養育費,婚姻費用の新算定方式について

今年最初の投稿です。

去年1年を振り返ってみても,平成の最後の年を迎えた時には,令和の最初の年がこのような1年になろうとは思ってもみませんでした。

1年の計を立てるには元旦がよいなどと言われますが,1年の計画の立てることの難しさを感じています。

これからも,明確な目標を設定し,しっかりと日々の計画を立てながら,弁護士としての職務にあたっていきたいと思います。

 

今回は,新たに発表された養育費,婚姻費用に関する報告を採りあげたいと思います。

 

昨年12月23日,養育費,婚姻費用に関する司法研修所の研究が発表されました。

ここで新たな養育費,婚姻費用に関する算定表も発表され,最高裁判所のホームページでも公開されています。

詳しい研究内容は『養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究』(司法研修所編)という書籍に記載されています。

まず,基礎収入の算定方法は,最新の税率・統計資料に基づいて基礎収入割合が算出されただけで,従来の算定方式との間で特段の変更点はないようです。

 

子どもの生活費指数については,15歳前後で区分するという点には変更がありませんでしたが,0~14歳区分が従来の「55」から「62」に増加し,15歳以上が従来の「90」から「85」に低下しました。

前者の理由は,学校教育費等の考慮すべき生活費の割合上昇によるもの,後者の理由は,国公立高等学校の学費が下がったことによるものだと説明されています。

 

成人年齢の引下げの法改正の影響については,結論としてはないこととされています。

 

このように,今回の新算定方式は従来の算定方式が依拠していた統計資料等を最新のものに更新しただけで,考え方や内容に大きな変更点はありません。

その理由としては,従来の算定表がこれまで実務で広く受け入れられてきたにも関わらず,これに大きな変更を加えることは実務の混乱をもたらすおそれがあるため,法的な安定性の観点からも,必要最小限の修正に留められたのでないかと思われます。

また,研究発表では,「本研究発表は,養育費等の額を変更すべき事情変更には該当しない」と明記されていますので,この点も非常に大事でしょう。

 

新算定方式はこのような内容ですから,少なくとも実務上は,名古屋を含めて全国の家庭裁判所に受け入れられるものと考えられます。