煽り運転

弁護士の岡原です。
先日,免許更新時の講習で,①ながら運転について,②煽り運転についての話がありました。
今月は,②煽り運転についてお話ししたいと思います。

煽り運転とは,一般的には,車間距離を詰める,幅寄せ,蛇行運転,クラクションでの威嚇,必要のないハイビームなど,故意に特定の車両の運転を妨害するような運転をいいます。
また,最近では,わざと制限速度を大幅に下回る速度でノロノロ走行する,逆煽り運転といったものも取り上げられています。

私は,事務所のある池袋周辺で煽り運転に遭ったことはありませんが,郊外を走っているときなどに後方の車両から車間距離をかなり詰められたことがあり,急いでコンビニの駐車場に逃げたことがあります。

取り締まりについては,2017年に起きた東名高速道路でのあおり運転による死亡事故をきっかけに摘発が強化されていますが,今後は,道路交通法に新たな規定を設け,その罰則も現状より厳しいものにする方針が示されています。

ところで,そもそもどうして煽り運転が起きてしまうのでしょうか。
その原因の一つとして,自分が思うような運転ができない状況を,他者からの攻撃ととらえ,それに対して報復や制裁を行うことは正当な行動だと考えてしまうといった思考があるそうです。
例えば,前の車両がゆっくり走っているという状況を見ると,「自分は急いでいるのに,前の車に邪魔されている。」,「こういった走り方をする車には,自分が痛い目に遭わせないといけない。」などと考えてしまい,煽り運転を正当化してしまうそうです。
また,「こういう種類の自動車を運転している人は運転が下手だ。」といった偏見から,実際はなにも起きていないにもかかわらず,特定の車種を見ると自分が懲らしめないといけないといった思考に陥り,煽り運転をしてしまうといったケースもあるそうです。
さらに,車内は運転者が誰か一見しては分からないという匿名性が高い空間であり、ドライバーの感情が攻撃的になりやすいというのも,上記思考を強めてしまう要因の一つだそうです。

誰しも,イライラしてストレスが溜まっているときは,ほんの些細な出来事にも怒りを覚えてしまうことがあります。
ですが,その怒りのままに煽り運転を行ってしまうと,煽り運転として罰則の対象になるのはもちろんのこと,大事故を引き起こしてしまう可能性も十分にあります。
怒りの発散のせいで一生を棒に振ってもよいのか,ひと呼吸おいて考えることが大事です。