被害者請求

交通事故の相手方が任意保険に加入していた場合,通常であれば,相手方の任意保険会社が病院等に直接治療費を支払ってくれます(このような対応のことを「一括対応」といいます)。
ところが,相手方(すなわち,加害者本人)に保険を使用する意思がないや,過失割合に争いがある場合などは,相手方が任意保険に加入していたとしても,任意保険会社が対応してくれない場合があります。

また,当初任意保険会社が対応してくれていたとしても,途中で,まだ体の症状が改善していないにもかかわらず,強制的に治療費等の支払いを打ち切られる場合もあります。

任意保険会社が思うように対応してくれないという場合,加害者の加入する自賠責保険に請求するという方法があります。

自賠責保険は強制加入保険であり,傷害の場合は120万円という枠内で支払いがなされまして,任意保険会社が対応しない場合に自賠責保険会社に請求すれば自賠責保険から治療費等が支払われる場合があります。

被害者側から自賠責保険に請求をすることは「被害者請求」,「16条請求」(自動車損害賠償保障法16条に定めがあるため)等と呼ばれます。

ただし,120万円の枠は,任意保険会社も使用しますので,任意保険会社が対応していた時点でこの枠が使い果たされていた場合は,被害者請求することはできません。

また,自賠責も,支払いにあたっては治療の必要性等を判断しますので,自賠責に被害者請求すれば常に認められるわけではありません。

ちなみに,自賠責保険への被害者請求手続を弁護士に依頼することも可能です。一度ご相談ください。

交通事故の治療費の被害者請求については,こちらもご覧ください。