訴訟になった場合の裁判所の場所等について②

こんにちは。名古屋の弁護士の中里です。

今回は,前回の記事の続きで土地管轄についてお話させていただきます。

裁判管轄には,事物管轄のほかに土地管轄というものがあります。

つまり,どこの場所にある裁判所に訴えを申し立てればいいのかということです。

交通事故の場合の土地管轄の候補は3つあります。

① 被告の住所地(正確には,被告の普通裁判籍である住所等の所在地を管轄する裁判所)

② 原告の住所地(正確には,原告の住所地を管轄する裁判所)

③ 事故発生場所(正確には,不法行為があった場所を管轄する裁判所)

もし,訴訟となった場合には,上記①~③のうちからどれか一つを選べます。

もちろん,①~③を管轄する裁判所が同じ場合もありますので,結局は,一つの裁判所しか選べないこともあります。

以下,少し補足説明します。

① 被告の住所地については,民事訴訟法4条1項・2項が根拠となります。

すなわち,「訴えは,被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属」(民訴法4条1項)し,人の普通裁判籍は住所によって決まります(民訴法4条2項)。

② 原告の住所地については,民訴法5条1号が根拠となります。

財産権上の訴えは,義務履行地を管轄する裁判所に訴えを提起することができます。

損害賠償請求権は,金銭債権ですから,別段の意思表示がない限り,債権者の現在の住所で弁済しなければなりません(民法484条)。

そうすると,交通事故に基づく損害賠償債務の義務履行地は,債権者である「原告の住所地」となります。

③事故発生場所については,民訴法5条9号が根拠となります。

不法行為に関する訴えは,不法行為地を管轄する裁判所へ訴えを提起することができるのです。

したがって,交通事故で損害賠償請求訴訟を提起する場合には,交通事故発生場所(不法行為があった地)を管轄する裁判所にも訴訟提起することができるのです。

 

ですから,もし,旅行中の事故などで,遠方の地で事故にあわれた場合などは,弁護士を地元の弁護士に頼んでいいものか悩まれる方もいらっしゃいますが,たいていの場合は裁判管轄は気にする必要はありませんのでご安心ください。

 

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