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別居中の生活費を相手に出してもらうことはできますか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年12月21日

1 婚姻費用とは

夫婦には、互いに協力して扶養する義務があります(民法752条)。

そのため、夫婦のうち収入の高い者が、低い者に対し、婚姻生活を維持するために必要な費用を支払う義務を負っています。

この費用のことを、婚姻費用といいます。

もう少し詳しくいうと、婚姻費用とは、夫婦と未成熟の子ども(経済的に自立しておらず、親の扶養を必要とする子ども)が、共同生活を維持するために要する費用のことです。

具体的には、衣食住にかかる費用、水道光熱費、子どもの教育費、医療費、交際費等が含まれます。

2 別居中の場合

夫婦には、原則として同居義務がありますが、夫婦の関係が悪化して、離婚の話合いや調停をする時点では、別居しているケースがほとんどです。

もっとも、別居していても、離婚が成立するまでは婚姻中であることには変わりはないため、夫婦は、依然として扶養義務を負っています。

そのため、夫婦の一方は、別居中あっても、他方に対し、婚姻費用(生活費)を支払うよう求めることができます。

3 婚姻費用の請求方法

婚姻費用の金額や支払方法については、法律上、具体的に定められているわけではありません。

そこで、夫婦間で話し合って決めることになります。

夫婦間で話がまとまらない場合や、どちらかが話合いに応じない場合には、家庭裁判所に、婚姻費用分担の調停を申し立てることができます。

調停手続では、調停委員を交えて、話合いをします。

調停手続でも決着がつかない場合は、自動的に審判手続が開始され、家庭裁判所の裁判官が、婚姻費用の金額や支払方法について決定します。

金額や支払方法が決まれば、通常、申立て時からの未払い分も含めて、婚姻費用を支払ってもらうことが可能となります。

4 婚姻費用の金額

夫婦の話合いや、調停手続きでの話合いで決まる場合は、合意した金額が支払われます。

審判手続を通じて婚姻費用の金額が決められる場合には、婚姻費用算定表と呼ばれる算定基準に従って定められることが多いです。

婚姻費用算定表とは、夫婦の収入、扶養しなければならない子どもの人数、子どもの年齢等に応じて定められた具体的な婚姻費用の金額を記載した一覧表です。

そこで、婚姻費用算定表とは異なる金額を請求したい場合には、算定表に基づくことが著しく不当であることを裏付ける特別な事情があることを裁判官に主張・立証していくことが必要になります。

また、婚姻費用算定表は、婚姻費用を支払うべき親の年収は、2000万円までしか記載されていません。

そのため、2000万円を超える年収の場合の婚姻費用をいくらにするかについては、いろいろな考え方があります。

さらに、婚姻費用の請求が権利の濫用であるとして、請求の一部または全部が認められないケースもあります。

例えば、婚姻関係が破綻して別居に至った原因が、主に婚姻費用を請求する側にあるような場合です。

適正な婚姻費用の金額を請求するためには、算定表では考慮されていない特別の事情について裁判官に主張し、その裏付け資料を収集して提出したり、各種の法的主張をする等、専門的な判断が必要となります。

一度、離婚に強い弁護士に相談されるとよいでしょう。

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