動物が交通事故で亡くなった場合の損害賠償(その2)

先月に引き続き,ペットが交通事故に巻き込まれた場合に,相手方にどのような請求ができるかについてお話します。

3 治療費
ペットが交通事故により怪我をした場合,かかった治療費について相手方に請求することができますし,相手方が任意保険に加入していた場合は対物賠償保険から治療費が支払われます。
もっとも,(その1)でお話したように,ペットは法律上「物」として扱われてしまいますので,掛かった治療費をすべて請求できるわけではなく,そのペットの時価が支払われる治療費の上限となります。
4 慰謝料
交通事故によって物が損傷した場合,原則として,慰謝料は認められていませんので,交通事故によってペットが被害を受けた場合であっても,慰謝料が認められないというのが基本的な考え方となります。
ところが,ペットを家族同然として大事にしており,亡くなったことで強い精神的苦痛を受けたと認められた場合は,例外的に慰謝料を認めた裁判例もあります。
例えば,東京高裁平成16年2月26日判決は,散歩をしていた原告の妻と飼い犬が,被告車両に追突され妻と飼い犬が死亡したという事案でしたが,飼い犬は原告が長年家族同然に飼っていたものであり,その飼い犬の死亡による精神的苦痛につき,慰謝料5万円が認められています。
5 その他
上記裁判例では,慰謝料以外に,飼い犬の火葬費用2万7000円も損害として認められていますが,裁判例においても常に認められているわけではないようです。