職業が不安定な人の個人再生の利用

弁護士の松山です。

1 個人再生の利用適格

小規模個人再生手続きを利用するには、申立人が「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」必要があります(民事再生法221条1項)。

「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」とはいえないことが明らかな場合には、個人再生手続開始申立ては棄却されてしまいます。

では、どのような人が「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」人であり、どのような人がそうでないのでしょうか。

ここでは、派遣社員、アルバイト、主婦、無職の人を例に説明いたします。

2 派遣社員

派遣社員の場合は,派遣先の雇用期間が短期間に限定されている場合、将来において継続的に収入を得ることができるかについて不安がありますが,契約延長や新たな派遣先の紹介を得る見込みを説明することで、個人再生を利用できる可能性があります。

3 アルバイト

これまで短期間のアルバイトを繰り返しているのみの場合であっても現、在働いており一定額以上を返済できる余裕があれば、将来の雇用継続が見込めないことが明らかでない限りは、利用適格がないことが明らかであるとはいえないと解されています。

4 主婦

主婦の場合、現在アルバイトやパートで収入を得ているかどうかで判断は異なってきます。

無職の場合、利用適格がないことが明らかですので、個人再生手続きを利用することはできません。

一方,アルバイトやパートに出ることで、一定額以上の収入を得ることができるようになれば、将来において継続的に収入を得ることができないことが明らかとはいえないとされる可能性があります。

5 無職

無職の場合は、基本的には利用適格がないことが明らかですので、個人再生手続きを利用することはできません。

しかし,現在たまたま失業中であり、既に内定を得ているなどの事情のため、近いうちに再就職することが確実である場合には、継続的な収入を得る見込みがないことが明らかでないとして、個人再生手続きを利用できる可能性があるという考え方があります。