破産財団からの放棄

破産法78条2項12号は,破産管財人の権限として「権利の放棄」を定めています。

破産管財人の管理処分権のみを放棄することもできると解されています。

破産するのが法人であっても,一般論としては,破産管財人は管理処分権の放棄をすることができるとされています。

破産法人の破産管財人が,ある財産の管理処分権を放棄した場合,その管理処分権は破産法人に戻ることとなります。

そのような場合,財産価値がないとされる財産につき,誰が破産法人の代表権限をもつかには,学説上考えが分かれるようです。

旧商法のもとでは,裁判所が選任する清算人に権限があるとの最高裁の判断がありますが(最決平成16年10月1日),会社法下でどうなるかについては,代表取締役が代表権限を持つとの解釈も可能であり,決着がみられていないようです。

判例は,破産手続開始決定時の取締役らは,破産手続開始によりその地位を当然には失わず,会社組織にかかる行為等については取締役らとしての権限を行使しうると解するのが相当であるとしており(最判平成21年4月17日),このことからすれば,破産財団に関しないことは,従前の代表取締役がその地位で代表権限を有するとの解釈も可能です。