個人再生手続が認可されない場合その1

第1 個人再生計画の不認可

個人再生手続において裁判所から再生計画の認可決定を得れば,債務を圧縮したうえで,原則3年での分割返済をすることが可能です。

しかし,再生手続開始決定が下されたからといって必ずしも再生計画が認可されるとは限りません。

民事再生法では個人再生手続における再生計画の不認可事由を定めており,不認可事由に該当する場合には再生計画不認可の決定がなされます。

個人再生手続には,小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの手続があり,次のとおり2つの手続に共通する不認可事由と各手続に特有の不認可事由が存在します。

第2 個人再生に共通する不認可事由

1 再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し,かつ,その不備を補正することができないものであるとき(民事再生法231条1項,241条2項1号,174条2項1号)

この場合には再生計画不認可決定がなされますが,例外として,再生手 続が法律の規程に違反する場合において,当該違反の程度が軽微であるときは,不認可事由には該当しません。

2 再生計画が遂行される見込みがないとき(民事再生法231条1項,241条2項1号,174条2項2号)

再生計画が遂行される見込みがないときも不認可事由にあたります。

具体的には,債務者の毎月の収入からすれば返済できる見込みがない再生計画では,不認可の決定がされます。

3 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき(民事再生法231条1項,174条2項4号,241条2項2号)

再生債権者の一般の利益とは,破産手続がなされたならば得られたであろう利益のことをいいます。

破産手続では原則として債務者の全ての財産が換価されて配当に充てられるので,債務者の財産の合計額よりも低い額しか返済しないような再生計画については,不認可決定がなされます。

4 債権の総額が5000万を超えるとき(民事再生法231条2項2号, 241条2項5号)

再生債権の総額が5000万円を超えるときは,不認可事由となります。

ただし,ここでの再生債権の総額について,住宅資金貸付債権の額,別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額等が除かれています。

 

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