少年事件について①

こんにちは,弁護士の田中浩登です。

最近,付添人として活動していた少年事件が一件終結いたしました。

事件を振り返りながら,少年事件についてお話したいと思います。

 

まず,「少年」とは,満20歳に満たない者のことであり,男女問わず「少年」となります。

少年が犯罪を行った場合には,通常の成人の犯罪についての刑事事件とは異なり,少年事件として処理されることになります。

成人の犯罪については,犯してしまった罪について償い,本人が再び犯罪を行うことがないようにすること,一般人の犯罪を予防することを目的として刑罰が科せられることになります。

これに対して,少年の犯罪については,少年の健全な育成という教育目標のために教育的・福祉的な処遇を行うことで,少年の更生を目指す「保護主義」のもとで,原則として刑罰が科せられるのではなく保護処分が行われることになります。

 

このように少年事件について,通常の刑事事件と異なる扱いをされている理由は,

①少年は一般に,精神的に未熟な上,環境の影響を受けやすく,たとえ非行を犯したとしても,それは深い犯罪性に根ざすものではないから,成人と同様に刑罰によって非難し,社会的責任を追及するのが妥当でないこと

②少年は,人格の発達途上にあって,可塑性に富み,豊かな教育的可能性があるから,処罰よりもむしろ教育的手段によって再非行防止を図る方がより効果的であり,また,その方が本人のみならず,社会にとっても利益になるところが多いこと

にあります。

 

保護処分の内容には,以下の3種類あります。

⑴決められた約束事を守りながら家庭等で生活し,保護観察官や保護司から生活や交友関係などについて指導を受けることになる「保護観察処分」

⑵比較的低年齢の少年について,開放的な施設で必要な指導を行い,その自立を支援することを目的とした「児童自立支援施設・児童養護施設送致」

⑶少年が再び非行を犯す恐れが強く,社会内での更生が難しい場合に,再び非行を犯すことのないように,少年に反省を深めさせるとともに,謝罪の気持ちを持つように促し,あわせて規則正しい生活習慣を身に付けさせ,職業指導をするなど,施設内で全般的指導を行う「少年院送致」

の3種類です。

どのような処分が行われるかについては,刑事事件のように公開の法廷で判断されるのではなく,家庭裁判所における非公開の少年審判によって決定されることになります。

 

次回は,少年事件における少年審判,弁護士の活動についてお話させていただきます。