マネーローンダリング規制と依頼者の本人確認②

こんにちは,弁護士の田中浩登です。

前回に引き続き,マネーローンダリング規制に伴う弁護士の本人確認の義務についてお話させていただきます。

 

平成29年12月8日の日弁連臨時総会における「依頼者の本人特定事項の確認及び記録保存等に関する規程」(以下,「本規程」という。)の改正により,弁護士が依頼者に対して本人特定事項の確認を行っているか,記録を保存しているのかについて,各所属弁護士会に年次報告書を提出することになりました。

平成30年1月1日から3月31日までについては,平成30年6月30日までに,①持参,②郵送,③FAX,④ウェブサイトに入力(平成30年1月時点では各弁護士会にて準備中),⑤電子メールに添付のうちいずれかの方法で提出することとなっており,それ以降は前年4月1日からその年の3月31日までの期間につき,同様の方法で毎年6月30日限りに提出することとなっています。

 

弁護士法人の場合には,まず,社員たる弁護士および社員でない弁護士自身が,各所属の弁護士会に年次報告書を提出することが必要となります。

それに加えて,主たる法律事務所の所属する地域の弁護士会には主たる法律事務所及び従たる法律事務所(当該地域の内外にかかわらず)の全ての法律事務所にかかる事項を報告し,従たる法律事務所の所属する地域の弁護士会には従たる法律事務所に係る事項のみを報告することが求められています。

 

依頼者の本人特定事項の確認や記録の保存,年次報告書の作成については,日弁連のホームページに詳しい情報が掲載されているほか,eラーニングにて「簡単!依頼者の本人確認と年次報告書の作成」という40分程の講座が用意されているため,弁護士はそちらで正確な情報を得るのが良いと思われます。

また,事件管理及び記録保管のための雛形についても日弁連のホームページに掲載されています。

雛形を用いることまでは義務とされていませんが,そちらを用いると,確認の漏れ等が少なくなるのではないでしょうか。

 

弁護士に依頼を考えている方の中には,弁護士から本人確認の書類の提出等を求められるのでやや面倒に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし,犯罪組織やテロ組織の資金調達の手段として,弁護士を介したマネーローンダリングが用いられることを未然に防ぐためには,依頼者さん一人ひとりの理解が必要となります。

どうかご協力いただければと思います。

 

以上,マネーローンダリング規制に伴う弁護士の本人確認についてでした。