死亡届について

緊急事態宣言も解除され,名古屋市でも徐々に人出が増えたように感じています。

第2波,第3波の危険も指摘されているところでもあり,再度の感染拡大に注意しながら,日頃の行動を律していきたいと思います。

 

今回は,死亡届について取り扱おうと思います。

死亡届については,みなさまにはあまり馴染みがないかもしれませんが,相続を扱う弁護士にとってはまれに問題になることがあります。

 

まず,死亡届には届出義務者が定められており,死亡の事実を知った日から7日以内(国外での死亡の場合は3か月以内)に届け出をしなければなりません。

 

届出義務者には順序があり,「同居の親族」,「その他の同居者」「家主,地主又は家屋若しくは土地の管理人」の順序で届出義務を負っています。

 

法律上,届出義務を負っている届出義務者のほかに,届出を提出することができる届出資格者というのがあります。

上記の届出義務者は,その順序に関わらず届出をすることができるとされていますから,届出資格者でもあるといえます。

そのほかの届出資格者としては,同居の親族以外の親族,後見人,保佐人,補助人,任意後見人があります。

 

それでは,死亡届の届出資格者がいない場合にはどうすればよいのでしょうか。

死亡届が誰からも提出できるというのは妥当ではないかもしれませんが,他方で,その方が亡くなったことが明らかであるにも関わらず,これが戸籍に反映されないことも問題です。

そのため,死亡届が届出資格者以外からなされた場合には,これを死亡したことを戸籍に反映することを申し出る「死亡記載申出書」として扱ってもらえることがあります。

 

家族の在り方の変化に伴って,独居で亡くなる方も増えてきているようです。

そのような方々が亡くなった後もトラブルとならないように,また,亡くなった後の面倒をみる方がスムーズに手続きを進められるように,さまざまな工夫が必要であると感じています。