と受けたくありません。

二回試験の答案用紙は,横にパンチの穴が開いており,表紙を付けて綴り紐で閉じなければなりません。
この紐を結んでいなかったり,回収中にほどけてしまったりすると失格になるので,試験前は何度か友人と「振ってもほどけない紐の結び方」をインターネットで検索し,試行錯誤した楽しい思い出があります。

二回試験の合格発表は,今年は12月12日だそうです。
今年受けた方が,全員合格していることを祈ります。

台風

今月は,22日,29日と2週連続で台風が到来しました。

私が住む名古屋市も,大雨と強風で,一時外出がためらわれるほどでした。

10月に台風が到来するのは珍しい気もしますが,統計によれば3~4年ごとに10月でも台風が上陸しているようです。

なんと,1990年には11月に台風が1つ上陸しているそうです。

今年の台風はもう終わりであることを祈ります。

選挙

先日10月22日は,台風21号が到来するなか,第48回衆議院議員総選挙が行われました。

去年(2016年)の公職選挙法改正により,選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられたため,衆議院議員総選挙としては初めて18歳・19歳が選挙権を行使できた選挙となりました。
(なお,18歳・19歳が選挙権を行使できた日本初の選挙は,2016年7月3日投票の福岡県うきは市長選挙で,国政選挙では2016年7月10日投票の第24回参議院議員選挙です。)

ところで,世界各国の選挙権年齢を見ると,なんと176か国もの国で選挙権年齢は18歳以下とされており,オーストリアやキューバ,キルギス・ニカラグア・ブラジル・アルゼンチンは,選挙権年齢が16歳なのだそうです。
また,意外なことに,北朝鮮では数え年で17歳以上の人に選挙権が与えられているそうです。

弁護士会研修

名古屋市で弁護士をしている岡原です。

先日,弁護士会での研修を受けてきました。

これは,年に数回ある義務研修なのですが,毎回大変ためになる研修ばかりです。

特に,それぞれの弁護士が担当した刑事事件につき,個人情報や事件の具体的内容を伏せたうえで発表し,それぞれ疑問点や改善点などを指摘しあうという研修は,普段知ることのない他の弁護士の弁護活動を知ることができ,大変参考になりました。

健康診断

名古屋で弁護士をしている岡原です。

今日,健康診断を受けてきました。

これまでバリウムを飲むのが嫌で必死に逃げ回っていたのですが,そろそろ見てみないと…と思い,胃を決して,もとい意を決して受診してきました。

思ったよりバリウムがまずくなかったので,大したことはなかったと安堵していたのですが,バリウムが体質にあわなかったのか分かりませんが,受診後に猛烈な胃の不快感に襲われました。

来年胃カメラを受診するか,すでに悩んでいます。

非弁活動

名古屋で弁護士をしている,岡原麻矢です。
私は,現在,愛知県弁護士会の非弁護士活動取締委員会に所属しています。
「非弁護士活動取締」とは一体どのような活動をしているのかというと,おおまかにいえば弁護士法27条(非弁提携の禁止)や,同法72条から74条(非弁行為の禁止)に反する活動につき質問書を送付する等により実態を調査し,非弁行為等に当たると判断されれば警告や告発などの処置を取るといったことが内容となります。

もっとも,このような説明では,一般の方にあまり実感がわかないかと思いますので,一つ例を出してご説明したいと思います。
例えば,弁護士法74条2項は以下のように規定しています。
弁護士法 第74条
1 弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示または記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
では,弁護士の資格を持っていない人が,他人から法律相談を受け,相談者から相談の対価はもらっていないというケースは,同法74条2項に該当しないのでしょうか。

同法74条2項の趣旨は,「(弁護士)資格を有さず,なんらの規律にも服しない者が,自己の利益のため,みだりに他人の法律事件に介入することを業とする行為を放置すれば,当事者その他の関係人らの利益を損ね,法律生活の公正かつ円滑な営みを妨げ,ひいては法律秩序を害することになるので,これを禁圧する必要がある」という点にあります(最判昭和46年7月14日判決・刑集25巻690頁)。

そのため,法律に詳しい夫が,妻の法律問題についてアドバイスすることは,自分の利益のために行うものではなく,「利益を得る目的」にはあたらないので問題とはなりません。
また,身内でなくても,近所の人の法律問題について,世間話の延長として相談に乗ることも,そこまで問題とはならないといえます。

ところが,その方が「法律に詳しいおじさん」と近所で評判になり,八百屋の店主が店の一角に椅子を数脚おいて無料相談スペースを作って客寄せに利用し,八百屋の店主からおじさんに謝礼として割引券が毎月渡される,というケースだと,74条2項にあたるとして問題となる可能性があります。
なぜなら,上記趣旨からすれば,相談を受ける者が自己の利益のために他人の法律事件に首を突っ込むことが禁止されているということになりますので,「利益を得る目的」とは相談者から対価を得ることに限られず,相談場所を提供した人からの対価の受領もこれにあたるという解釈となるからです。

非弁行為や非弁提携は,これ以外にもたくさんの類型があり,これはほんの一部にすぎません。
もし,これらの類型にあたるかも?と思われるような行為を見かけられましたら,お住まいの地域の弁護士会へご一報ください。

9月の祝日

9月18日は敬老の日,9月23日は秋分の日と,9月には2日も祝日があります。
もっとも,今年の秋分の日は土曜日と重なっているため,振替休日がないのが残念です。
(祝日と振替休日との関係については,私の平成29年2月11日付ブログ「建国記念日」をご覧いただくか,国民の祝日に関する法律第3条をご確認ください。)

9月は気候もよいので,皆さまも3連休を利用して旅行などにお出かけされてはいかがでしょうか。