ライプニッツ係数と民法改正

皆様,ライプニッツ係数という言葉をご存じですか?

弁護士として交通事故案件を取り扱っていると,後遺障害逸失利益や将来発生する治療費や介護費用を請求する場合など,将来発生することが予測される損害を,現在(示談時や裁判時等)に一時金として支払いを受ける案件があります。

この場合,本来,将来の発生時点まで支払いを受けることができないものを,いわば前倒しのような形で一時金にて支払いを受けるものですので,その間に発生する利息(中間利息といいます)を差し引く必要があります。

この中間利息は,法定利率である年5%で計算されます。

この中間利息分まで交通事故の加害者に支払い義務を負わせることは,公平ではありません。

そこで,損害賠償実務では,将来発生することが予測される損害を現時点で前倒しにて賠償する場合,中間利息控除がなされます。

ライプニッツ係数は,中間利息控除をするための計算に用いられます。

例えば,将来10年分の介護費用の賠償を受ける場合,「介護費用の年額×10」という計算をするわけではありません。

10年のライプニッツ係数である7.7217をかけます。

 

ちなみに,1→0.9524,2→1.8594,3→2.7232,4→3.5460,5→4.3295,6→5.0757,7→5.7864,8→6.4632,9→7.1078・・・です。

 

このライプニッツ係数は,法定利率の年5%に基づいて中間利息を控除するための係数であるところ,2020年4月1日からは民法が改正され,法定利率が年3%となります。

したがって,ライプニッツ係数の数値(未確定)は増額修正されるため,損害賠償額は増加することとなります。

ただ,その分保険会社の負担が増加するため,自動車保険料額が増額されるという声もあります。

今後の動向に注目です。

交通事故の被害に遭われ,将来にわたり発生する損害を計算しなければならない場合,複雑な損害賠償額の計算は弁護士にご相談ください。

交通事故について弁護士をお探しの方は,弁護士法人心名古屋駅法律事務所にご相談ください。