弁護士による職務上請求

今年の梅雨もようやく開けました。

梅雨の最後は梅雨前線の停滞で,名古屋では毎日毎日,雨が続いていました。梅雨なので当たり前なのかもしれませんが,今年の梅雨は特に雨が多かった気がします。

梅雨が明けると,うって変わって,名古屋は連日,気温35度前後の猛暑日が続いています。熱中症がリアルに心配になります。皆様,こまめな水分摂取を心がけましょう。

話は全く変わりますが,弁護士は,依頼を受けた事件の処理にあたり,事件関係者の住民票や戸籍謄本等の個人情報を含む書類の取り寄せをする権限が認められています。もちろん,事件の処理に関連のある範囲に限られますが。これは,「職務上請求」と言われる制度です。

この職務上請求は,重大な権限ですので,悪用されれば,個人情報を不必要に取得できることとなり,重大なプライバシー侵害等の問題が生じます。

弁護士の業界では,ここ最近,この職務上請求をする際,事件解決のために必要な範囲に絞るようにという指導が弁護士会などから強まっており,請求を受けた役所なども,個人情報を開示するにあたり,慎重に判断するようになってきております。

ところが,最近のニュースで,事件の依頼を受けていないにもかかわらず,関連性のない戸籍謄本を,複数,職務上請求により取り寄せたことで,所属弁護士会から業務停止1か月の処分を受けた弁護士がいるという記事を見かけました。

弁護士の職務の公正さに対する社会の信頼のもと,弁護士には職務上請求をはじめとするという重大な権限がいくつも与えられていますので,それを濫用することがないよう,気持ちを引き締めて業務にあたりたいと思いました。