遺言書で気をつけることpart2(公正証書遺言の場合)

こんにちは。名古屋の弁護士の小島です。

今日は,公正証書遺言の気をつけるべきポイントを記載いたします。

1 公正証書遺言の意義

公正証書遺言とは,公証役場で作成する遺言書のことをいいます。

これにも,メリット,デメリットがあります。

2 公正証書遺言のメリット

公正証書遺言は,私たちのような弁護士にご依頼いただいた場合,弁護士とお客様が相談して遺言書の内容を決め,遺言書の内容が決まった後は,弁護士と公証人が遺言書の詳細を打ち合わせ,作成します。

つまり,自筆証書遺言と異なり,お客様は一切文章を書く必要はありませんので,手間がかかりません。

また,公正証書遺言の場合,完成した遺言書の正本を,公証役場が保管してくれます。

法律上,原則として20年保管してもらえますが,実際は,50~100年保管している公証役場が多いようです。

自筆証書遺言の場合,ご自身で保管されていた遺言書が,火事や何らかの事故等で紛失してしまったり,相続人が見つけることができなかったりすることで,トラブルも起きますが,公正証書遺言の場合は,このようなトラブルを回避することができます。

さらに,公正証書遺言の場合は,遺言者の死後,預金の名義書換えや不動産の登記の名義書換えをするにあたって,家庭裁判所の検認手続を経る必要がありませんので,手間がかからないというメリットもあります。

3 公正証書遺言のデメリット

他方で,公正証書遺言には,以下のデメリットもあります。

まず,公証人の先生にお支払いする手数料がかかるということです。公証人の先生にお支払いする手数料は,遺産総額やどのような内容,文言を挿入するかによっても異なりますので,一律にいくら,ということはできませんが,数万円程度の費用がかかりますから,決して安くはありません。

また,公正証書遺言の場合,公証人の先生との打合せも必要になりますから,自筆証書遺言と同じように,すぐに作る,ということもできません。

さらに,書き直すことも容易にはできない,という点もデメリットです。

公正証書遺言と自筆証書遺言では,どちらの方が効力が強い,ということはありません。

どちらも法的に有効であれば,同様に遺言書としての効力を有します。

ですので,以前作成した公正証書遺言を,後から自筆証書遺言で撤回するということも可能です。

ただ,公正証書遺言で作成された方は,撤回や変更の遺言も公正証書遺言で書きたいというご意向の方が多いですので,そういう場合は,再度,公証役場に行き,手数料を支払うなどしなければならないため,手間も費用もかかる点がデメリットとして挙げられます。

4 弁護士の選び方

前回と今回で自筆証書遺言と公正証書遺言について説明させていただきました。

どちらの遺言書も一長一短あります。

ですので,弁護士に遺言書の作成をご相談される際は,どちらかの遺言だけを強く勧めたりせず,どちらの遺言書についても,メリット・デメリットを丁寧に説明してくれる弁護士を選びましょう。