動物が交通事故で亡くなった場合の損害賠償(その1)

1 ペット大国日本

弁護士の岡原です。

平成29年度の調査によれば,日本でペットとして飼われている犬と猫の総数は1844万6000頭(犬:892万頭,猫:952万6000頭)だそうです。

犬と猫に限った場合で上記頭数ですので,ウサギやフェレット,インコ,ウーパールーパーなどその他のペットも入れれば,日本全国で飼われているペットの総数はかなりの数になることが予想されます。

2 ペットの法律上の扱い
それだけ,我々にとって身近な存在であるペットですが,その大事なペットが交通事故でけがをしたり,残念ながら亡くなってしまったりといった場合,加害者である相手方にどのような請求ができるのでしょうか。

ペットは,飼い主にとっては家族の一員ですが,法律上は民事上も刑事上も,自動車や着衣と同じ「物」として扱われています。
例えば,路上を歩いていた人が,わき見をしていた自動車に轢かれてけがをした場合は,過失運転致傷罪にあたる可能性がありますが,散歩で連れていたペットが同じように轢かれてけがをしても,過失運転致傷罪にあたらないどころか,器物損壊罪にも該当しません。
(器物損壊罪は,故意で物を損壊した場合のみ規定しているためです。)

そのため,ペットが交通事故でけがをしたり,亡くなったりといった場合は,物損として,相手方に損害を請求することになり,相手方が任意保険に加入している場合は対物賠償保険から保険金が支払われることになります。

来月は,ペットに関する損害として,どのような範囲で相手方加害者に請求できるかについて見ていきたいと思います。(続く)