SNS

名古屋で弁護士をしている,岡原です。

突然ですが,皆さんはツイッターやフェイスブック,インスタグラムなどのSNS(ソーシャルネットワーキングシステム)を利用したことがあるでしょうか。
手元のスマートフォンで気軽に今自分が思っていることや考えたことを発信でき,即座に多くの人からのリアクションを得ることができるという特徴から,これらのSNSは年齢を問わずかなりの割合の人々に広まっているようです。
また,フェイスブックは実名登録が原則ですが,ツイッターなどはアカウント名を実名にする必要はないため,一定程度の匿名性もあり,現実の生活では言えない本音もSNSでなら言えてしまうというという点も,SNSの人気を後押ししているように感じます。

ところが,SNSでうっかり発言したことが大炎上し,断片的な情報から個人や勤務先などまで明らかにされてバッシングを受けるといったケースは,ニュースなどでも少なからず聞かれます。
また,何の気なしに書いた会社の愚痴が勤務先にばれてしまい,退職せざるを得なくなってしまったというケースもいくつかあるようです。

では,SNSで発信してよいことといけないことの境界は,どこにあるのでしょうか。
ここでは,身近な「会社関係の愚痴」を例に考えてみたいと思います。

まず,「今うちで開発している10月発売の新商品,本体カラーがメタリックでダサすぎる!」などの,勤務先の会社の開発中の商品について言及することは,勤務先にもよりますが,就業規則に違反し懲戒処分の対象となる可能性があります。
例え企業名や商品名に言及していなかったとしても,その他の発言や情報を集めるとかなりの範囲まで特定ができてしまうこともありますので,このような発信はやめるべきといえます。

次に,「隣の席の先輩,セクハラはひどいし口臭がひどい。」といった同僚の愚痴などは,それ自体で社内の内部情報の漏えいとまでは言えなくても,その他の情報から個人や会社名が特定されてしまえば,「このような愚痴を言う社員がこの会社にいる」という事実を発信していることになります。
そのため,この発言の存在自体が会社の評判を落とす可能性があり,最悪の場合,社外での非行として懲戒処分の対象となる可能性があります。
また,特定の個人に対する愚痴は,例えそれが事実であったとしても,その人の社会的評価を貶めるものであれば,名誉棄損罪にもあたりうるといえますので,刑事罰の対象にもなりえます。
したがって,このような発信もやめるべきですし,「あの同僚苦手だな~」程度の愚痴であっても,他の同僚がもし見た場合は,どの同僚のことを言っているのだろうと疑心暗鬼を招きかねないので,避けたほうが無難といえそうです。

そして,「疲れたから仕事行きたくないなあ」といった,仕事そのものに対しての一般的な愚痴は,それ自体大きな影響はないともいえますが,もし会社がこの発言を把握した場合に,職務怠慢の一つの事実として,今後会社とトラブルになったときに不利な証拠として使われる可能性がありますので,これも注意すべきといえます。

結論としては,SNSでの職場や同僚の愚痴は極力避けるべきで,どうしても言いたいのであれば庭に穴を掘って言うか,自宅で紙に書いて燃やすのがベストということになりますね。